◆ことばの話3630「ジョキーン!!」

4月24日にJR大阪駅で見かけた看板広告に、大きく、
「ジョキーン!!」
と書かれていました。
はさみで何かを切るのかな?何が「ジョキーン」なのかいうと、それは
「日立のエアコン・白くまくん」
のポスターで、「ジョキーン」はすなわち、
「除菌」
なのでした。宣伝の惹句をそのまま写すと、
「白くまくんならエアコン内部のきれいがちがう。」
それにしても、まるで「擬音語」のように「除菌」という言葉を使っています。ダジャレといえばダジャレなのですが、なかなかうまいなあと思いました。
ちょうど「新型インフルエンザ」騒動が始まる直前のタイミングではありました。その後あの広告見ませんが、どうなっているんでしょうね。
そうだ、「生ビールの広告」にも、この言葉、使えませんかね?え?だって、「生」と言えば、「ジョッキ」でしょ、だから、生のジョッキが3つか4つ、「カンパーイ!」とぶつかっている映像に、擬態語が
「ジョキーン!!」
なんだかよく冷えた生ビールという感じしませんか?「除菌」で清潔そうだし。
どこかのビール会社の方、はたまた、ビアガーデンを経営の方、一度お試しあれ。ジョキーン!!そのかわり、1杯、おごってくださいね。
2009/6/9


◆ことばの話3629「八代目・林家正蔵を聞きました」

小学館から2週間に1度出るCDブック『昭和の名人決定版10 八代目林家正蔵(彦六)壱』(2009/4/28)を聴きました。今の「こぶ平」の「九代・正蔵」ではなく、先代の、彦六だった正蔵です。生きていた時にテレビで見たことがありましたが(私が小学生の頃)、面白かった記憶があります。久々に聴いたのは、「中村仲蔵」「鰍沢」「あたま山」の3題で、昭42・43年の録音。ただ、あれ?こんなだったかなあ・・・と3回聞いて3回とも、途中で寝てしまったのです。声のせい?テンポのせい?内容が?・・・私が寝不足?わからないのですが。正に「正調」という感じで、「先生」「教師」のようでした。あまり笑うところがありませんでした。『鰍沢』、これは芝居の口伝ですな。
その中で気になった表現。
*「いやがおうでも」〜『中村仲蔵』で。このころから「混交表現」はあったのですね。
*「はいるだけ」〜「へぇーるだけ」ではなく。江戸弁と言ってもいろいろあるんですね。
*「お傘があって」「お傘を拝見」〜「傘」に「お」が付いていました。
*「やれた傘を」〜「やれた」は「やぶれた」の意味でしょうか。江戸弁?
*「この、うんき」〜「うんき」は今はあまり使わない感じがします。「温気(うんき)」=暑気。また、蒸し暑いこと。蒸し暑い天気。日葡辞書には「ウンキナ」と出ているそうです。歴史のある言葉ですね。
*「図星(ズ\ボシ)だろ」〜アクセントが「頭高」でした。
*「て/んち\じんのみくじ 」〜「てんちじん」ってこの頃からあったのか。
2009/6/9


◆ことばの話3628「柿落とし」

4月。野球シーズン開幕の時、『情報ライブ・ミヤネ屋』で、新装になった広島市民球場(マツダズームズームスタジアム)からの中継で、広島テレビの森拓磨アナウンサーに出演してもらいました。その中継の台本を見ていたら、
「柿(こけら)落とし」
という言葉が出てきました。読売新聞社の『読売スタイルブック2008』の「誤りやすい慣用語句、表現」によりますと、
「『こけら』は、屋根をふく薄板。建物が完成したとき、そのくずを払い落とすことから、新改築劇場などの初興行について使う。プールや役所などの完成の際に使うのは不適当」
となっています。
「球場」も「プール」と同じく密閉した建物ではないので、「柿落とし」は厳密に言うと不適当ということになります。絶対に使ってはいけないというわけではないと思いますが、できたら使わないぐらいのところではないかと思って、広島テレビのKアナウンス部長にメールをしたところ、
「 実は《こけら落とし》については、私も”不適切”な言葉として一部アナウンサーに『新球場に対して積極的に使わない』という話をしていた」
というメールが返ってきました。それが台本に出てきたわけは・・・まあ、いろいろと内輪のお話があるようです。
またこの日の朝、『ズームイン!!SUPER』でも、新球場の話題を全国中継したそうですが、その際に日本テレビが出したサイドスーパーにも
「新球場こけら落とし」
という表記があったそうで、
「現状では必ずしも、不適当と言えないのでは?」
とK部長は感じている様子。そこで日本テレビの用語担当Oさんに質問したところ、
「『こけら落とし』は、屋根のないプールなどには不適当、また落成記念の式典などには使わないと明記している。今回のように、屋根のない球場には不適当かと思うが、一部、屋根のある部分もあるので、このように使ったのかもしれない。毎日新聞も『こけら落とし』と使っていた。」
という返事が。この新球場オープン前の4月1日の日本テレビ『ニュースゼロ』でも、
410日こけら落とし」
と出ていたのを私は見ましたから、やはり必ずしも統一されているわけではないのが現状のようです。なお、「柿」は「こけら」と読みます。「柿(かき)」と似ていますが、違う字です。
2009/6/9


