◆ことばの話3675「かかりつけ医」

去年の10月23日のこと、病院受け入れ拒否で妊婦死亡のニュースで、「ミヤネ屋」のディレクターから、
「かかりつけのお医者さんのことをスーパーで表現する時、『かかりつけ』だとなんだか物足りない気がするのですが、『医』を付けて『かかりつけ医』としていいですか?」
ときかれました。たしかに「かかりつけ」だけだと、ちょっとわかりにくい気がしました。「かかりつけ医」
という言い方はあまり聞いたことはありませんが、文字で見るには、そちらがわかりやすいだろう「かかりつけ医」としました。
辞書では「かかりつけ」には、
「医者などでいつもその人にかかっていること。また、その医者」(精選版日本国語大辞典)
「病気などでいつも特定の医者や病院にかかっていること」(広辞苑)
「いつもきまって診察や治療を受けていること。(例)かかりつけの医者」(明鏡国語辞典)
「いつもその医師の診察・治療を受けること」(新明解国語辞典)
「いつも診察・治療を受けること」(三省堂国語辞典)
とありました。
「かかりつけ医」のスーパーは(「医」以外は)平仮名で「かかりつけ(医)」でしたが、マルチ画面はなぜか、
「掛かりつけ(医)」
になっていたのを見逃してしまいました・・・。揃えた方がいいですよね。
2009/7/27


◆ことばの話3674「切っても切り離せない」

7月14日の「ミヤネ屋」で、頼近美津子さんの葬儀の原稿の表記で・・・
「その波瀾万丈な人生には、切っても切り離せない頼近さんの素顔がありました」
というのが出てきました。なんだかひっかかります。分からないのは、
「切っても切り離せない頼近さんの素顔」
という部分です。よーく原稿を見つめて、
「あ、そうか!」
と気付きました。一体、何のことを言っているのかと言うと、実は
「音楽」
のことを指しているのです。この後の原稿を読めば分かるのですが・・・。そして、
「切っても切り離せない」
という表現が出てきますが、これって正しくは、
「切っても切れない」
ではないのでしょうか?そこで、
「その波瀾万丈な人生において、頼近さんと切っても切れない縁のものがありました」
と原稿を直して読みました。
Google検索(7月14日)では、
「切っても切れない」  =224000
「切っても切り離せない」= 66300
でした。おや?結構「切っても切り離せない」が出てきたな。しかし『広辞苑』『精選版日本国語大辞典』『新潮現代国語辞典』『三省堂国語辞典』にも「切っても切れない」は載っています が、「切っても切り離せない」は採用されていません。そういう意味では現在のところ「切っても切り離せない」は「まだ誤用」と言えるでしょう。でも、この勢いだと、そのうち辞書に載るかもしれませんね。
2009/7/27


◆ことばの話3673「南氷洋と北氷洋」

家に帰って風呂から上がり、『新聞用語集2007年版』を、ビールを飲みながら読んでいたときのこと、ある記述に目が止まりました。
『なんぴょうよう(南氷洋)→南極海。(注)「南氷洋」は旧称。』
え!今は「南氷洋」って言わないの!?知らなかった・・・。遅れてるんだ、おれ。
さらに読み進むと、当然、以下のような記述が。
『ほっぴょうよう(北氷洋)→北極海。(注)「北氷洋」は旧称。』
全然知らなかった・・・。
そのほかにも同じような「旧称」に出会いました。
『へんとう(扁桃)→へんとう(炎)。(注)「へんとう腺」は旧称。』
『りんぱせん(リンパ腺) →リンパ節(注)「リンパ腺」は旧称。』
いやあ、ほんと、知らなかった。いつのまに?という感じです。
日々勉強していないとダメだなあ・・・。「国語辞典」はどうなんだろ?『精選版日本国語大辞典』は、
「南氷洋」=南極海の異称
ひやあ、ちゃんと変わって!(当たり前か)『デジタル大辞泉』もまったく同じ。『明鏡国語辞典』は、
「南氷洋」=南極海の通称
こっちは「通称」だった。『三省堂国語辞典』は、
「南氷洋」=南極海のもとの言い方
あ、やっぱり・・・いつから変わったのかな?『新明解国語辞典』も、
「南氷洋」=南極海の旧称
ありゃ、私、ここに赤線引いてました・・・。見ていても覚えていないものも、あるのですねえ・・・たくさん。『新潮現代国語辞典』は、
「南氷洋」=南極海の旧称・通称
と、とにかく「南氷洋」は「古い言い方」ということは間違いなさそうです。知らなかった・・・・。
2009/7/22


◆ことばの話3672「向正面」

大田良平アナウンサーが、
「相撲の向正面(むこうじょうめん)の向こうって、どういう意味なんでしょうね。正面とどう違うんですかね?」
と聞いてきました。
「『向こう三軒両隣』というのの『向こう』はどうなんだろう?」
という疑問もあったので、「向こう」について調べて見ました。

2005年11月12日にここまで書きました。当時のナンバーリングでは「平成ことば事情2372」です。ここまで書いた時点で番号は3537になっていましたが、それからまた日にちが経ちました・・・>

さて。
4年経ちました。
同じようなケースが出てきました。奇しくも、同じ「大田良平アナウンサー」の発言です。
2009年の7月15日、「情報ライブ・ミヤネ屋」の「プレゼン・コーナー」で、隣人トラブルに関するニュースを取り上げて、そのトーク部分での大田アナウンサーのコメント が、
「隣3軒(サンゲン)」
だったのです。もちろんこれは、
「向こう3軒(サンゲン)」
と言うつもりだったのですね。「隣3軒」だと、
「どっちの隣なんだ!?右か?左か?」
という疑問が出そうです。
「向こう3軒、両隣」
という言葉がありまして、これは辞書にも載っています。この「向こう」というのは「お向かい」のこと。つまり、
「お向かい3軒と、自分のうちと、うちの左隣と右隣の計6軒」
のことで、『広辞苑』では、
「日常親しく交際する近隣。隣保制度の単位ともなった」
とあります。「隣保制度」というのは、平たく言えば「戦時中の“隣組”」のことです。ほら、あるでしょ、
♪トン、トン、トンカラリンと となりぐみ〜♪
という歌が。え?知らない?そうですか。失礼しました。
でも・・・ああ、良かった、なんとか結論が付いた。これも大田君のおかげです。ありがとう、大田!!
2009/7/22



◆ことばの話3671「写ったか?映ったか?」

7月9日の「情報ライブミヤネ屋」放送後、翌日にPR放送予定の『ごくせん・ザ・ムービー』の福島ロケに参加した、山本隆弥アナウンサーの発言フォロースーパーのことで質問を受けました。
「山本アナが『うつってますかね?』『あ、うつってた!』と言うんですが、この場合の『うつって』の漢字は『映って』でしょうか?それとも『写って』でしょうか?」
結論から言うと、「撮影」する「うつす」「うつる」は「写す」「写る」ですが、その撮影したものをスクリーンやモニターに出すことは「映す」「映る」なので、この場合は最初の「うつってますかね」は、
「写ってますかね」
で、後の方の「あ、うつってた」は、
「あ、映ってた!」
が妥当でしょう。後の方は「写ってた」でも間違いではないような気がしますが。
うーん、これは相当高度な問題だなぁ。
2009/7/22