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野村明大(ytvアナウンサー)『野村明大の徒然なる道』

徒然なる「秘話」橋下知事の会見

あれから一年・・・

私が懐かしく思い出すのは


ちょうど1年前の4月23日

橋下大阪府知事の定例記者会見です。


去年2月の就任時

橋下知事は

「記者会見は戦場」

「下らない質問をした記者は、論破する!」と

メディアに対して

宣戦布告しました。

各社の新聞・テレビの記者も

曲りなりにも「プロ」

知事のこの挑発に対し、

記者たちは

「矛盾点」や「おかしな府政運営」、

「疑問符がつく政治姿勢」があれば

見逃してなるものか、、、、



闘志を燃え上がらせたものです。


当時、就任から2か月。

橋下知事とメディアとの攻防は


まさしく「戦場」でした。

各社の記者が

疑問に感じたことを

次々と、知事に直接、ぶつけます。

受ける知事は1人ですが、

攻める「記者側」は約20社40人。

記者の「攻め」に対し


弁論では当代一と

自他共に認める

橋下知事(弁護士)も

一歩もひきません。

知事は、

他の政治家と違い

台本なし

全アドリブ(自分のことば)で

記者の質問攻めに対し

一つ一つ、防戦します。

知事言うところの「論破」

記者側からみれば「説明」

という名の

「攻防」が

毎週、1時間以上に渡って

繰り広げられたものです。

(まあ、これは、今もですが。。。。)

知事就任から2か月半がたっても、


そんな激しい「記者会見」の風景は変わらず、

毎週行われていました。

なぜなら、


有名タレントから

大差で選挙を圧勝した橋下知事ではありましたが

当初の公約は

いかにも「アバウト」で


知事が声高に叫ぶ「財政再建」にしても

「本当に、大なたをふるうことができるのか?」

「最後は腰砕けになるのではないか?」


というのが、

一年前の時点で

メディア側の多くを占めた「見立て」だったからです。

(今でこそ、

賛否あることは間違いないにしても

「財政へのメス」や「国に物申す姿勢」について

知事の「実行力」は一定程度、

証明もされましたし、評価もされているのは

皆さんもご承知の通りです。)

さて

一年前の4月23日。

その日も私は、

心して、記者会見に臨みました。

詳細は省きますが、

その日、私が知事に問うたのは

「知事の政治スタンス」の問題でした。


知事の、各党に対する、「距離のとりかた」についてです。

案の定、

知事との間で

激しいやりとりとなりました。

そして、

最後、

知事が、

こう言いました。

「そうですね。。。。

もう、野村さんには、理屈でかないそうもありませんので、

正直に言いますが、

・・・・・・(ここでは略)。。。」


と。

会見場も

若干、ざわめいたのを記憶しています。

その瞬間。

私が感じたことは、2点です。

1点目は、

「凄い知事だな。。。」

会見の場で、

自分の論調を軌道修正することなど

知事職の立場にある人間が

そう簡単にできることでしょうか?

「言動が軽い」という批判がつきまとう知事ならではの

非難されるべき発言ととらえる向きもあるかもしれません。


しかし私は、

知事の持つ「柔軟性」に対し

非常な感銘を受けたのを覚えています。

その後、一年に渡って

知事をウォッチしてきましたが、


知事の柔軟な姿勢には

常に感心させられっぱなしです。


府庁内部からの意見具申、自らが招いた「顧問」からの意見はもちろんのこと

普段、「口げんか」に近い、白熱したやり取りを繰り広げる記者からの指摘でも


「良い指摘」については


びっくりするほどのスピードで、取り入れ、取り込みます。

恐らく、

「橋下番」といわれる記者たちは

多くが、同じことを感じているのではないでしょうか。

私が感じていることのもう一点は、

自分にとっても画期的な一日になったということです。


アナウンサーとして入社して14年目。


いろんな仕事を経験する中で

時には自信をつけ

時には自信を失い

あっという間の13年間を過ごしてきましたが、

そんないろんな仕事経験の中でも

指折りの

「仕事をしていて、自信を持てた一瞬」です。


思い出すなら、

甲子園球場の5万観衆を前に

ヒーローインタビュアーを初めて務めたとき

(確か新庄選手・・・)

以来の瞬間かもしれません。。。


なにせ

あの

「弁の立つことにおいては、右に出るものがいない」

橋下知事に

「野村さんには、理屈ではかなわない」と

言われたわけですから。。。


その後、一年間


時には疑問を感じながら、厳しく、

時には同調しながら、

自信をもって

「記者会見」に臨むことが出来てきました。


今後、取材者として、

どのような「記者会見」に臨む場合でも


同じような気持ちで

臨むことができるでしょう。


「あの」橋下知事をして

そう言わしめたというのは

取材者としても

それくらいの財産です。


そういう意味で

一年前の今日は


自分自身の成長の過程においても

画期的な一日と、なったわけであります。。。。

あれから一年

精力的に動き回る知事の活力と意欲、情熱に

感嘆し、驚くことの多い毎日ですが、


そうはいっても、

大阪府知事というのは

やはり

「一大権力者」


メディアの役割として

一義的には


知事の言うこと、府政運営に対し


常に、疑問の目を持ち

批判的な視点を忘れないように

今後も

取材していきたいと

あれから一年を経て

改めて、思うのでありました。。。。

投稿者: 野村明大 日時: 2009年04月23日(木) | コメント (1)

コメント

この話はナニゲに凄い☆☆

投稿者: 凄い☆ 日時:2009年12月27日(日) at 09:25

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