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2006年10月11日

上海市トップ更迭の衝撃

大泉 純子大泉 純子
読売テレビ放送 報道局 報道部記者

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絵に描いたような汚職事件
先月末のこと。夕方飛び込んできた『上海市書記、陳良宇氏解任』の
一報に、私の周りにいた記者やスタッフは誰も反応しませんでしたが、
私は『うぇぇぇぇぇぇ!!!』と心の中で叫んでいました。

確かに、「上海市の書記」と言われても、「誰やそれ?」ですよね。
しかも「書記」とはどういう立場の人なのか……。
政党や労働組合には「書記」という肩書きがあるものですが、日本の
行政機構の中では「書記」といわれてもピンと来ないもの。
実は中国の行政機構の中で、「書記」は市長より上……ナンバー1の
幹部なのです。
解任の原因は、市民の社会保障のために積み立てられた公的なお金、
日本円にして約500億円を、陳氏が知り合いの企業に不正に融資し
ていたというものです。絵に描いたような汚職事件です。
一般的に、権力をもつ党や政府の幹部に対する賄賂・汚職はあっても
不思議ではないとは思います。
中国でのこうした汚職や政府幹部の腐敗は、これまでにも言われては
いたものの、どちらかといえば地方政府で問題になっていました。
一部の特権階級にはびこる黒い金。しわ寄せを食らうのは農民や低所
得者層です。
それが、地方での暴動の原因のひとつであると指摘されています。
しかし、今回の事案は中国経済の牽引役であると自他共に認める上海。
そこで、冒頭の『うぇぇぇぇぇぇぇ』なわけです。
これまでに何度もお伝えしていますが、中国は中国共産党の国。
全ての司法も立法も行政も、あらゆる公的組織の上に、必ず中国共産
党があります。
中国共産党のナンバー1が、胡錦涛総書記です。
共産党の最高政策決定機関は政治局という組織です。
このメンバーである政治局員の数は、たったの25人。
陳良宇氏はその一人でした。
上海市のトップであり、党中央の幹部の一人でもある陳氏による汚職
事件摘発は、私個人的には今年の10大ニュースにランクインするはず
です。


それでも詳しいことはわからないのが中国
中国の人口はおよそ13億人……そのうち、共産党員であるのは公式
発表によると、7000万人あまりとされています。
党員は、人口の一割にも満たないのです。
共産党員だけでも胡錦涛氏をトップとする巨大な組織のピラミッド。
当然、党員でない一般の国民は底辺に広がります。
その底辺の大きさ、組織のいびつさがご想像いただけるかと思います。
中央の組織のもとに各地方にも共産党組織があります。
上海の場合は、正式には「中国共産党上海市委員会」といってその
トップが「書記」。
その下に「上海市人民政府」があり、市長がいて、市長という立場は
ナンバー2ということになります。
上海市は、その経済的発展と、上海出身の党中央幹部の力を後ろ盾に、
時には中央の指示に従わず独自の政策を推し進めてきました。
党中央が陳氏の解任を発表した直後、市長の韓正氏が書記代行に任命
されました。
これまでは陳良宇氏の後ろに控え、陳氏に従えていた(ように表向き
は見えた)韓正氏は一転、陳氏の事件を非難し、公式の場で中央への
忠誠を誓いました。
権力闘争の一端を垣間見た気がしました。怖いなぁ……と思いました。
今回の事件本記のその後については、まだ中国でも詳しく報道されて
いないので、引き続きフォローしていきたいと思います。
日本でこの種の汚職事件が起きたなら、新聞、テレビ、各社独自の
取材を展開し、続報のスクープ合戦になるところですが、中国では
党の宣伝部の許可なしに勝手に記事にできないので、どの新聞も記事
は横並びで面白くないというのが現状です。

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