◆ことばの話3645「四角関係」

ミヤネ屋のスタッフから質問を受けました。
「道浦さん、映画のPRの原稿なんですが、1人の男性を3人の女性が奪い合うような関係を『四角関係』と書いて『よんかくかんけい』でしょうか?それとも『しかくかんけい』でしょうか?」
「うーん、普通は『四角』は『しかく』で、『よんかく』と呼ぶと笑われるけど、この場合はベースに『三角(さんかく)関係』徒言う言葉が合った上でパロディ的に成り立っているから、それを感じさせるためには『よんかく』とした方がいいのかなあ・・・『しかく』だと『視覚』『資格』と受け取られるかもしれないしなあ・・・。ほかの言葉で、たとえば『四つ巴』(これも『三つ巴』ありきですが)」とかに置き換えられないかなあ・・・」
と言いながらネットで調べてみると、なんと「四角関係」と書いて「よんかくかんけい」と読ませるものがありました!梅田晴夫さん( 1920-1980)というフランス文学者・劇作家の作品に、『四角関係』と書いて、
「『しかく』ではなく『よんかく』と読ませている」
と注釈の付いたものがあったのです!じゃあ、やっぱりこの場合は、
“四角(よんかく)関係”
カギカッコ付きで表記して、「よんかく」と読んだほうがいいですね。「四つ巴」も微妙に意味合いが違うみたいですし。
なんとこの梅田晴夫さんの息子は経営コンサルタントで『ウェブ進化論』の著者でもある梅田望夫(もちお)さん、そして脚本家の梅田みかさんも、お子さんなんだそうです。知りませんでした。
2009/6/23


◆ことばの話3644「ロイヤルティー」

販売期限が迫った弁当やおにぎりの値引き販売する「見切り販売」を制限したのは違法(独占禁止法違反)だとして、公正取引委員会が6月22日、コンビニエンスストア・チェーン最大手の「セブンーイレブン・ジャパン」に排除措置命令を出しました。
そのニュースの中で、各チェーン店が「セブンーイレブン・ジャパン」の本部に納める「経営指導料」のことを、新聞各紙は、
「ロイヤティー」
と表記しているのをみて「おや」と思いました。私はこれまで、
「ロイヤティー」
だと思っていました?「リ」か?「ル」か?『新聞用語集2007年版』を引いてみると、そこにはしっかりと、
「ロイヤティー」
と記されていました。「ル」だったのかあ!
ただ国語辞典を引いてみると、たいてい、
「ロイヤティー」
で見出しが出ていて、その説明文の中に、
「ロイヤティーとも」
というような形になっています。新聞と国語辞典で、スタンスが違うんですね。
でも「ロイヤティー」と「ル」になると何となく「紅茶」をイメージしてしまうんですけど・・・。
2009/6/23


◆ことばの話3643「香港ズボン」

先日、NHK放送文化研究所の塩田雄大さん、早稲田大学の飯間浩明さん、光村図書出版の木塚 崇さんと一緒にお酒を飲んだとき、光村図書のサイト「ジーパンはジーンズと呼ばれ、最近はデニムと呼ばれている」というエッセイを私が書いたことについて話をしていたときに、塩田さんが、
「そういえば、うちのばあちゃんは、ジーパンのことを『香港ズボン』って言ってたなあ」という話が出て、
「ええ!香港ズボン!何ですか、それ!?」
という話になりました。
調べてみると(Google検索6月21日)、
「香港ズボン」=95
で(「ホンコンズボン」「ほんこんズボン」「ホンコンずぼん」「ほんこんずぼん」「香港ずぼん」は全て0件でした)、その中にあった「ストレッチデニム」というサイトの「日本のデニム年表」に、こう書かれていました。
「デニムといえば、昔からアメリカ生まれのものというイメージがあります。そのイメージ通り、1960年代に入るまでは、日本国内にはデニムを生産するメーカーがありませんでしたし、日本でのデニムの歴史は戦後からのイメージも多くの人が持っていることでしょう。しかし、実は1905年にはもう既に日本にデニムが入ってきていたという話があります。調べてみると、リーバイスが1905年に日本で商標登録をしていたという事実が公表されていました。1913年9月1日に起きた関東大震災の時に外国から届いた救援物資の中にもデニムが入っており、『香港ズボン』という名前で輸入されて販売されていたという話も聞きます。」

