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#22112月16日(日)10:25~放送
カナダ/ソルトスプリング島

今回の配達先はカナダ・ソルトスプリング島。仕事やお金に縛られない生き方を求め、2年前にこの島に渡った青山哲也さん(28)と、岐阜に住む父・均さん(63)、母・文子さん(58)をつなぐ。一年中温暖な気候と美しい自然に恵まれたこの島では、ゆっくりと流れる時間の中、およそ1万人が自然と共に暮らしている。そんな人々の生活スタイルから“スローライフの聖地”と呼ばれることも。

この島で哲也さんは、元羊小屋だったという小さな家に手を加えながら暮らす。同じ一角には8世帯がそれぞれ個性的な家を建て、思い思いの生活を送っている。土地を貸している大家は元大学教授。「この島で大切なのは、仕事は週に2,3回だけにすること。時間は音楽を楽しみ、絵を描き、本を読み、書き物をするためにある」と話す。

哲也さんも週3日だけ島の豆腐屋で働いて必要最低限のお金を稼ぎ、あとは自分の智恵と力で生活の糧を得る。海岸で牡蠣を採り、小さな畑で自分が食べるだけの野菜を栽培。納豆や味噌は手作り。遠出をする時はヒッチハイク。雨が降れば家の中で本を読んで過ごす…。「何をしている人ですか?」と問えば、哲也さんは「ただ楽しいことをして生きているだけ。家を造ったり野菜を育てたり…生きる上ですることはたくさんある。将来は自分のものはできるだけ自分で作って、楽しく生きられれば」と夢を語る。

小学校から大学までサッカー一筋だった哲也さん。だが引退後は夢中になれるものが見つからず、何をして生きていけばいいか悩み、「一度外の世界を見てみよう」と日本を飛び出した。その時のさまざまな出会いが、哲也さんの人生を変えることに。「日本にいるときは“常識で考えろ”とよく言われたが、みんな日本では考えられないような常識の中で、結構適当に生きていた。ホッとしました」。さらに、「何で働いてお金を稼ぐのかということもよく考えた。お金を稼いでものを買うより、家なら自分で作ったほうが早いし、食べるものも買わずに作ればいい」。そんな理想とするシンプルな生活を実践できる場所を求めてたどり着いたのが、この島だったのだ。

しかし、そんな考えを父には理解してもらえず、大喧嘩をしての旅立ちだった。父は「大学を出て1度も就職せず、“稼がず使わずの生活をして生きていく”というから、“それは無いぞ”と。彼とは話してもまったく交わらない。もう“勝手にやれ”と…」と、当時を振り返る。哲也さんは「父は複雑だったかもしれないが、ここに来て僕は人生が開けた。何をして生きていくか迷いはない」ときっぱり。島で生き生きと暮らす哲也さんの姿を初めて見た父は、「日本では味わえない体験をして、正直羨ましいところもある」と気持ちを軟化させながらも、「でも日本に戻れば日本のコミュニティーで生きていかなければならない。その時にカナダでの生き方が実践できるのか…」と心配も膨らむ。

 そして両親からのお届け物は、食料と日用品。ちゃんと食べているのか心配する母が箱いっぱいに詰めてくれた。父からはサッカーに夢中だった頃の哲也さんの写真と、“本当にやりたいことを見つけたら、サボらず頑張れ!”というメッセージが。哲也さんは「親父は“やる”といったことはやる人。僕は尊敬している。この生活をしてみて“親父の子だな”と感じることがある。安心するのは無理だろうけど、見守ってもらえたら…」と、父親への素直な想いを語るのだった。