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2007年02月05日

柳沢厚労相の失言問題の波紋

岩田 公雄岩田 公雄
報道局解説委員長(局長待遇)


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愛知は与党、北九州は野党
昨日行われた『愛知県知事選』は自民・公明が推薦した神田真秋氏が
大接戦の末に3選され、『北九州市長選』は民主・社民・国民新党推薦
の北橋健治氏が当選しました。

『愛知』の神田氏は現職知事として大過なく実績を重ね、当初から有
利だと言われていましたし、『北九州』の北橋氏は衆議院議員からの転
出で、知名度で勝っていましたから、当然の結果だったといえます。
しかし、「女性は子どもを産む機械」という柳沢伯夫厚生労働相の発言
がこの2つの「地方選挙」に持ち込まれ、「国民がこの発言をどのよう
に捉えているか」・「女性票がどう出るかを問う選挙」の様相を示し、
結果を見ても大きな影響があったことが分かります。

「柳沢発言」は、確かに大問題です。「女性への差別」が感じられます
し、「少子化対策」を扱う閣僚としては余りにも不用意な言葉でした。
本人も発言直後にミスに気づき、「機械と言ってごめんなさい」と詫び
たのですが、それでは済まない「大失言」となりました。
『衆議院本会議』での「代表質問」でもこの発言が取り上げられ、そ
の答弁の中で安倍首相は「多くの女性の心を痛めたことに、私も深く
お詫びする」と謝罪しました。閣僚の問題発言について、任命権者の
首相が謝罪するのは異例のことです。
柳沢厚労相も「改めて深くお詫びする」と謝罪しましたが、野党4党
は収まらず、「厚労相の辞任」を求めました。
これに対し首相が「更迭を否定する」と、野党は「国会審議を拒否」
することになりました。

そして、審議を拒否したその日、小沢一郎民主党代表・福島瑞穂社民
党党首・亀井久興国民新党幹事長らは、名古屋入りして「野党候補」
の応援演説に並びました。「柳沢発言が“野党への追い風”になる」と
考えたからで、野党候補の票の伸びがそれを物語っています。
さらに野党の「審議拒否」は続き、『今年度補正予算案』は与党単独で
『衆議院』を通過しました。
しかし小沢代表を筆頭に野党は「何が何でも与野党逆転」が大命題で、
「国会審議はどうでもいい」ように見ているのは、私だけではないよ
うですが、あなたはどうお感じですか。


このままでは政治不信が拡大するだけだ
野党の「審議拒否」は、「柳沢厚労相の更迭」がない限り、今日から始
まる『参議院本会議』でも続けられることになりました。
安倍首相が柳沢厚労相を庇い更迭させないわけは、昨年末の佐田行革
担当相に次いで2人目の閣僚の辞任が続くことは、内閣が成り立たな
いからです。

一方、野党が「審議拒否」という強硬路線を崩そうとしないのは、こ
こで「安倍責め」のポイントを上げておきたいからでしょうが、柳沢氏
が閣僚を辞任すれば一件落着といくのでしょうか。
「柳沢発言」を国会の審議の場で活かすことも考えられます。
「安心して子どもを生むことが出来る環境をどう整えるのか」「仕事と
子育てが両立する仕組みをどう築くのか」など、国会での質疑を通じて
首相や厚労相に質すことこそ、国会議員の務めだと思います。
『宮崎県』の「そのまんま東現象」を思い出してみてください。
あれは、無党派層だけではなく、政党支持層をも飲み込んだ「政党離
れ」「政治家離れ」の結果でした。『自民党』や『民主党』の支持者の
票をも集めて、東国原英夫知事を誕生させたのです。
何かがあれば「審議拒否」をして“ネル”野党と、それならばと単独で
法案を通過させてしまう与党……これの繰り返しではますます「政党
離れ」「政治家離れ」が進みそうです。
「揚げ足取り」では、国民の政治不信を拡大するだけです。
それにしても、「柳沢発言」はひどいものでした。
柳沢氏は、「産めよ!増やせよ!」の時代だった昭和10年の生まれで、
8人兄弟の6番目。どこかで「女性が家庭に戻れば少子化対策が進む」
という思いがあって、それがつい口に出てしまったのでしょう。
私が解説委員の立場で一番気をつけていることは、「誰かを傷つけるよ
うな発言をしないこと」です。
特に「差別」や「人権」に関する言葉は、根底の部分に正しい「認識」
を持っていないと、つい口に出てしまいます。

「柳沢発言」は誤解を生む発言だったことは間違いありませんが、野党
はどのタイミングで“起きて”、国会審議に戻るのでしょうか。
『補正予算』はこのまま“ネテ”、『19年度予算』審議から“オキル”
ことも考えられますが、長引けば野党も安倍内閣も深手を負う危険性
があります。

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