« 衆議院補選は、自民党の2勝 | トップページへ戻る | 上海蟹とは切っても切れない『紹興酒』 »

2006年10月24日

北朝鮮は経済制裁でどうなる

岩田 公雄岩田 公雄
報道局解説委員長(局長待遇)


詳しいプロフィールを見る>>

北朝鮮の贅沢品は誰のためのものか
『国連安全保障理事会』は、「核実験」に踏み切った『北朝鮮』に対し、
「国連憲章7章」に基づく「制裁決議」を全会一致で採択しました。
この「決議」の中で私が一番注目したのは、「贅沢品の供給・移転の阻止」
という一節でした。

「食糧やエネルギーに苦しむ北朝鮮」という国に「贅沢品という言葉は
似合わないよう」に思えるのですが、91年と92年に『北朝鮮』に
入国取材した私は「贅沢品があれほどある国も少ない」と思っています。
まず、「平壌は北朝鮮のショーウインドー」と言われますが、『平壌』
の街並みはきれいですし、『金日成主席像』『チュチェ思想塔』などの
巨大な記念碑、48階建てや45階建てのホテル、15万人・10万
人収容の競技場などの見事な建造物があちこちにあります。
これらは、80年以降、金正日総書記の指導の元に作られたのですが、
「世界一が大好き」という“金書記の好み”の現れです。
ドイツの街以外で、ここほど『ベンツ』にあふれた街はありません。
労働党や軍の幹部は、運転手付きの『ベンツ』で出勤です。92年の
訪朝の時の私は、「放送団」の団長でしたから、『ベンツ』が貸与され
ました。
そしてその時、「何を土産にしようか」と北朝鮮をよく知る人に相談し
たところ、「ネクタイや時計ならヨーロッパのブランドもの。でも貰い
なれているから、よほどのものじゃないとダメ」といわれました。
また、その時逢った名古屋の在日朝鮮人のお婆ちゃんは「今度は10
台のベンツを持ってきたの」と自慢げに話していました。
「帰還運動」で北朝鮮に帰国した肉親を持つ人は、彼らが暮らし易い
場所に住めるように「労働党への寄付」が欠かせないといいます。
「世界一が大好き」な金総書記は、ブランデーもワインも超高級品し
か飲みませんし、「日本の食材を『万景峰号』で取り寄せることもある」
と言います。
そして金総書記は、それらの贅沢品を自分で食べたり、使ったりするだ
けではなく、党や軍の幹部に贈ることで忠誠心を買っていたのです。
しかし「贅沢品の供給・移転の阻止」で、それができなくなる日がくる
かもしれません。
そうなったとき、党や軍の幹部は金総書記を支える意味がなくなり、
離反や反発が起こらないでしょうか。
私には「金王朝の崩壊」が早いように思えます。


食糧とエネルギーは中韓からの援助の北朝鮮
「北朝鮮への経済制裁」を巡って「世界の外交」が動き出しています。
中国の唐家璇国務委員が北朝鮮に入り、金総書記と会談を行いました。
会談の中身は発表されていませんが、金総書記は「成果はあった」と
述べたと伝えられています。
アメリカのライス国務長官は、日・韓・中・ロを歴訪し、「安保理決議
の履行問題」を協議しています。
そして、少しずつ「経済制裁」の動きが見えてきました。
『中国』国境の一部では、「北朝鮮向けの石油や電気製品の輸出」に
一定の制限をかけ始めました。また、『中国銀行』は「北朝鮮への送金」
を禁止しています。
“友好国”の『中・韓』に「食糧とエネルギー源」の多くを頼ってい
る『北朝鮮』は、どのようにして「経済制裁」を凌ぐのでしょうか。
金総書記が飢えることはないでしょうが、国民の飢えは目前です。


Copyright (c) 2006YOMIURI TELECASTING CORPORATION. All Rights Reserved.