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スープのさめない距離


◆ことばの話3700「八ツ場ダムの『ツ』」

民主党政権になって最初の大きな注目事案のひとつは「無駄なダム建設の中止」。中でも注目を集めたのが、群馬県の「八ツ場ダム」です。半世紀以上前に計画ができて、もうあと数年で完成するところまで来ての中止。地元住民のコンセンサスを取るのは、相当難しそうです。
ところでこのダムを巡って、地元以外の人が気になっているのは、
「なぜ『八ツ場』と書いて『やんば』と読むのか?」
ということではないでしょうか?
調べてみると、もともとは文字通り「やつば」と言っていたのが、だんだん言いやすいように変化して「やんば」になったものの、文字表記は元のまま残ったということのようです。
日本語って、必ずしも「『100%言文一致』ではない」ということなのですが、
「『表音文字であるカタカナ』でさえ、『言文一致ではない』」
というところに、違和感を覚えるのでしょう。しかし「八ヶ岳」なども、
「『ケ』と書いて『が』と読んでいる」
んですけどね。
その「ダム」の新聞記事を読んでいて、妙なことに気づきました。「八ツ場」の「ツ」に、「大きい『ツ』と、小さい『ッ』がある」
ということです。9月24日の新聞を見比べて見ると、
(朝日・産経・日経)=「大きい『ツ』」
(読売・毎日)   =「小さい『ッ』」
でした。放送はどうか?9月23日放送の日本テレビの『ニュースリアルタイム』の字幕スーパーを確認すると、
「小さい『ッ』」
になっていました。またダムの現場「八ッ場ダム早期完成」を望む人たちが掲げたパネルの文字も、
「小さい『ッ』」
だったので、NNN系列としては「小さい『ッ』」でOKのようです。
いやあ、日本語って、本当に難しいですね・・・。
2009/9/30

◆ことばの話3699「継母」

酒井法子被告のニュースで、酒井被告と一緒に逃亡していた人は、
「継母(ままはは)」
だという記事がスポーツ紙各紙には出ていましたが、この「継母」を放送で使っても良いのか?と問い合わせが。結論から言うと、
「絶対使っちゃダメではないが、使わないほうが良い」
というところでしょう。理由は、「継母」には「継子(ままこ)いじめ」のイメージが付きまとっているので、わざわざ使う必要があるのかどうかを考えた方がよい、ということです。起こっていることの原因なり何かが「継母であること」にあるのなら、使うのも許容されるかもしれませんが、そうでないなら、わざわざ使わなくても・・・という感じです。
結局「ミヤネ屋」では「継母」は使わず
「父親の再婚相手」「育ての母」
という表現になりました。「継母」について、以前書きました。(「平成ことば事情1588継母と継父」。「ままちち(継父)」も『広辞苑』には載っているんですよ。それと「継母」の「まま」は「ママ」ではありません。)
先日開かれた新聞用語懇談会放送分科会で各社の対応を聞いてみました。その結果、
「父の再婚相手」=日本テレビ、フジテレビ(基本は)、テレビ朝日(定着している)、静岡放送(「けいぼ」は音で聞いて、意味が分からない)、毎日放送、朝日放送、関西テレビ(「継母」と書いて「親族」「父の再婚相手」と読む。「ままはは」は差別的響きがあるので使わない)、テレビ大阪(「ままはは」は使わない。「けいぼ」は音で聞いて分からない)
・「継母(けいぼ)」=TBS、フジテレビ(情報番組)、テレビ朝日(ときどき)、毎日放送(新聞紹介のコーナーなどで)、
・「継母(ままはは)」=テレビ朝日(ときどきコメンテーターが)
・「けいぼ・ままはは」は使わない=NHK
・「義母」としたことがあるが、「この場合は違う」と議論した=テレビ東京
活字(新聞)は「継母」、放送原稿は「はは」=共同通信
といった状況でした。
2009/10/8

