政局はいよいよ「参院選モード」に
岩田 公雄
報道局解説委員長(局長待遇)
「失われた年金」を争点に、“強気の小沢”
国会終盤の『社会保険庁改革法案』の審議の中で浮上した「失われた
年金記録」が、今年夏の『参院選』の「争点」になりそうです。
『社会保険庁』が管理する「年金記録」のうち、「持ち主が確定できな
いもの」が約5000万件にのぼることが明らかになったからです。
ある民主党幹部が「三振か、満塁ホームランか、大勝負だ!」という
ように、「年金問題」は“安倍政権を揺さぶる最大の武器”として取り
上げられることになりました。
これまでの「格差是正」が具体性に欠けていたのに対し、「宙に浮いた
年金問題」には“国民の腹立たしい思い”を集める可能性があるから
です。
それに、「与野党議員の年金未納問題」に始まり、小泉首相の「人生い
ろいろ発言」があった04年の『参院選』では、「年金問題」が争点と
なり、『民主党』が躍進し、『自民党』が敗北しました。
『民主党』にしては「年金攻防再燃」は、参院選の行方に直結するだ
けに大歓迎というわけです。
25日に65歳の誕生日を迎えた小沢代表は、前日に「日本地図の入
ったケーキ」と「スニーカー」を若手議員から贈られたこともあって、
久しぶりに“選挙に強い表情”を見せていました。
しかし「年金問題」が争点になり、3年前の“悪夢”になることを避
けたい『政府・与党』の動きには早いものがありました。
“数の力”で、『衆院厚生労働委員会』で『社会保険庁改革法案』の強
行採決しましたが、「対応策の構想」を発表しました。
それによると、秋の臨時国会に『議員立法による救済法案』に提出し、
「不明年金の支給に時効を外し、領収書以外の証拠でも年金を支払う
方針」なのだそうです。
これで、“国民の不安”が消え、『政府・与党』の思惑通り「幕引き」
となるかどうかは、これからの攻防になりますが、「争点」の一つが明
らかになったのは確かです。
「環境問題」を争点に、“新しい安倍”
一方、安倍政権は「環境問題」を「参院選の争点」にしたい考えです。
「改憲だけでは争点にならない」という党内の声は相変わらず強い中、
「環境問題」への関心の強いことを示して“新しい安倍”のイメージ
を創出したいのでしょう。
国際交流会議『アジアの未来』で発表された『美しい星50』による
と、『京都議定書』の「削減計画」が12年に終了をするのをにらみ、
「世界全体が参加する排出削減の新たな枠組みを創ること」を訴え、
「世界全体の温暖化ガス排出量を2050年度までに半減する」「国内
では“1人1日1キログラムの排出削減”を国民運動として展開する」
などを骨子としています。
勿論これは、来月『ドイツ・ハイリゲンダム』で開かれる『サミット』
で各国首脳に協力を呼びかけ、来年の『洞爺湖サミット』ではメイン
テーマにしようというものです。
これまで“強面・強い安倍”で「支持率の回復」を見せてきましたが、
“環境問題のトップを走る安倍”は狙い通り、「女性票・都会票」を掴
むでしょうか。
また『自民党』には、「税金の一部を出身地に納める」ことができる「ふ
るさと納税」も、「争点にしたい」という考えもあります。
これには「受益者負担の原則に反する」・「都会票に結びつかない」と
いう批判もあるので、すんなりと争点になるとは思えませんが、選挙
まで55日になり、与野党の「参院選モード」が少しずつ熱を帯びて
きました。






