◆ことばの話3655「課長、部長、社長のアクセント」

最近、気になるアクセントがあります。たとえば、
「高田社長」
というふうな、
「名前と役職が一体化したもの」
を読むときに、コンパウンドして、
「タ/カダシャ\チョー」
というようなアクセントです。結構、よく耳にします。このアクセント、とても「関西風」に聞こえるのですが、関東の局などのアナウンサーがそう読んでいるのを耳にする気がします。本来は「2語意識」を持って、
「タ/カダ・シャ/チョー」
なのではないでしょうか?
先月行われた新聞用語懇談会放送分科会で各社の委員のご意見を伺ったところ、参加した社はすべて、
「放送では『2語』に切って『タ/カダ・シャ/チョー』」
とのことでした。ただ、最近「社長」「部長」「課長」といった、
「キャラクターが固定化した人(たとえば「ジャパネットタカタ」の「タカタ社長」のようなケース)」
に対しては、
「タ/カタシャ\チョー」
1語でコンパウンドするケースがあるのも事実で、それがやや広がっているようにも感じる、という声もありました。やっぱりね!また、
「関西の街中では『シャ\チョー』と言うのをよく耳にするが、放送では2語意識」
という関西の局からの声もあり、「うん、うん」とうなずいてしまいました。
2009/7/9
(追記)

民主党の岡田幹事長が、鳩山代表のことを、
「ハ/トヤマダ\イヒョー」
とコンパウンドした「中高アクセント」で言っています。岡田さんは、前の「小沢代表」の時も、
「オ/ザワダ\イヒョー」
と言っていました。また鳩山さんも、小沢さんのことを、
「オ/ザワダ\イヒョー」
とコンパウンドして読んでいました。政界には、この手の読み方が多いのかな?それとも民主党だけ?「党内アクセント」でしょうか?
2009/7/14


◆ことばの話3654「『鈴』の字体と郵便局」

「ミヤネ屋」の番組スタッフでファーストネーム「みすず」から、個人的に質問を受けました。彼女が郵便局へ行った時に、名前を
「美
と書くと、
「『すず』の漢字「『鈴』と書かなければ、認められない」
と言われたというのです。「窓口の職員が偏屈なのだ」と思いその日は引き上げ、別の日に別の職員に聞いたそうです。ところがその職員も同じことをいったというのです!たしかに印刷の字体では、「鈴」かもしれませんが、手書きの際も「鈴」と書かなければならないのでしょうか?「」という字体は認められないのでしょうか?
ちなみに、印刷でも「楷書の書体」にすれば、「」の字体は出ます。
そのあたりの事情について、漢字に詳しい新潮社漢和辞典編者の小駒勝美さん、NHK放送文化研究所の塩田雄大さん、元・大修館書店で漢和辞典の編集者だった円満字二郎さんという専門家お三方にメールで伺ったところ、答えは3人とも
「印刷体の『鈴』と、手書きの『』の字体が違っても構わない。『常用漢字表』の本文の前についている『(付)字体についての解説』『第2明朝体活字と筆写の楷書について』に、
『常用漢字表では、ここの漢字の字体(文字の骨組み)を、明朝体活字のうちの一種を例に用いて示した。このことは、これによって筆写の楷書における書き方の習慣を改めようとするものではない。字体としては同じであっても、明朝体活字(写真植字を含む。)の形と筆写の楷書の形との間には、いろいろな点で違いがある。それらは、印刷上と手書き上のそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差と見るべきものである。以下、分類して例を示す。』と書かれていて、その『(6)その他』に『令』の例が出ており、下を『マ』のように書く形が挙がっているので、楷書の『』は当然、認められる」
ということでした。やっぱり!
おそらく、郵便局の職員がこのことを知らなかったのでしょうね。
でももしかしたら、本当は知っているけど、あえてそれを知らないふりをして、お金を引き出せないようにして没収しようとしている大きな陰謀が・・・?って、別に書体を変えて書けばいいんだから、それはないか。
それにしても、利用者本位とは思えない態度ということでは、一致しています。おそらく「偽名口座」などを防ぐことを目的に、字体などについても厳しく指導しているものと思われますが、指導の方向というか、その基礎(根底)の部分が間違っているのでは、しゃれになりませんね、日本郵政さん!
2009/7/4


