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尾山憲一(ytvアナウンサー)『スポ根劇場尾山の大将』

野球の神様降臨(1) ( プロ野球 ) > ( 阪神 ) 

2013年10月13日
何も変わらずまたもや短期決戦で勝てずにシーズンが終わるのか…


怒りを通り越してあきらめムードが漂う甲子園。
誰もがこのまま帰路に着くことを予想していた試合終盤にドラマが待っていた。


8回ウラ、1点を返しなおも1死1・2塁で打者1番西岡。
展開上、2番に投手を入れていた阪神は次打者で桧山をスタンバイさせた。
この日先頭弾を放った西岡がつなげば最高の盛り上がりで桧山登場のはず…


しかし・・・
まさかのダブルプレーでイニング終了・・・


代打の神様と呼ばれ、ここ一番での勝負強さを発揮してきた桧山を
9回ウラ先頭打者で起用するほどナンセンスなことはない…
誰もが引退する桧山の最後の勇姿を見ることなく試合終了を予感した。

予想通り、9回ウラ先頭、投手の打順で指名されたのは上本。
次は3番鳥谷、4番マートンだけに、三者凡退ならば桧山の出番はない。
個人的にため息をつきながらの取材となった。


上本・鳥谷倒れて2アウト。
打席に向かうマートンとほぼ時を同じくして姿を現したのは桧山だった。


球場右半分に
『マートン頼む!桧山まで回してくれ!!』
そんな空気が充満した。


マウンドはカープ守護神ミコライオ。
16年ぶりのAクラス・初のCS進出に沸く広島ファンの願いは
‘早く27個目のアウトを取ってくれ・・・’


キャッチャー石原はインサイドに構えるが、ミコライオの投じた一球は、
石原の要求とは逆サイドの外角へ・・・
来日4年で3回目の最多安打を獲得した安打製造機マートンは
その甘い球を逃さなかった。


桧山に回った!


マートンライト前ヒットで出塁!


試合展開上、現役最後の最後の打席に向かう桧山は、
1塁ベース上のマートンへアイコンタクトを送った。
映像を見る限り、口元で『ありがとう』と言っていたように見えた。


さぁ~正真正銘!
タイガースひと筋22年、桧山進次郎、現役最後の打席…


球場右半分から桧山のヒッティングマーチの大合唱が始まった。


♪この~一打に賭~けろ~
♪気合い~で振り抜~けよ~
♪誰~もお~前を止められぬ~
♪桧山~よ突っ走れ~




この後、期待はしながらも、誰もが予想もしていなかった結果が!


やはり野球の神様は存在したんだ…


記者席で目頭が熱くなった瞬間だった。




続く


敬称略

投稿者: 尾山憲一 日時: 2013年10月19日(土) |

アナウンサー