◆ことばの話3627「サバの文化干し」

いつものように昼食を摂りに会社の食堂へ行ったとき、目に付いたメニューがありました。それは、
「サバの文化干し」
というもの。「文化干し」?初めて見ました。なんで「文化」なの?
「文化住宅」とか「文化包丁」というのがありますが、あの「文化」なんでしょうか?
早速、食堂のおねえさんに、
「なんで『文化干し』って言うんですか?」
と聞いたところ、しっかり答えが返ってきました。
「ああ、それは昔は『天日干し』だったんですが、最近は機械を使って干すから、『文化干し』って名前になったんです。」
明快!
「そうすると、あの『文化住宅』とか『文化包丁』と同じように『文化』ってつけたんですかね?』
「そうだと思います」
ふーん、そうすると随分昔の話ですね。でも私は生まれて初めて聞いた名前です。Google検索をしてみると(6月9日)
「文化干し」=8350
も出てきました。ウィキペディアによると、
『文化干しとは、元は魚の干物をセロファンで包み込む手法。後に天日干しの対義語として冷温風機を用いた乾燥手法の意味を持つに至る。干物の包装材として木箱や新聞紙を用いていた時代、東京都江東区にて1950年創業の水産加工物会社「東京仙印商店」がセロファンに包んでみたところ、非常に仕上がりの見栄えが良くなり、これを販売したのが最初とされている。』
とありました。1950年に、どこが始めたかも分かっているんですね。比較的新しい言葉ですね。ウィキペディアだけだと心もとないので、この中にある「東京仙印商店」でも検索をかけると、「築地東仙」のサイトに行き当たりました。そこには、こんな記述が。

『「文化干し」(ぶんかぼし)という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?昔は発泡スチロールのトレイも真空パックもありませんでしたから、木箱や新聞紙などを包装材に使用して流通していました。千葉県夷隅郡大原町に代々続いた網元「仙印」の次男として生まれた故・山口繁夫(株式会社 東京仙印商店 初代社長)は、東京都江東区州崎弁天町(現在の江東区東陽)に水産加工会社を立ち上げ、干物の魚をセロハンで包んで販売しました。木箱や新聞紙が一般的だった当時の人々にしてみると、それはとても綺麗な仕上がりの画期的な商品でした。まさに当時の言葉でいうと「文化的」であり、「文化干し」と命名されました。その後、セロハンを巻いた見た目の美しいその干物はさらに美味しい干物へと進化し、(当時の天日干しから灰干熟成製法へ、セロハンは特殊フィルムへ)現在の東仙灰干し熟成になったのです。「文化干し」という言葉は水産加工業界にはいまだ残っており、現在では「セロハンで巻いた状態の干物」のことを指しています。また、一方では「文化干し」という言葉は転じて「冷風乾燥機を使用した干物」という意味で使用されることもあるようです。』

このサイトによると、「文化干し」の第一義は、
「セロハンで巻いた状態の干物」
であり、第二義として、
「転じて、冷風乾燥機を使用した干物」
ということのようですね。いやあ、勉強になりました!
2009/6/8
(追記)

きょうの昼食も、会社の食堂の定番メニュー「サバの文化干し」でした。それを食べながら「ハッ!」とひらめきました。
「このサバには、真ん中の太い骨がない!食べやすい!だから“文化”と言うのではないか?」
・・・3年半前に書いた、
「機械を使って干すから、『文化干し』って名前になった」
ということを、すっかり忘れておりました。
でも、たとえば戦後の「文化住宅」は、トイレや台所が「共同でない」というのが「文化」なのではないのか?あ、もしかしたら、「日本国憲法第25条」の、
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
「文化的な最低限度の生活」からきた「文化」なのか?
そんなことを考えながら、ムシャムシャと「サバの文化干し」を食しておりました。これがホントの「文化的生活」か?
2012/12/19


◆ことばの話3626「通夜が営まれ」

作曲家の三木たかしさんの告別式のニュースの原稿を「情報ライブミヤネ屋」で読みました。その中に、
「きのう営まれた通夜には」
という一文が気になりました。「通夜」は「営まれる」ものなのでしょうか?「通夜が行われ」のような気がするものの、「行われ」もなんだかちょっと違うような・・・ニュース本番では、
「きのうの通夜には」
と直して読みました。Google検索(5月20日)してみたら、
「通夜が営まれた」=1万0800件
「葬儀が営まれた」=  2090件
「告別式が営まれた」=  977件
「密葬が営まれた」=   362件
で、別に「通夜が営まれた」でおかしくないみたい・・・。お葬式関連はいつも「営まれ」が使われている気がして、それが気になったのでしょうか?なんとなく気になってしまった表現でした。
2009/6/9
スープのさめない距離