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野村明大(ytvアナウンサー)『野村明大の徒然なる道』

徒然なる「ダム問題」は、関心が高いようで…

槇尾川ダムの問題。

大阪の「小さなダム」計画を巡る

問題ですが。。。


マニアックな問題なのに、

非常に、皆さんの、関心が高いようで。。。。。


というわけで、

先日にも書いたエントリの

焼き直し、、、


ですが、


今一度、

大事な問題について、


整理、、、しておきます。


2日の府河川整備委員会で
「脱ダム」案が妥当とする意見書案が、
提出されました。


結果的には、

「保留」とする委員が多く出て、


ダム中止に「賛成多数」ながらも、


ダム中止が「過半数」には至らず、

「委員会」としての

意見集約を、


断念したわけですが、、、、、

ここで、
2案を、
もう一度、比べてみます。

コスト面
→108億円と80億円=「脱ダム」案有利

環境面
→「脱ダム」案も環境に無影響ではないが、「ダム」案に比べると、
  格段に影響少ない。

超過洪水への対応面
→65ミリの大雨対策としては、同等。
 
 それ以上の大雨に対して、「ダム案」がより有効とする委員もいる
 一方で、「脱ダム案+堤防補強」が、「ダム案」ないしは「ダム+堤防補強」
 より、圧倒的に有効とする委員もいる。

 これに関しては、「不確実なデータ」部分をどう見るか?に大きく左右される
 ことから、コンセンサスがとれた形で優劣を決めることは、現状不可能。


と、

まあ、ざっと、こういったところです。

ここで、、、今一度、、、、、

「重要」かつ「絶対に認識しておいて頂きたい」のは、


「想定を超える大雨」に対してさえ、、

「ダム案」が、「比較優位」でもなければ、「絶対安心」でもない、ということです。

先日も、放送&スタジオでの解説後、何人にも聞かれました。

「想定を超えた大雨が降ったら、ダムのほうが有効ではないの?」と。

回答は、

「降る雨のパターンによって違うし、必ずしもそうとは、全く言い切れない。

 特にダムは、『想定』外の大雨の中で、さらに大きな大雨が降った場合(ダムが満杯になった場合)
 完全に、その存在が、『ない』のと同様の状態に、なる」


ということです。

もちろん、先日の「奄美」レベルの大雨に対しては、
その「状態」です。


もっと言うなら、

「たぶん、堤防補強は、ダムよりも、他のなによりも、
 国民の命を守ることに、圧倒的に、寄与します。」


しかし、
「ダム」のように、


「水位」を「5センチ下げる」「10センチ下げる」といった形で、
計画の中に、「明確な効果」をうたって盛り込むことが、
その性格上、難しいのです。

「恐らく、一番、命を守るのに寄与するであろう」堤防強化。

でも、

「計画上、明確に、『どれくらい寄与するか』を数値化するのが、難しい」堤防強化。

「65ミリ対応」とか「80ミリ対応」

「50年に一度」とか「100年に一度」

という概念の、

決定的に馬鹿げていて、恐ろしいところは、

「明確に数値化できない」一事をもって、
「もっとも効果的であろう」堤防強化策を採り入れる「モチベーション」を、


行政側から、極度に、奪ってしまう、、、、ことです。。。


( 「漢方薬の効能」 「西洋医学と東洋医学」 なんていったことが、
 アタマに浮かびます。。。


 たとえば、
 
 「効能がはっきり数値化できない」というような理由で、
 
 漢方薬や東洋医学を一切切り捨て、

 

 ちょっとした病状であっても、すぐさま大手術ばかりを敢行するような医療があったとすれば、

 本当に、理想の『医療』でしょうか、、、、)


東洋医学や漢方薬の「有効度」以上に、


おそらく圧倒的に、
治水行政における「堤防補強」の効果は、
「重要」かつ「絶大」、、、、、ですが、、、、、、

「人の命を守る」なら、「一番大切」な対策のはず、、、、なのですが、、、、、、、、

実際に、「どの程度、人の命を守ることに寄与したか」が「計算ではじきだしづらい」
という一事をもって、


「排除されてしまう」

おかしいと思いませんか? 怖いと思いませんか?

でも、
「行政」の「計画論」的議論においては、

「妥当なプロセス」、、、、なんです、、、、、
そうなってしまうのです。。。どうしても。。。


だから、


「○ミリ対策」とか、
「○年に一度」とか、


そういうナンセンスな「足かせ」は、

可能な限り、「低い水準」に抑えよ、と、

私は、行政に対して、提言したいのです。

「足かせ」を、低い水準に抑えることによって、

「裁量度」が、増します。


裁量度が増すというのがどういうことかというと、

「本当に効果的な対策は、
 たとえ、数値化しづらいものであっても、
 採用しやすくなる」


ということです。


(実は、「環境面」といった、
 これまた「数値化しにくい」要素についても、
 考慮しやすくなります…


 なにせ、ダムの「環境への悪影響」といえば、

 半端ではないですからね。)


槇尾川に関していえば、


「足かせ」は、「50ミリ」で、十分でしょう。
「10年に一度」で、十分だと思います。


その「足かせ」を、
「65ミリ」まで、無理に引き上げていると、
私は理解しています。

65ミリに引き上げてもなおかつ、
「脱ダム案」が、28億円も、安いということに、

苦笑してしまいますが。。。。。


「50ミリ」に、「足かせ」を引き下げたら、
何十億、安くなるでしょうか?

そこで浮いた「何十億」「28億」を、


くだらない「足かせ」をクリアするために使うのではなく、
「本当に命を守る」ことに、、、使ってほしい、、、ものです。。。。まったく。。。。


実質的な「使い方」をすれば、

90ミリ、100ミリ対応の「対策」を行うことすら、可能でしょう。

たとえ、明確に「数値化」できなくても、
それに近い「効果」をあげることが、可能になるのにね。。。。


「足かせ」にとらわれることは、

まさに、橋下知事が今、一番、国に対して不満をぶちまけている
「義務付け・枠付け」といった「ナンセンスな足かせ」に、通ずる議論だと、思っています。


「何平米以上ないと、保育施設として、成立しない」とか、


なんの根拠もない「足かせ」によって、
実質的に国民の利益が、制約されてしまっている。。。

実は、
治水行政における「何ミリ対策」「○年に一度の大雨」「ハイウォーター」といった「概念」は、


すべて、
「義務付け・枠付け」に近い「足かせ」だと、

思っています。

ただ、

「命に関わること」
「理系の難しそうなこと」

だから、、、、、、、

技術屋さんに、難しそうな専門用語を、ばばばっとまくし立てられると、


議論に入る前の段階から、
白旗を、あげてしまう、、、首長が多い、、、、わけです。。。


多くの「文系出身」の首長、政治家が、そうでしょう。

一年前までの橋下知事も、そうでした。
それは、知事自身が、認めていることです。

いまや知事は、
非常な勉強・研究によって、


今述べてきたようなことを、

十分、理解されている「域」に近いレベルに、到達されているのでは?と、思われます。

であるならば、、、、
であるからこそ、、、、、


「ナンセンスな金縛り」を取っ払う
「突破口」を、大阪から、示してほしい、、、ものです。


実はこの「小さな大阪の補助ダム問題」は、


非常に重要な「要素」を内包している、、、、、問題、、、、なわけです。。。。。

投稿者: 野村明大 日時: 2010年11月07日(日) |

アナウンサー