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#2333月24日(日)10:25~放送
トルコ

今回の配達先はトルコ共和国のイスタンブール。この国で伝統的なベリーダンスの世界に身を投じた梅田真由美さん(32)と、奈良に住む母・真珠子さん(56)、祖母・美智子さん(81)をつなぐ。トルコへ行くことには反対だったという母は「どんなところかも分からず心配だった。向こうの国の人から娘がどんな風に思われているのか…」と案じ、祖母も「早く帰ってくるように願っている」と話す。

 現在はベリーダンサーとして主にレストランやパーティーに呼ばれ、お客の前で踊る真由美さん。トルコのベリーダンサーの多くは、収入の大部分をお客からもらうチップに頼らざるを得ず、生活はなかなか安定しないという。
幼い頃に両親が離婚し、その寂しさから常に周りの大人たちの手を焼かせる子供だったという真由美さんは、「母がいつも外で働いていたので寂しくて、わざと母に迷惑をかけたかったのかも知れない」と当時の思いを明かす。高校を1ヵ月で中退し家を飛び出して以来、真由美さんが母と暮らすことはなかったという。そんな彼女にとって忘れがたい思い出が、四国にいた祖父母のこと。「大好きでした。夏休みになると必ず会いに行った。いつも家にいて面倒をみてくれた」。寂しかった彼女をいつも優しく見守ってくれる存在だったという。

 人生に目標を持てないまま各地を転々とした青春時代。そんな中、23歳の時に出会ったのがベリーダンスだった。数回のトルコ旅行を経て、人生をベリーダンスに捧げる決意をし、28歳でイスタンブールに移住。トルコで新たな生活を始めた真由美さんを助け、サポートしてくれたのは年下の恋人マートさん(29)だった。今は徴兵期間中のマートさんだが、兵役が終われば2人は結婚する予定だという。

 ダンサーとしての仕事の一方、その技術を極めるため、有名なダンサー・指導者で、師匠でもあるセラップ・スーさんのプライベートレッスンを受け、ベリーダンス漬けの日々を送る真由美さん。だが、この世界を深く知るようになって、トルコでベリーダンスが置かれている厳しい現実に直面したという。「ほとんどのトルコ人ダンサーは、お金を稼ぐための手段と考えているように感じる。踊っていてもすぐにステージから降り、お客にチップをねだる。トルコのベリーダンス界にがっかりした」と真由美さんはいう。加えてイスラム教国のトルコでは、肌の露出の多いベリーダンスは、下層階級の仕事と見下されることも多いのだ。

 だが真由美さんがやりたいのは客に媚びるダンスではなく、芸術として客を魅了するベリーダンス。そんな思いを知ったマートさんは彼女に「ババズーラ」というバンドを紹介してくれた。ヨーロッパでも人気のこのバンドの専属ダンサーとなった真由美さんは、彼らと共に各国でライブ公演を行っているのだ。舞台では彼女が学んできたベリーダンスをもとにした即興のオリジナルダンスを披露。今ではベリーダンスを超える充実感を感じるようになったという。

 そんな真由美さんに届けられたのは、幼い頃に毎月のように祖父から届いた直筆の絵手紙。真由美さんが寂しい思いをしないようにと送り続けたもので、晩年は難病に侵されながらも書き続けてくれたという。そんな祖父の思いを知る母が大切に取って置いたもので、“世界のどこにいても家族はあなたを見守っているよ”という母の想いが込められていた。真由美さんは「家族から遠く離れて申し訳なく思っている。でもやりたいことをやれるのが私の幸せ。許して欲しい」と母と祖母に語りかけるのだった。