政治記者の取材余話(2)
岩田 公雄
報道局解説委員長(局長待遇)
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夜討ち朝駆け・ぶら下がり
政治記者の取材方法に、「夜討ち朝駆け」と「ぶら下がり」というの
があります。
「夜討ち朝駆け」は、その名の通り「夜と朝の取材」……「夜討ち」
は政治家が夜遅く自宅に帰った時を狙って取材することで、「朝駆け」
は朝家を出る時や議員会館に入る時に取材することです。
もっとも「夜討ち・朝駆け」を続けて行うには、家に帰っても仮眠を
取って着替えをする程度の時間しかありません。記者がそうした積極的な
姿勢を見せることで、政治家も本音を漏らすようになり、思わぬネタ
を手にすることがあるのです。
「ぶら下がり」は、話を聞きたい政治家にぶら下がるように密着して
取材することです。
私も若い頃は政治家の皆さんと頻繁に接触するようにしていました。
この「ぶら下がり」を小泉総理は、新しい形にしました。
閣議の後、官邸を出てきた小泉総理が、マイクの載った小さなテーブ
ルの前で足を止め、二言三言話す光景をテレビで見ることがあるでし
ょう。あれが「小泉式ぶら下がり」です。まるで会見のようですが、
総理としては「ぶら下がりで話をする」ようなものです。私たちにと
っては、「総理の肉声」をこれほどしっかり採ることができるのです
から、取材者として重要な機会ととらえています。
小泉総理が実質的に派閥を解消し、領袖の力を奪い、総理官邸に力を
集中させたことによって、我々取材陣が一番困ったことは「閣僚人事」
です。
小泉総理の登場までは、派閥から当選5回くらいの入閣候補者が発表
されているので、大方の予想がついたのですが、小泉内閣ではそれが
通用しなくなりました。
「誰をどのポストに起用するか」は、小泉さんの頭の中にしかないの
ですから。
スクープはこうして生まれた
2001年4月、小泉内閣発足の日の朝。
或る大学の教授から私宛に「竹中平蔵が入閣する」という電話があり
ました。
しかし、その時点で「竹中平蔵入閣」は余りにも突然で、信じていい
のか、信じられないのか判断に迷いました。
そこで裏をとることにして、別の教授に電話しました。
すると「竹中さんが○○先生のところに、入閣の連絡があったよ」と
いう返事。そこで「竹中入閣か」という第一報をどこの局よりも早く
流しました。
最初の電話は竹中さんの恩師に当たる人で、裏をとったのは竹中さん
の同僚の先生です。共に私が東京赴任以来築き上げた情報網の方々で、
貴重な情報に小躍りしたものです。
もう一つは、今年の3月31日の朝。
「前原誠司民主党代表が、午後2時から辞任会見をする」という話が
情報源の一人から伝えられました。
それまで『メール問題』では強気の発言が続いていただけに、これも
判断に迷いました。そこで裏をとるために方々に電話したところ、
「後援者に会って、辞任の意志を伝えていた」ことが明らかになり、
どこの局よりも早く「前原代表、辞任へ」と放送しました。
この2つのスクープに共通するのは、「日常活動における人脈構築の
大切さ」を痛感したことです。
これからも情報網の方々と親しくしていきたいと思っています。






