順風満帆の安倍政権だが
岩田 公雄
報道局解説委員長(局長待遇)
郵政造反組の復党はどうなる
『安倍政権』は、高い支持率で「臨時国会序盤」を無難に乗り切り、
さらに「中韓歴訪」や「北朝鮮の核実験」を追い風に「衆院補選」も
完勝して、政権1ヶ月で安定軌道に乗りました。
『安倍政権』は、「国会運営」でもこの「官邸主導の政策運営」を一層
強めていくのでしょう。
まず、政権が最重要課題に掲げる『教育基本法改正案』は審議が加速
して、「政府案」のまま今国会での成立を目指すことになります。
また、『防衛庁』の「省昇格」を目指す『防衛省昇格法案』は審議入り
し、「憲法改正の手続き」を定める『国民投票法案』は「小委員会」が
設置され、継続審議の見通しが立ちました。
このように順風満帆の船出に見える『安倍政権』ですが、「郵政造反組
の復党問題」が大きな火種になりそうです。
平沼赳夫氏・堀内光雄氏・野田聖子氏などに代表される「造反組」は、
「選挙に強い」という共通点を持ち、来年夏の『参院選』を考えた時、
絶対に必要な戦力だからです。
「与野党逆転」を狙う小沢一郎・民主党代表にとっても絶対に欲しい
人材ですが、「民主党入り」を表明したのは『鳥取』の川上義博元議員
だけです。
綿貫民輔氏・亀井静香氏・久興氏など『日本新党』組を除く「造反組」
が『自民党』復党にこだわるのは、「野党にいては何もできない」こと
を知っているからです。
私が「初代報道東京駐在」として赴任してきたのは、1993年9月。
その直前に、『日本新党・新政党・新党さきがけ・民社党・公明党・
社会党・社民連・民改連』の8つの政党・会派の『細川内閣』が誕生
しました。
「55体制」以後、『自民党』が初めて「野党」になった時です。
そして、「政権」を外れた「自民党議員」が知ったのは、陳情が来なく
なったこと、官庁の役人にもなかなか会えなくなったことなど“野党
の悲哀”だったのです。
そして、「何が何でも政権に戻ろう」とした『自民党』が図ったのは、
社会党の村山富市委員長を主犯とする『自・社・さ連立政権』でした。
平沼赳夫氏・堀内光雄氏・野田聖子氏らは「復党」に自信を持ち、さら
に未来を見ているのです。
小泉チルドレンは使い捨てか
青木幹雄氏・片山虎之助氏ら「自民党・参院執行部」が「造反組復党」
に積極的なことに対し、「小泉チルドレン」が「復党反対の署名活動」
を開始しました。
これに参加したのは82人のチルドレンのうち57人。
「現時点での復党は、国民に自民党のおごりと思われる」「党としての
筋を通して欲しい」というのが、反対の弁です。
もし、選挙に強い「造反組」が復党すれば、次の衆議院選挙でチルド
レンの出番はなくなります。
この話を受けて、民主党・菅直人代表代行は、「自民党は“使い捨ての
政党”であることを示している」という談話を残しています。
「小泉チルドレン」が恐れているのは“使い捨て”になることです。
安倍総裁は「幹事長に検討して頂きたい」と述べ、中川秀直幹事長は
「首相の公約に全面的に賛成するなら、“安倍リーグ”に入るべき」と
話し、「復党に前向きな姿勢」を見せています。
これに対し、“チルドレンの生みの親”である小泉純一郎前首相は、
建部勤前幹事長との会談で、「既得権者、郵便局の票を当てにしたら、
参院選で負けるぞ」と、「造反組復党には慎重な姿勢が必要」の考えを
示しました。
いずれにしても「復党」は実現するのでしょうが、「それがいつになる
のか」「“刺客議員”の選挙区の調整をどうするのか」など難問が山積
しています。
この問題がこじれると、順風満帆の『安倍政権』は新たな“火種”を
抱えることになりそうです。






