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#26812月22日(日)10:25~放送
フランス/パリ

今回の配達先は美食の国フランス・パリ。スイーツの都でもあるこの街で、和菓子専門店をオープンした和菓子職人の村田崇徳さん(35)と、愛知県に住む父・義明さん(66)と、母・孝子さん(67)をつなぐ。老舗和菓子店の3代目である崇徳さん。パリ行きには反対だったという父は「早く息子にバトンタッチしたい。でも同じ和菓子職人としては向こうでも成功してもらいたい」と複雑な心中を明かす。

 2年前にオープンした崇徳さんの店「和楽」は、8席だけの小さな店で、常時8種類ほどの和菓子を、抹茶などと共に提供している。仕込みは毎日行い、あずきなどの材料は、フランスで手に入るものにこだわる。日本のものと違い、粒が揃っていないので、あんこを炊く時間の見極めが非常に難しいというが、「フランスのものを使わないと、こちらで勝負する意味がない。和菓子がもっと身近なものになってほしい」と崇徳さんはいう。

 お客の6割ほどが地元のフランス人。最近でこそ満席になることもあるが、まだまだ儲けは出ていないという。そこで崇徳さんが考えたのが、割烹のようにカウンター越しに客が和菓子を作っているところを見られるスタイル。「本当は作っているのを見られるのは嫌。でも和菓子を知ってもらうためには、こうするしかなかった」。

 老舗和菓子屋の跡取りとして生まれ、京都の和菓子屋で修業を積んだ崇徳さんは、8年前、父の反対を押し切り、身一つでパリへ。そんな彼を拾ってくれたのが割烹「あい田」だった。フランスの日本料理店で唯一、ミシュランの星を獲得しているこの店に、崇徳さんは「和菓子を作らせてほしい」と、いきなり飛び込んだのだ。崇徳さんは2年間、デザート担当として働き、今も「あい田」のデザートは崇徳さんが作って届けている。

 崇徳さんの和菓子にかける情熱を見守ってきたオーナーの相田氏は、彼の腕を信頼しながらも「正直、フランスのお客さんは和菓子を理解していない。これを食べられないと、日本文化を理解したことにならないんじゃないかと、無理やり食べている感じ」という。そんな厳しい現実はあるものの、相田氏は崇徳さんに期待をしているという。

 どうしたら和菓子をフランス人に受け入れてもらえるのか?毎日が試行錯誤だという崇徳さん。あんこが苦手なフランス人にも食べてもらえるよう、チーズやフルーツと組み合わせるなど、さまざまな工夫を加える。まずは和菓子に馴染みを持ってもらうのが先決と考え、あえて邪道と言われかねない創作和菓子も出しているのだ。

 “フランスで和菓子を広めたい”その一心で重ねた努力が実を結び、店もようやく軌道に乗ってきたが、その一方で、跡取りとしても期待されている崇徳さん。「将来、日本に帰るかどうかは…難しいですね。親の気持ちもわかるし、相田さんの期待にも応えたい。両方がうまくいく方法をいつも考えているのですが…」。崇徳さんは迷いを明かす。

 そんな崇徳さんに日本の父から届けられたのは、和菓子作りの道具。祖父が手作りしたものを、父が受け継ぎ、毎日使い続けてきたものだ。店の歴史、職人としての父の人生が刻み込まれた大切な道具を手に、崇徳さんは「責任重大ですね。これを持って恥じないような職人になりたい」と、その重みを噛みしめるのだった。