プロ野球選手のセカンドキャリア

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一冊の本が贈られてきた。
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元阪神タイガース投手の奥村武博さんが執筆。
現役引退後、勉強に勉強を重ね、
合格率約10%と言われる難関中の難関である公認会計士に合格したのだ。


プロ野球選手が現役を退いた後の人生・・・いわゆるセカンドキャリアに苦しむ中、
大きな夢や希望を与えたと言っても過言ではない。


彼は、岐阜商業高校から1997年ドラフト6位で阪神に指名され入団。
1軍登板は果たせず、現役生活は4年と短かった。
1年間だけ打撃投手をした後に、野球界から離れ、その後、意を決して勉強に取り組み始めた。
合格まで9年の歳月を費やしたが、諦めずに挑戦し続けての今だ。


彼とはこんな思い出がある・・・


高卒1年目の98年ペナントレース終盤。
当時入社6年目の若手だった私と一緒にたまたま甲子園球場である試合を観ていた。
98年10月8日 横浜ベイスターズ(現DeNA)がリーグ優勝を決めた試合である。
優勝決定のマウンドにいたのは絶対的守護神:大魔神こと佐々木主浩さんだった。


当時の佐々木投手は150キロの速球と140キロ超のフォークが武器。
伝家の宝刀であるそのフォークボールを見た彼がボソッとひと言・・・


『僕のストレートより速いっす・・・』


高卒選手の1年目はまず身体作りから入ることが多い中、
彼は右ひじに異変を感じていたこともあるが、
私は「まだ1年目やんか、これからやで」と励ましたことを今でも鮮明に覚えている。


その後もケガに泣かされ続け、結局現役生活は4年と短いものだったが、
プロ野球人のほとんどが苦しむ第二の人生(セカンドキャリア)では、
球速160キロを超えんばかりの勲章を手にしたのだ。


彼のここまでの道のりを素直に尊敬するとともに、
これからの人生に幸あらんことを祈るばかりだ。

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今年5月、横浜スタジアムで取材中にばったり会った時の写真。
彼もたまたま観戦に来ていた時のひとコマ。