◆ことばの話3695「V9の読み方」

9月29日の「ミヤネ屋」の放送で、元読売ジャイアンツの土井正三さんの告別式の様子を放送しました。そのナレーションの中に出てきた、
「V9戦士」
を、私は、
「ブイナインせんし」
と読んだのですが、当時のことを思い起こすと「ブイナイン」と言っていた覚えがなく、
「ブイキュー」
と言っていたような気がします。でも今「ブイキュー」では、なんだかカッコがつかない感じがして、「ブイナイン」と読みました。
しかしOAを見ていると、インタビューに答えていた「V9戦士」の一人・ショートの黒江透修さん「V9」を、
「ブイ・キュー」
と言っていました。やっぱりそうですよね!当時はみんな「ブイ・キュー」と言っていたと思います。「ブイ・ナイン」なんてかっこ良くなったのは、後の世のことだよなあ。「ゼロゼロ・セブン」がいつの間にか「ダブル・オー・セブン」になったような感じかなあ・・・。
土井さん、安らかにお休みください・・・。
2009/10/5


◆ことばの話3694「はねかして」

『うさこちゃんとうみ』(いしいももこ・やく)という、例の「ミッフィー」の絵本を4歳の娘に読んでやっていたら、
「ぱしゃ ぱしゃ みずを はねかして ふたりは ずぶぬれに なりました。」
という文章が。この中に出てきた、
「はねかして」
という言葉。「はねかす」ですが、あまり耳にしない言葉です。
しかし、『広辞苑』を引くと、簡単に出てきました。
「はねかす(撥ねかす)」=はねかけるようにする。飛び散らす。「洋服にお泥をはねかす」
また、『精選版日本国語大辞典』で引いてみると、やはり載っていました。
「はねかす(撥ねかす)」=泥・水などをとばし散らす。はねるようにする。はねとばす。(用例)*西洋道中膝栗毛(1874-76)<総生寛>一三「アレ唾を人にはねかしてサ」
けっこう古い、江戸時代からある言葉なんですねえ。
Google検索(9月22日)では、
「はねかす」 = 5510件
「撥ねかす」 = 631件
「はねかして」= 699件
「撥ねかして」= 337件
でした。
2009/9/22


◆ことばの話3693「行程表と工程表」

8月30日の衆議院選挙の翌日、先輩のNさんから質問を受けました。
「民主党の政策の中に出てくる『コウテイヒョウ』という言葉、漢字で書くと『行程表』なのかな?それとも『工程表』なのかな?朝日新聞の8月31日朝刊の社説には、『行程表』って書いてあったんだけど」
きづきませんでした。Google検索してみると(8月31日)
「行程表」=18万3000件
「工程表」=26万1000件
「行程表、ロードマップ」=3万4000件
「工程表」の方がよく使われています。まあ、どういう文脈かによって変わると思いますが。
そこで9月11日に開かれた新聞用語懇談会放送分科会の席でも質問して、各社の対応を聞きました。結果は以下の通り。
*「工程表」=NHK、TBS、テレビ朝日、静岡放送、朝日放送(建築の場合)、
*「行程表」=フジテレビ、テレビ東京、共同通信、静岡放送、毎日放送、朝日放送(通行の場合)、関西テレビ、テレビ大阪
*「ロードマップ」=日本テレビ、TBS、フジテレビ、共同通信

ということで、「行程表」の方がやや多いものの、「工程表」もけっこう使われているようでした。
2009/9/25


◆ことばの話3692「勝ちきる」

フジテレビアナウンサーの三宅正治さんの本『言葉に魂(おもい)をこめて』を読んでいたら、女子バレー全日本セッター・竹下佳江さんの言葉として、
「一戦一戦、目の前の試合を全力で勝ちきるだけです。」(199ページ)
というのが出てきました。ここ数年、よく耳にするこの「勝ちきる」の「きる」は、
「走りきる」「やりきる」「歌いきる」「踊りきる」
などのように、動作に付いて「〜しとげる」の意味です。
しかし、「勝つ」は動詞ですが、「動作」を表す動詞ではなく「結果」を表すものなので、その「勝つ」に「きる」が付くと若干の違和感があります。
しかし、その「結果」を、自分たちの力によって「動作」と同じように左右する(ことができる)ように表現するところに、発言者の強い意志を感じることが出来るとともに、単に「勝つ」のではなく、
「(内容面で)完璧に勝つ」「完膚なきまでに叩きのめす」
というニュアンスが、この「きる」には感じられます。また、単に「相手に勝つ」のではなく、
「己に勝つ=克己心」
のようなニュアンスも感じられ、「結果の『勝つ』」ではなく、「メンタルな『勝つ』」が、「勝ちきる」なのかなあという気もしました。Google検索(9月22日)では、
「勝ちきる」=24200
「勝ち切る」=12300
でした。
2009/9/22


◆ことばの話3691「日本3倍ポイント」

先日、近くのお店の前に立っていた布製の「のぼり」に何気なく目をやると、
「日本3倍ポイント」
と書かれていました。上の方に「横書き」で「日本」、その下に「縦書き」で「3倍ポイント」と読めます。
なんだろう?
「バレーボールの応援」
か、何かかな?と思ってよく見たら、そののぼり、
「裏向き」
でした。つまり、そこに書かれていた文言は、「日本」ではなく、正しくは、
「本日3倍ポイント」
でした。「3倍ポイント」は裏から「逆さ文字」で見ていたのですが、同じく「逆さ文字」になっていた横書きの「本日」は、そのまま読んでしまったので、ひっくり返って「日本」と読めてしまったと。分かれば何ということもない話ですが、ここで気づいたのは、
「『本日』をひっくり返すと『日本』」
「『本』も『日』も線対称の文字」
ということでした。裏から見ても、「裏」だとは分かりにくいんですね。
一応、写真です。ちょっと、ピンボケだけど。


2009/9/18
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スープのさめない距離