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小澤昭博(ytvアナウンサー)『小澤昭博のゴルフナビ』

“THE OPEN”観戦記4

まるで“草原”のようなコースを前にして、私は「こんな所でゴルフが出来るのか?」と思いました。

しかし、世界で活躍するプレーヤー達はいとも簡単にこの難コースを攻略していきます。

まずはトム・ワトソン。メジャーで8勝、世界殿堂入りも果たし、ジャック・二クラウスの後継者としてかつては“新帝王”と称されました。

1949年9月生まれの現在61歳。いまだその人気は健在で、彼がティーグランドに姿を現すとギャラリーからは割れんばかりの拍手で迎えられ、「トム!トム!」の大合唱。

軽く会釈をするその姿にさらにボルテージがあがります。私がゴルフを始めた頃のスーパースターですから、私も思わず「トム~!」と絶叫!!

61歳とは到底思えない飛距離と正確なショット。二日目の6番ホールではホールインワンを果たしました。あの強風の中でもプレーによどみがなく、即断即決でプレーしていきます。そのプレーのテンポの良さに心地よさを感じます。

驚いたのは、ウッド系のクラブにヘッドカバーを装着していなかったことです。プロゴルファーにとってクラブは武士の刀と同じ“命”です。プロは少しの傷でも嫌がり、他人に触られることにすら抵抗があるものですが、トム・ワトソンはそんなことはお構いなし。悪天候の中でキャディーさんの雑務を減らすことが理由なのでしょう。世界のトップともなると懐が深いな~と感動。

トム・ワトソンは結局22位タイでフィニッシュ。人気のみならず、その技術がいまだ健在であることを証明しました。

現在41歳で世界ランキング6位※のフィル・ミケルソンは2位タイ。
最終日一時は首位タイに並び、会場を大いに盛り上げました。

身長191センチのレフティーから放たれるショットは“豪快”の一言。強烈なヘッドスピードでありながら、それでいてとても柔らかいスイングをしています。

そのミケルソンの姿をスタート前のパッティンググリーンで見つけました。

ミケルソンのパッティング練習は見ていて飽きません。「どうやって打ったらあんなに伸びの良いボールが打てるんだろう・・・」というぐらいミケルソンがヒットしたボールは、糸を引くようにスーッと伸びていきます。強い雨が叩きつける中でも、1球1球丁寧に転がしている姿がとても印象的でした。

そして次に今年度全米オープンチャンピオンで、地元イギリス出身22歳の若きスター、現在世界ランキング5位※のローリー・マキロイ。今大会一番人気です。

メジャータイトルを獲得したことで“ポスト・タイガー”の一番手に名乗りを挙げました。イギリスBBCテレビは彼の一挙手一投足を伝え、メジャー連覇への期待感を膨らませました。

彼が観衆の前に現れた時のムードはワトソン登場の際の歓迎ムードとも違い、アイドル登場を待ちわびたコンサート会場のオープニングのようなテンション。日本の石川遼のそれともまた違う盛り上がりでした。

そのマキロイをクラブハウス入り口で見かけた時は一瞬固まってしまいました。

2年前の韓国オープンを観に行った時に、マキロイも石川遼と共に招待選手として来ていて間近で見たことがあるのですが、その時とはまるで風格が違い、全米オープンチャンピオンという自信に満ち溢れたオーラを放っていました。かと言って鼻に付くような傲慢さは無く、周囲に爽やかな風を吹かせていました。

マキロイが次のメジャータイトルを時間を空けずに獲得出来れば、世間はポスト・タイガーの候補から真のスターとしての扱いに変わってくれるでしょう。マキロイは25位タイでフィニッシュ。

日本ツアーで戦う韓国人選手達の目標であろう、現在世界ランキング37位※のY・E・ヤンも16位タイと善戦しました。

2009年の全米オープンでタイガーウッズを相手に逆転優勝した姿は記憶に新しいと思います。アジアの男子プロで唯一のメジャー覇者です。日本ツアーでの活躍が懐かしく思い出されます。

そして優勝した現在42歳、地元イギリス出身のダレン・クラーク。THE OPENを征したことで世界ランキングも117位から30位と87ランクアップ。(※現在は31位)

親日家で日本ツアーにも何度か参戦しています。フィル・ミケルソンと並んで同世代の希望の星です!!

次回は私が今大会で最も注目した選手についてや、日本ツアー会員の選手について・・・。

※世界ランキングは全て7/31付けのランキングです。

日時: 2011年08月03日(水) |

アナウンサー