広がる「格差」が来年の参院選の焦点に
岩田 公雄
報道局解説委員長(局長待遇)
地方の不満に耳を貸そう
今年の「流行語大賞」のトップ10に「格差社会」という言葉が入り
ました。
「格差社会」とは、「国民の間の格差が顕在化してきた社会」のことで、
特に「経済的格差の拡大」が今年は話題になりました。
少し前までは“セレブブーム”に見られるように「富裕層=勝ち組の
の豪奢な生活ぶり」がいろいろと取り上げられたのですが、最近では
“ワーキング・プア”と呼ばれる「働いても生活保護水準以下の暮ら
ししか出来ない負け組」の増加が社会問題になりつつあります。
「格差は頑張った人が報われた結果に生じるもの」と肯定的に捉える
声もあったのですが、「頑張っても報われない傾向」が強まっています。
そして「格差」は、「個人の問題」だけではなく、「住んでいる地域の
問題」になってきました。
先週も少し書きましたが、「講演」で地方都市に行くたびに、「格差の
不満」を聞かされることが多くなりました。
その人たちの多くは「商工会議所」のメンバーで、地方都市の政治・
経済を支え続けてきた人々です。
まず取り上げられるのは、「いざなぎ景気」を上回り、58ヶ月を超え
た「景気拡大」についてです。
「景気拡大は東京や名古屋・大阪など限られた巨大都市だけのことで、
地方都市のどこに景気拡大が感じられるのだ」というわけです。
「シャッター大通り」になってしまったかつての中心市街地を指して
こう言われると答える言葉も見つかりません。
そして、「公共事業の削減」についての嘆きを聞かされます。
「インフラ整備は終わったと言われても、まだまだ不十分。それに主な
産業のないこの地方では、公共事業が唯一の産業だったと言える。
その公共事業がなくなっては働く人が余り、収入がないから消費も減
り、景気が悪い」と言います。
そして、こういう不満の声の大きい地方都市での「講演」では、「小泉
前首相への褒め言葉」は歓迎されません。
「小泉さんの“光と陰”の“陰の部分”だけを地方が受けているのだ」
と嘆き、「このままでは自民党支持も考えものだ」となります。
かつて「地方の時代」という言葉がありました。
1979年(昭和54)の流行語で、「中央集権的な政治・行財政シス
テムの抜本的な転換を求める動き」でした。
しかし、あれは何だったのでしょうか。
「地方配慮を望む声」もあるが
地方に「公共事業の削減」を嘆く声が大きい中、政府は「骨太の方針」
に基づき,今後5年間は「公共事業費を毎年1~5%削減する方針」
を決めています。
『自民党参議院』の青木幹雄・議員会長や片山虎之助・幹事長はこの
ままでは「地方の反発」を買うことを恐れています。
青木会長は「選挙を戦うからには,戦いやすい予算編成が一番大事」
と言い,片山幹事長は「総額抑制はしても,配分で地方に配慮する」
と言ってます。
また、『全国知事会』は「交付税のカット」に反発する意見をまとめま
した。
選挙の立場からも,地方行政の立場からも,「地方の不満を何とかしな
ければならない」ことは分かってきているのです。
一方、『民主党』は、来年の参院選に向けて、「女性と無党派層をつかめ」
と「戦略特命チーム」を発足させましたが、「地方の保守層取り込み」
で新機軸を打ち出せれば、参院選で勝利し、「与野党逆転も夢ではない」
のかも知れません。
しかし、『民主党』は『和歌山知事選』で「独自候補の擁立」を断念し
ました。
『和歌山』が「自民王国」であることも理由の一つですが、「地方の
組織づくり」で遅れていることを示しています。
これからは,参院選対策として「地方」が大きな焦点になりそうです。






