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#3222月22日(日)10:25~放送
エチオピア

今回の配達先はエチオピア。日本語観光ガイドとして働くフレヒウォット・タデセさん(53)と、奈良県に住む長男・大輔さん(29)、次男・聖士さん(27)をつなぐ。日本人男性と結婚したものの離婚し、16年前、幼い息子たちを残してひとり母国エチオピアに帰った母。長男は「反抗期が終わって、これから恩返しするぞというときに母はいなかった。母に対する愛情を伝えられず、後悔している」といい、次男は「どんなに離れていても親子は死ぬまで親子」と、母への思いを募らせる。
現在は、エチオピアに帰って結婚したご主人のアンジェロさん(64)と暮らすフレヒウォットさん。普段は日本語の観光ガイドとして働き、ガイドの仕事がない時には、注文を受け自宅で料理を作って宅配するケータリングサービスの仕事もしている。料理が得意なフレフィウォットさんは「日本では、子供たちにはすべて手作りの料理を食べさせていた。子供たちは何でも食べてくれました」と懐かしむ。
32年前、青年海外協力隊としてエチオピアで働いていた日本人男性と結婚。2人の子どもに恵まれ、夫の仕事の関係で、エチオピア、日本、インドネシアを転々としながら暮らしていた。だが、そんなめまぐるしく変わる環境、慣れない土地での生活で、相談相手もいないフレヒウォットさんは精神的に追い詰められていったという。「ストレスで髪も抜けてしまった。子供たちにも苦労させたと思う」とフレヒウォットさんは当時のことを語る。
そして、苦しんだ末に選んだのが離婚という道だった。「子供たちには“お母さんはエチオピアで暮らしてほしい"と言われました。当時のエチオピアはまだまだ貧しく、学校もなかった。子供たちを連れて帰っても苦労させるだけだと思った」。長男も「母が可愛そうだった。いつも笑顔だった母が笑わなくなっていた」と当時を振り返る。子供たちは豊かな日本で暮らした方が幸せになれる…そう考えたフレヒウォットさんは16年前、幼い息子たちを前の夫に託して帰国したのだ。
8年前、一度だけエチオピアを訪ねて来てくれた息子たち。フレヒウォットさんには今でも忘れられない思い出だという。自宅では息子たちの写真に囲まれて暮らし、肌身離さず持ち歩いている聖書にも、2人の写真が忍ばせてある。「息子たちの事は忘れたことがない。母親ですもの。死ぬ前に息子たちに会えるように、毎日神様に祈っているんです」。
離れて生きることを選ばざるを得なかった母。子供たちの成長を見届けることができなかったフレヒウォットさんに、2人から届けられたのはビデオレター。現在役者をしている長男からは、舞台稽古に励む様子とともに「愛してます。これが言えなかったことを後悔している」。そして次男からは「2年前の結婚式を見てもらえなかったのは寂しかったけど、いつか夫婦で会いに行きたい。子供ができたら真っ先に連絡します」とメッセージが入っていた。
逞しく成長した息子たちの姿をうれしそうに眺めるフレヒウォットさんの目には涙が…。「ビデオレターを見られてうれしかった。お母さんも愛しています」と、募る思いを息子たちに語りかけるのだった。