◆ことばの話3653「セブンーイレブン」

これまで全然気にならなったんですが、先日の「消費期限が近づいたお弁当やおにぎりなど」のいわゆる「見切り品」の値下げ問題でニュースに出て来て、急に気になったのは、「セブンイレブン」の表記です。
新聞の表記は、「本文」では5紙とも(読売・朝日・毎日・産経・日経)、
「セブンーイレブン・ジャパン」
「セブン」と「イレブン」の間に「−(ハイフン)」が、また「ジャパン」の前には「・(中黒)」が付いていました。
「見出し」でも「ハイフン付き」の「セブンーイレブン」にしていたのは、読売・産経・毎日。「見出し」は「ハイフンなし」の「セブンイレブン」としていたのは、朝日と日経でした。
「セブン・イレブン」
という「セブン」と「イレブン」の間に「・(中黒)」を使った表記は、1社もありませんでした。
みんな細かいところまで、注意して表記しているんだなあと、改めて思いました。
2009/6/30


◆ことばの話3652「イランの大統領の名前」

「情報ライブミヤネ屋」で、今月(6月)12日の大統領選挙以降、混乱が続くイラン情勢について特集しました。その中でイランの大統領の名前が、
「アマディネジャド」
になっているのを見て、
「あれ?イランの大統領は、『アマディネジャド』じゃなかったかな?」
と思った時に、ハッと、先週出席した用語懇談会放送分科会での毎日放送のFさんの言葉を思い出しました。
「イラン大統領の名前の表記が2種類ある」
そうか、このことだったのか、と。調べてみると読売テレビが所属する日本テレビ系列(NNN)では、
「アマディネジャド」
「ハ」になっているようです。そのほか、新聞を調べてみると、
「アマディネジャド」=読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞
「アマディネジャド」=共同通信、日経新聞
そして外務省は、HPを見てみると
「アマディネジャド」
と書いてありました。放送分科会加盟の各社に聞いてみたところ、
NHK「アマディネジャド」
フジテレビ「アマディネッジャド」
朝日放送「アマディネジャド」
という答えが返ってきました(6月24日現在)。
また、駅の売店で見かけた雑誌『ニューズウィーク』は「アハマディネジャド」でした。
実際の音は「H」を発音しないというか息漏れのような音で、「ハ」と「フ」の中間のような音なんでしょうが、カタカナ表記は、ほんと難しいですね。
どちらにせよ、結構、発音もしにくいしなかなか覚えられない名前なんですが。その点、
「ムサビ元首相」
は覚えやすいです。
2009/6/24
(追記)

TBSは「アマディネジャド」と言っているそうです。
2009/6/30



◆ことばの話3651「きめじ」

お昼時、会社の食堂に行ったら、今日は「魚の日」、魚市場から直送の魚がメニューに上る日でした。その魚の名前は・・・
「きめじ」
ああ、「匂いマツタケ、味、きめじ」・・・って、それは「しめじ」や!ああ、国宝で世界文化遺産のお城があって加古川の隣の・・・って、それは「姫路」や!と、一人でボケてツッコんだところで、あらためて「きめじ」、「魚」です。
知りませんでした、「きめじ」という魚。千葉産と書いてありますね。

Googleで検索したら(6月24日)、
「きめじ」= 637
「キメジ」= 9300
わっ、カタカナだと、ものすごくありますね!きっと、釣り好きの方とか、魚に詳しい方は、皆さんご存じの魚なんでしょうね。いくつかのサイトを読んでみると、「きめじ」は、
「キハダマグロの子供」
と書かれていました。なんだ、そうだったのか。たしかに肌が黄色いし、体つきはマグロだ。そして「きめじ」の名前の由来は、「き」は「キハダ」の「キ」(「黄色」のこと)、「めじ」は、「マグロ類の幼魚のこと」を指すのだそうです。幼魚か成魚か「重さが20kg以下は幼魚」=「きめじ」なのだとか。さすが、マグロ。幼魚でもでかい!正確は、「きまめじ」?味は・・・おいしかったですよ!
2009/6/24
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