で、出た!「香港ズボン」!香港から届いたのか?ジーパンは?
また、「下町探偵団 東京下町・隅田川ごちゃ混ぜ通信」というサイトでは、
「中学時代(昭和32,3年頃)の銀座では、わざと下駄を履いたままジーンズ(あの頃は香港ズボンといっていた)で銀座へ行く。」
「香港ズボン」が出てきました。これは昭和30年代です。最初の記述は大正時代ですから、随分後のことですね。

思うに、ジーパンが初めて日本に入ってきたときには、「舶来品=高級品」で、そういったものにはすべて「ホンコン」と付けていたのではないか?その昔、新しいかっこいいものにはすべて「電気」と付けたり(電気ブラン、電気飴など)、「文化」と付けたり(文化包丁、文化鍋、文化住宅など)したのと同じように「ホンコン〜」と付けた時代があったのではないか?と推測するのですが、いかがでしょうか?あ、でも「ホンコンフラワー」はどちらかと言うと「安物」「本物の花ではない」というイメージがあったとも聞きます。そうすると、「香港ズボン」も、当時の人たちにとっては「あまり履き心地の良くない」「奇妙な」ズボンということだったのかもしれません。プラスの評価か、マイナスの評価かは分かりませんが、何らかの「冠」を付けることがあったのだろうと推測します。
2009/6/24


◆ことばの話3642「ホメイニ師のアクセント」

日曜日に会社に出てきて、シコシコ原稿を書いていると、報道フロアのテレビのニュースが聞こえてきました。「日テレ24」、ニュースチャンネルです。そこでイランの大統領選挙の結果を巡る混乱を伝えていました。その中で耳に留まったのは、イラン革命の父(?)、
「ホメイニ師」
の名前でした。おそらく30歳ぐらいと見受けられる女性キャスターは、「ホメイニ師」を「頭高アクセント」で、
「ホ\メイニシ」
と読んだのです。え?「ホ\メイニシ」?1970年代後半から80年代にかけて、毎日のようにイラン関連のニュースを耳にした私たちの世代から言うと、「ホメイニ師」のアクセントはどう考えても「中高アクセント」の、
「ホ/メ\イニシ」
しか、ありえません!きょう(6月21日)のお昼のニュースでは、別の日本テレビの若い、と言っても30歳ぐらいの女性アナウンサー(たぶん、山下美穂子アナウンサー)が、ちゃんと、
「ホ/メ\イニシ」
「中高アクセント」で読んでいたのに・・・と残念に思いました。
でも、考えてみれば仕方がない面もあります。イラン革命当時、彼女たちはまだ生まれていないか、赤ちゃんだったんだから。それに最近はあまり耳にしなかったからな、「ホメイニ師」。でも、「知らないからこそ勉強しなくちゃいけない」と考えてほしいところです。30年前は既に「歴史」ですからね。
2009/6/21


◆ことばの話3641「ごはんを食べるときだけ左」

会社の食堂でお昼ごはんを食べていた時のこと。新人のTアナウンサーが、左手でお箸を操っているのを見て、
「Tって、左利きなんだ?」
と私が言ったところ、Tアナウンサーが答えていわく、
「ふだんは右利きなんですが、ごはんを食べる時だけ左なんです。」
それを隣で聞いた2年目のYアナウンサーが心底、驚いた様子で、
「へえー、じゃあ、ラーメン食べる時は、右なんだ」
と笑顔で。からかっている雰囲気は、まるでありませんでした。マジです。
あとの3人は一瞬、時が止まったように箸が止まり、顔を見合わせました。次の瞬間、私が、
「アーホーかー!“ラーメンも左”に決まってるやろ!」
「え、だって“ごはんだけ左”だって…。」
困った顔をしたTアナウンサーが、
「すみません、僕の言い方が間違ってました。“食事の時”だけ左手を使うんです。」
「いや、君は間違っていない、間違ってるのはこいつやあ!」
「ああ、“ごはん”って、“食事”の意味だったんですか!えへへ」
と、初めて気付いたYクンでした・・・。おーい、2年目の先輩、がんばってくれよお!トホホ・・・。
2009/6/21
スープのさめない距離