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#246カンボジア/プノンペン 6月30日(日)午前10:25~


 今回の配達先はカンボジア・プノンペン。いまだ発展途上のこの国では、消防や救急のシステムが十分に確立されておらず、事故や火災で多くの人命が失われている。そんなカンボジアで、日本の消防や救急救命の技術をたった1人で教える正井潔さん(64)と、神戸市に住む妻・明美さん(65)、長女・真理子さん(39)、次女・都さん(33)をつなぐ。

 潔さんは神戸市消防局で42年間勤務し、救急救命士として1万回以上現場に出動したスペシャリスト。退職後、要請を受けてカンボジアに渡ってきた。しかし彼の活動はボランティアであり、給料はなく、妻から金銭的な援助を受けているのが実情だ。看護師をしながら夫を支える妻は「私も年齢的にあと何年できるのか…」と心配し、同じ看護師の長女と次女は、現場生活が長かったため腰を痛めて何度も手術をした父の体を案じている。

 潔さんは神戸市消防局を退職後、培った技術を世界で役に立てたいとの思いから、8年前に技術支援のNPOを設立。3年前にはカンボジア軍からオファーを受け、消防も救急もできるカンボジア初のレスキュー隊「RRC711」部隊を作り上げた。潔さんが指導をする隊員たちは全員がカンボジア軍兵士。この3年で技術は向上してきたものの、まだ十分なレベルではないという。

 潔さんの指導は厳しく、救急車で搬送中に行う救急救命措置の訓練では、時に怒号が飛んだり、手順を間違えるとペナルティーを課すことも。「カンボジアでは病院に搬送中、何もしないままケガ人が死んでしまうことも多い。彼らにはなるべく早く技術を覚えさせたい」。そんな思いから潔さんの指導には一層熱が入る。実は、カンボジアには警察や病院が管轄する消防や救急の組織はあるものの、技術は未熟で賄賂も横行。そんな中にあって、潔さんが立ち上げた高度な技術を持つ711部隊は、その活動が市民から高い評価を受けてきたのだ。

 そんな潔さんの支援活動はボランティアのため、通訳を付ける以外の費用はすべて自己負担。収入がないだけでなく、出費がかさむのが頭の痛いところだ。「家族は“収入のことはいいから”と背中を押してくれましたが、いつまで続けられるのか。それが不安ですね。今の収入は私の年金と妻の収入のみ。妻の負担が大きいから、やはり気を使いますね」と、妻を気遣う。また、部隊設立に反対する政府高官が多い中、共に困難を乗り越えて711部隊を育ててきた軍の副司令官・ソイさんは「日本のご家族の気持ちを思うと胸が苦しい。お父さんを家族から引き離して、遠いカンボジアで働いてもらって…。潔さんのような心の優しい人に出会えて、言葉もありません」と涙をこぼす。

 潔さんは「あれだけの隊員が育ってきて、市民にも頼りにされている。やめられないですね。もっと高度なことを教えてあげたい。何とかもう少し形になるまで続けたい」という。消防と救急の現場で培った自らの技術のすべてをカンボジアに伝えたい…。そんな思いを胸にたった1人で頑張る潔さんに、日本の妻から届けられたのは「いかなごのくぎ煮」。毎年春になると食卓に上がる、妻の手作りの味だ。添えられていた手紙には「長い道のりだったけど、本当に誇りに思います」と綴られていた。潔さんは「“誇り”というのを、こうして文字にされると本当に嬉しい。家族にもっと誇りに思ってもらえることを、このカンボジアでやりたい。それが家族への恩返しだと思っている」と、家族への思いを語るのだった。


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