参院選まであと2カ月
岩田 公雄
報道局解説委員長(局長待遇)
メディア戦略・テレビ露出度・ブログ世論形成
昨日、『神戸大学六甲台キャンパス』で行われた『日本選挙学会』で、
パネラーを務めてきました。
私が出席したのは、明治大学の竹下俊郎教授が司会する『社会心理部
会』という分科会で、テーマは『岐路に立つ選挙報道』でした。
報告者は、埼玉大学の平林紀子さん・東京大学の大川千寿さん・ネッ
トジャーナリストの団藤保晴さんの3人。
平林さんは「米国の選挙のメディア戦略と報道」について、大川さん
は「日本における政治とテレビ――小泉政権のテレビ露出」について、
団藤さんは「ブログの世論形成力」について……つまり、「IT時代に
なっての選挙」についての報告でしたが、それぞれに新しい視点があ
って、“アナログ人間”の私にとって大きな参考になりました。
それにしても思うのは「小泉純一郎元首相は凄い人だったな」という
ことです。
「メデイア戦略」で言えば、先の総選挙(05年9月)では「郵政民
営化の賛否を問う」という戦略を打ち出し、「自民だけで296議席・
与党で327議席」という大勝を勝ち得ました。
「テレビ露出」は、総裁になる前から積極的で、95年9月の自民党
総裁選立候補から3度の「総裁選」で『ウェークアップ!』に出演し、
ナマ討論に応じてくれました。
また、総裁・首相になってからは「ワンフレーズ・ポリティクス」と
呼ばれる“わかりやすい一言”でテレビに露出しました。このマスコ
ミ報道を利用した“劇場型政治”は、“都市部の無党派”にも受けて、
あの勝利に繋がったのでした。
そして「ブログ」については、『小泉内閣メールマガジン』という形で
「内閣からのメッセージ」を送り続けました。
「IT時代の政治報道」を早くから取り入れていたことになります。
党首討論で見えなかった「参院選の争点」
先週の水曜日、今国会初で、半年ぶりの「党首討論」が行われました。
「今度こそワクワクするような本格的討論を」と期待したのですが、
どうやら肩すかしされたようです。
小沢代表は「教育・格差」などの問題にも触れ、「安倍首相の姿勢」を
質しましたが、首相は「改革の実績」を強調するだけで、討論はすれ
違ったままでした。
あれが“小沢流”というのでしょうが、「質問の前置き」が長く、「何
を聞きたいのか」が伝わってきません。もっと「何について」「何故聞
くか」をはっきりとさせるべきではなかったのではないでしょうか。
一方、首相には「先輩に負けない」という気負いが感じられ、語気を
荒げて“力強さ”を示そうとしましたが、内容は“物足りないもの”
でした。
「政治とカネ」の問題は全く触れられず、「憲法改正」と「格差問題」
も全く噛み合わず、とても「参院選の争点」であるとは思えませんで
した。
私は今の政局は「国会真空地帯」であると思っています。
安倍首相は「与党7割の衆議院」の強さを背景に“怖いものなし”で
すし、小沢代表は「参院選で与野党逆転」を実現することに対し“諦
めの境地”に見えるからです。
このままでは「国民の多くが“国政”に関心を失うのではないか」と
いう心配があります。
先日の『統一地方選挙』では、「30%台の投票率」というところもあ
りました。『フランス・大統領選』が8割を超える投票率だったことを
思うと、これ以上の“選挙離れ”が起こらないことを祈るばかりです。
『参院選』まで後2ヶ月になりました。
『安倍政権』も『小沢民主党』も、「メデイア戦略・テレビ露出度・ブ
ログ世論形成」で、もう少し工夫が必要なのではないでしょうか。
この週末、安倍首相も小沢代表も「地方行脚」を行い、「農民票争奪」
を展開していました。これでは“新しい風”が吹きそうにありません。






