小林薫被告に死刑を求刑
横須賀 ゆきの
読売テレビ放送 編成局アナウンス部・報道局
「人を人形のように扱い人間性のかけらも無い。矯正は不可能」
一昨年11月、奈良で小学一年生だった女の子が誘拐され殺害された事件の
論告求刑公判で検察側は『死刑』を求刑しました。
小林被告は起訴事実を全面的に認めていますが、
弁護側は事件の背景には、不遇な生い立ちがあると主張。
量刑の判断材料となる「情状鑑定」が行われ、
反社会性の人格障害があることや、
子供に対する性的な関心が高いことなどが指摘されていました。
一年以上に及ぶ裁判の中で、
「早く死刑にして欲しい」
「こんな裁判は茶番だ」
「なぜ命が尊いのか分からない」
と明確な反省を表すことはなかった被告。
毎回傍聴に来ていた女の子の両親は、自ら法廷に立った意見陳述で、
「本当に反省していたら、軽々しく死刑にして欲しいと言えるはずがない」と、
極刑以上の刑を臨むと訴えていました。
午前10時頃、小林被告は上下グレーのスウェットにサンダル姿で入廷。
これまで被告人席に居る時は、目を閉じ余り身体を動かすこともありませんでしたが、
この日は手を組み替えたり髪の毛や頬に手をやったり座り直したりと
落ちつかない様子でした。
検察の論告求刑は1時間半にも及び、
その中で、犯行がいかに身勝手で卑劣であるか、その悪質性を強調。
また公判を通じて反省等の態度を見せないのは、自分の性格のゆがみを
不遇な生い立ちになすりつけているだけだとして、「矯正は到底不可能」。
そして「人間として基本的な倫理観に欠き、動機に酌量の余地は無い」と指摘。
「死刑を求刑します」
最後に、検察官の声が法廷に響き渡りました。
小林被告は、首を縦に数回ふり、口端に笑みを浮かべたように私の目には映りました。
一方で、女の子を奪われた父親は唇を噛み締め涙を堪えて前を見据え、
母親はメモを取り続けてきたノートで顔を覆い、肩を震わせていました。
その相反する姿になんともやりきれない苦しさで胸が締め付けられる思いです。
通常、被害者が一人の殺人などの場合、量刑は無期懲役か有期刑の最高刑が多い中での
異例の求刑。しかし今回、検察官が極刑の求刑に踏み切ったのは、事件の悪質性、
社会に与えた影響、遺族の厳しい処罰感情を考慮したからだと言えます。
時折、被告人に厳しい視線を送りながら、
「残虐、卑劣、自己中心的な犯行」「矯正不可能」「極刑を持って臨むしかない」と
何度も繰り返す検察官の姿を見聞きし、私は、検察側の強い意志を感じました。
『子供を狙う犯罪を絶対にゆるしてはならない』と。
この事件の後も広島、栃木、京都、滋賀、秋田等で幼い命が奪われる事件が相次いで
起こっています。
奈良地裁がどのような判断を下すのか。
判決が今後どのような影響を与えるのか。
弁護側の最終弁論を経て、判決は、早ければ今年の夏に言い渡される見通しです。






