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2006年12月04日

防衛「省」昇格に思う

岩田 公雄岩田 公雄
報道局解説委員長(局長待遇)


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民主党も賛成に回った
『防衛庁』を「省」に昇格させ、「自衛隊の海外活動」を「付随的活動」
から「本来任務」に格上げする『防衛庁設置法』や『自衛隊法などの
改正案』が先月末で『衆議院』を通過、『参議院』へ送られました。
法案が成立すれば、来年1月上旬から『防衛庁』は『防衛省』になり、
「防衛庁長官」は「防衛大臣」に格上げされることになります。

「防衛省昇格」も、安倍晋三首相が「総裁選」で主張していた「戦後
レジウムからの脱却」の一つで、今国会での成立を目指す重要法案で
したが、これほどすんなりと成立する見込みとは驚きです。
『民主党』で反対したのは横路孝弘・衆院副議長(現無所属)だけで、
「文民統制=シビリアンコントロールの徹底」「海外派遣に関する国会
への十分な説明責任」などの付帯決議を提案して、賛成に回りました。
「55年体制」だったら、こうはいかなかったことでしょう。
『自衛隊』の前身である『警察予備隊』が発足したのは『朝鮮戦争』
が勃発した1950年(昭和25)で、52年には「海上警備隊」が
組織され『保安隊』となり、54年に『自衛隊法』が施行されて『自
衛隊・防衛庁』が成立しました。
「自衛隊」としたのは『憲法第9条』で保持が禁じられている「軍隊」
とは違う存在であることを内外に明らかにするためでしたし、「庁」も
「省」よりも低い位置づけでした。
しかし「省昇格」の考え方は古くからあり、安倍首相の祖父・岸信介
が総理を務めた『60年安保騒動』の中でもあったと言われています。
安倍首相が「省昇格」に熱心なのは、「祖父のDNAをどこかで受け継
いでいるのではないか」と思ったりもします。

一方、「庁」という形では、時代に合わなくなってきたのも現実です。
91年の『湾岸戦争』で「海上自衛隊」を『ペルシャ湾』の掃海に派遣
して以来、『カンボジア』『ゴラン高原』『ルワンダ』『イラク』など、
「後方支援・復興支援」「平和維持活動=PKO」「難民救助」などで
も「自衛隊派遣」を行ってきました。
「省昇格」には、「自衛隊の海外活動」を「国土防衛」や「災害派遣」
と同じ「本来任務」と位置づけることによってやりやすくする狙いが
あります。


諸外国は、古くから「省・軍」の扱い方だった
私は「NNN・マニラ支局長」時代、『駐フィリピン大使館』で「駐在
の自衛隊員」に会うことがありました。戦前なら「駐在武官」という
存在ですが、彼らの名刺には「駐在防衛官」という肩書きが書き込ま
れています。「かつての軍隊とは違う」と言うことを示しているのです。
しかし、それは「日本人」だけが主張しているのであって、諸外国で
は「駐在武官」という扱いでした。

私は、『カンボジア』にも『モザンビーク』にも『ゴラン高原』にも、
「自衛隊PKO」の取材に同行しました。
「日本」では「PKO=Peace-Keeping Operations=国連の平和維持
活動」ですが、それらの国々では「PKF=Peace-Keeping Forces =
平和維持軍」で、「軍隊」と同じ扱いです。
また、「一佐・二佐・三佐」「一尉・二尉・三尉」という階級も日本だ
けのものなので、「一等陸佐=colonel=大佐」というように「外国の
軍隊」と同じように呼ばれていました。
そして外国の報道機関が「自衛隊」を報道するときには、“Japanese
Army”“Japanese Navy”と書くことが多く、「日本陸軍・日本海軍」
なのです。

『防衛省』になると、これまで形式上、首相を経ていた「法案提出」
や閣議の承認が必要だった「行動発令」などが、防衛相が直接行うこと
になります。しかし、「省」になっても、これまでと実質的な違いはな
いでしょう。
中には「戦前のような軍国主義の復活」を心配する人もいるようです
が、「それはない」と信じています。
それよりも、「省昇格」によって、自衛官が誇りと自信を持って「海外
活動」に当たり、「自衛隊」の国際的評価が高まることの方が意義深い
と思います。

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