◆ことばの話3698「副相」

自民総裁選を報じた「ミヤネ屋」で、河野太郎氏の肩書スーパーが、
「元法務副相」
となっていました。
「副相」
というのは、見慣れません。普通は、
「副大臣」
でしょう。もちろん「法務大臣」の略称は、
「法相」
ですし、「外務大臣」の略称は、
「外相」
それは分かります。少し前まで、「政務次官」と言われていたポストが「副大臣」になってまだ日が浅いからでしょうか、「副相」はなじめません。「ふくしょう」と言って思い浮かぶのは、「副キャプテン」の意味の、
「副将」
です。そこで、これは「副大臣」に直しました。新聞の「副大臣」の表記はどうか?注目しました。
(朝日)国土交通副大臣
(読売)元法務副大臣
(産経)副大臣
(日経)副大臣
(スポーツ報知)農水副大臣、元法務副大臣
といった中で、毎日新聞だけ「見出し」で、
(毎日)元副法相
と、「法相」の上に「副」をつけて使っていました。
ところで、先ほども書いたように「大臣」では「法相」「外相」は使えますし、「大蔵大臣」は「蔵相」と略せます。では、「財務大臣」は、
「財相」
と略せるか?これも違和感があります。やはりまだ「財務相」でしょうね。でも時間が経てば「財相」が定着するのでしょうか?するかもしれませんね。
毎日新聞10月9日の朝刊では見出しも本文も
「副文科相」
という表現を使っていました。「文部科学省」の「副大臣」の省略形です。とても新しい表現だと思いますが、「文部科学」という4文字を、「文科」という2文字にしたことで、その後の「○○相」と相性が良いのかもしれませんね。
2009/10/8



◆ことばの話3697「のりぴーか?のりピーか?」

今年の夏、「ミヤネ屋」は「酒井法子」被告の動きに振り回された・・・と言うか、そのニュース一色でした。そういった中で、「歌手で女優の酒井法子」の愛称の表記は、
「のりぴー」か?「のりピー」か?
という疑問が出ました。具体的には字幕スーパーでこの2種類が出てきたのです。どうやら両方の表記があるようです。ネット上ではGoogle検索(8月20日)してみると、
「のりピー」=2350000
「のりぴー」= 481000
「5:1」の比率で「のりピー」の方が多く使われています。また、グッズの表記や、酒井被告の曲「のりピー音頭」の表記は、ともに「カタカナ」の「ピー」なので、
「のりピー」
を取ることにしました。きのう(8月19日)発売の『週刊新潮』の表記も今朝(8月20日)の『日刊スポーツ』も、
「のりピー」
「ピーはカタカナ」でした。なお「のりピー音頭」も、
「のりピー音頭」=8560
「のりぴー音頭」=1450
2種類の表記がネット上にはありました。ふだんは何気なく見てるんですが、いざ「平仮名か、カタカナか」と言われると、分からないものです・・・。
2009/10/8


◆ことばの話3696「ちょっとあやしい話」

去年のクリスマス・イブの話。「ミヤネ屋」の中で新聞記事を紹介する「ヨミ斬りタイムズ」のネタ選びで、(結局、その日のコーナーは飛んでしまったのですが)とっても「心温まるいいニュース」を見つけました。大阪スポーツの小さな記事です。
アルゼンチンのミシオネス州で、ホームレスの父親が見失った1歳の乳児を、8匹の猫がダンゴ状態に密集して温めて、凍死から救ったという「8匹の猫と赤ちゃんの物語」が話題になっている、というのです。この赤ちゃんを発見した婦人警官が、赤ちゃんを保護しようとしたら、猫が「シャー!!」と威嚇して、赤ちゃんを守ろうとした、というのです。
「ええ話やなあ、ぜひ、紹介しよう!」
と、ディレクターのAさんとIさんと一緒にその準備をしていて、ふと疑問が浮かびました。
「南半球のアルゼンチンは今(去年の12月24日)、真夏ではないのか?そんな季節に『凍死』するのだろうか?」
大スポの記事には、「いつ」赤ちゃんが見つかったかが、一言も書かれていません。
一応調べてみようと、ネットで記事を検索していくと、どうやらネタ元はアメリカの大衆紙「SUN」。その記事を読むと、新聞が出たのが12月20日(土曜)、婦人警官が赤ちゃんを見つけたのは水曜日、ということは12月17日。やはり「真夏」です。
でもアルゼンチンは南北に長い国だし、標高の高いところは、夜などかなり寒いだろう、この「ミシオネス州」というところの気候は?と調べると、「熱帯雨林」・・・。うーん。
しかも「アルゼンチン、赤ちゃん」で検索したら、去年の8月25日(アルゼンチンの真冬)に、
「アルゼンチンのラプラタ市郊外で、捨てられていた生後数週間の赤ちゃんを、母イヌと6匹の子犬が一緒に温めているのが見つかり、警察が保護した」
という記事が出てきました。これはCNNのニュースです。こちらは季節(冬)と「温める」という話がつながります。
ここからは推測ですが、
今回の8匹の猫と赤ちゃんの話は、いわゆる『都市伝説=デマ』ではないか?」
という疑いです。大スポの記事の、
「1歳の乳児」
というのも、ちょっとあやしい。1歳にもなれば普通はもう「乳児」ではありません。赤ちゃんではありますが。 CNNのニュースの方は、まだ信憑性があります。「SUN」−「大スポ」ラインの記事は、結構あやしいなあと改めて思った次第です。皆さんも、お気を付け下さい。(2008、12、24に書きました。)
2009/10/8
スープのさめない距離