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#3458月30日(日)10:25~放送
ザンビア共和国・ルサカ

 今回の配達先は、国連により後発開発途上国に指定されているアフリカ・ザンビア共和国のルサカ。この地で寿司職人として奮闘する日本女性の横手舞さん(31)と、大阪・枚方市に住む妹の青木亜美さん(29)、義弟・隆敏さん(31)をつなぐ。かつて海外ボランティアで挫折を味わい、日本に帰国するも、再びザンビアに戻った舞さん。妹は「何をしたいのか、家族には何も言わないまま行ってしまった」といい、どんな目的でザンビアに渡ったのか知りたいという。
 舞さんの店「SUSHI MAI」はデリバリー専門の寿司店。ザンビアで日本人が握る寿司店は舞さんの店だけだという。今は出資者の家のキッチンを間借りし、ザンビア人スタッフ2人を雇って切り盛りしている。ザンビアは内陸国のため、魚介類はすべて輸入で、ネタのほとんどが冷凍のサーモンやエビ。現地で手に入る米にもち米をブレンドし、ふんわりした食感を出したり、魚の代わりに野菜や肉をアレンジしたネタを作ったりと、独自のアイデアで勝負している。 
 デリバリー先は個人宅だけでなく、ベルギー大使の公邸で開かれる、ザンビアの元副大統領や政財界のトップたちが集う大きなパーティーも。今の乾季は水力発電がうまく機能せず、毎日停電があって、冷蔵庫でネタを冷やしたり、ご飯を炊いたりが思うようにできないこともあり、苦労は多いという。
 元々料理が得意だった舞さんは「食を通じて世界に貢献したい」と、25歳の時に、青年海外協力隊としてザンビアへ。しかし、地元の人たちの自立支援を促すシステム作りがうまくいかず、舞さんはボランティアの限界を感じたという。自分でビジネスを立ち上げ、人を雇う事こそが自立支援につながると考えた舞さんは、当時ザンビアにはほとんどなかった寿司屋にビジネスチャンスがあると感じ、一旦日本に帰国。寿司の専門学校に入学し、1年前、自分の店を持つことを目標に再びザンビアへ渡ったのだ。そして、舞さんの想いに賛同してくれた友人や実業家から出資を得て、昨年店をオープン。2人のザンビア人を雇うことができた。1か月後には店頭販売も行う新しいショップを出店する予定で、軌道に乗れば、寿司レストランにする計画もあるという。「将来は100人ぐらいのスタッフと一緒に仕事ができたら」と、舞さんの夢は広がる。
 実は最近、故郷・宮崎で暮らしていた祖母が亡くなったことを家族からメールで知らされた。「(オープン準備の多忙な最中だったため)両親が気を使って、連絡があったのは1週間後でした」と舞さん。彼女には、渡航直前に妹に言われた、今でも忘れられないことがあるという。「“父と母に何かあった時、どうするの?”と。心配だったのもあると思うんですけど…。2人で泣きました」と舞さん。実は妹は、母から舞さんの渡航を止めてほしいと頼まれていたのだ。しかし今回、ザンビアで奮闘する姉の姿を見て「今は心から頑張ってほしいと思う」と話す。
 そんな妹から舞さんに届けられたのは、故郷・宮崎の名物「亀城せんべい」。大学時代、和歌山で一人暮らしを始めた舞さんを案じ、祖母がいつも自家製の野菜をと一緒に送ってくれていたものだ。妹からの手紙には、第2子の懐妊報告と、その子の心拍を確認した日に、祖母が旅立ったことが綴られていた。「命のリレーってあるんですね。限りある時間の中でやりたいことを後悔しないように、全力で取り組んでください」という妹からのメッセージに、舞さんは涙で「うれしいですね。これを励みにまた頑張っていきたい」と語るのだった。