「信頼と期待と・・・・」
坂 泰知
読売テレビ放送報道局解説委員
「もういい加減、この食べ物が病気に効くとか、身体に良いとか、テレビで言うのをやめ
てくれない?根拠のない話を患者が信じるんで迷惑してるんだよ」・・・・ごく親しい医者の
友人から、ことあるごとにこんな文句を言われていました。
友人によると、病院で処方する薬よりも、テレビで扱った民間療法まがいの当てにならな
い情報をありがたがって、医者の言うことを聞かない患者がいるというのです。そうこう
しているうちに、「発掘!あるある大辞典Ⅱ」の捏造発覚。何とも情けない話です。
普段、私たちがお伝えしているニュース番組という分野は、公権力を批判し、諸悪をただ
す場面が目立つだけに、同じテレビ業界内での不祥事が明らかになると、たとえそれが他
局の話であったとしても、非常に肩身の狭い立場に追いやられます。「どうせ、お前たちも
多かれ少なかれ、でっち上げまがいのことをやってるんだろ?」・・・・そんな冷めた空気を
世間に感じ、今、悔しくてなりません。仮に自分だけが否定したとてテレビに向けられた
不信が晴れるわけではない・・・・そういった意味では、業界最大の不祥事に発展しつつある
今回の番組を作ったスタッフに、「何してくれるねん!」と言いたい気分です。
実際、こういった不祥事が起きると「報道の自由」という大義が揺らぎ、不当な権力介入
を招く元にもなりかねません。NHKが国会議員の意向を汲み取って、ドキュメンタリー
番組の内容を再編集したとされる問題では、裁判にまでなった挙句、取材を受けた側が抱
く期待を保護するために、「編集の自由も一定の制約を受ける」との司法判断が下されまし
た。自立を脅かす判決には納得できませんが、そもそも、誤解を招くような直前編集を行
ったNHKにも「何してくれるねん!」と言いたい気分です。そして、事実関係について
当事者からの反論を招くような報道でこの問題を書き、謝罪を求められている朝日新聞に
も、改めて「どないなってるねん!」と言いたいところです。
その朝日新聞は先日の社説の中で「あるある」の捏造問題に触れ、次のように書いていま
した。「フジに全国枠を奪われ、社長が引責辞任したら後任はフジから来るとうわさされて
いる。そんな事態を避けたいなら、関西テレビは視聴者に顔を向けた真摯な対応を重ね、
再生の道を歩むしかない」・・・・何とも上から見た物言いに、寂しさと虚しさを感じます。
視聴者の皆さんの信頼を取り戻すために、我々はテレビ業界に身を置く一員として、今、
ひたすら襟を正すしかありません。






