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2006年11月02日

小林薫被告、死刑確定 2「矯正教育の現状」

横須賀 ゆきの横須賀 ゆきの
読売テレビ放送 編成局アナウンス部・報道局


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奈良で女の子が誘拐され殺害された事件。
小林薫被告の死刑が確定しましたが、
この事件では「性犯罪者の矯正や再犯防止」という課題が浮き彫りになりました。

小林被告はこの事件の前に過去2度の性犯罪歴がありました。
「刑務所は懲罰だけではなく、矯正教育に力をいれるべきだ」
そんな世論の高まりを受けて、今年5月法律が改正され、
性犯罪受刑者に対しての専門の教育が義務付けられました。
強姦や強制わいせつ、痴漢等の性犯罪で服役する受刑者は、
性行動の異常の程度や再犯の危険性を調査した上でレベル分けされます。
最も再犯しやすいグループは8ヶ月間、週2回受講することになっています。

このプログラムをはじめて4ヶ月の奈良少年刑務所を見学することが出来ました。
プログラムを実施するにあたって教室棟の2階の一部を改装。
白い壁に薄い灰色のカーペット、靴は脱いで入ります。
部屋の真ん中に10個の机が円形に並べられ、窓からは日がたっぷりと差し込んでいます。
普通の教室とは全然違う、明るく、ゆったりとした雰囲気。
受刑者が心を落ち着けて自分と向き合えるような環境を整えているんだそうです。

矯正教育は「認知行動療法」という心理療法を用いて行われています。
基本8人の受刑者と2人の心理技官によるグループミーティング。
内容は、
『自分がどのような経緯で性犯罪に至ったのかということを気づかせ、
犯した罪に対して責任を持たせる。
そして自分の性に対する歪んだ思考と被害者の心を理解させる。
それから色んな事件のケースを取り上げる中で、
罪を犯しそうな状態に陥った時に、
犯行に繋がらないように別の行動を選択する幾つもの方法を学ばせる』
というもの。
この行動療法は、カナダをはじめイギリス、ドイツ、アメリカ等欧米諸国で
実施されていて、効果もある程度実証されています。
カナダでは再犯を半減させたというデータも出ています。

ただ、日本でははじまったばかりのプログラム。
現場の職員も、
新しい技量を身につけるのに試行錯誤を重ねているのが現状です。
「不安はあります。効果は刑務所の中ではなく、社会に帰ってからあらわれるので、
効果があるのかないのか聞かれても私達は信じてやってますとしか言いようがない」
と、奈良少年刑務所の職員は話していました。

欧米諸国は性犯罪が社会問題になった90年代前半から、この問題に取り組んできました。
治療法を確立し、法律の整備を進めてきました。
10年以上たった現在もより効果的なプログラムを求めて、研究を続けています。

去年、カナダとドイツの刑務所や治療の現場を取材しました。
治療の効果が全く見られないまま月日だけが過ぎ出所していく者、
治療の効果があったと思ってもまた同様の犯罪で刑務所に戻ってくる者、
職員達は様々なケースに頭を悩ませ時に絶望感に苛まれながら、それでも、
「一人でも被害者を減らせるなら、このプログラムはやる価値があるんだ」という熱意で携わっ
ている姿がそこにはありました。

日本はまだ一歩を踏み出したに過ぎません。
去年はじまった
子供を対象にした性犯罪者の出所情報を警察庁が管理する制度も
課題は山積しています。
刑務所の中での矯正教育の更なる充実、
出所後等も治療を受けられるような体制の整備、
再犯を防ぐ為の長く険しい道のりは、はじまったばかりです。

カナダ、ドイツを中心に各国の性犯罪対策事情を【ニュースの合間のひとり言の「性犯罪の
連鎖を断ち切るために
」】にまとめています。もしよければご参照ください。

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