◆ことばの話3610「バスに乗り遅れるな」

こないだから2回、同じ夢を見ました。
《息せき切って走って行くと、道路の向かい側のバス停から、空港行きのバスが発車してしまう》
という夢。その話を小6の息子にしたところ、ニコリともせずに、
「それは時代に乗り遅れているってことやな」
と一言。
「なにい〜!」
と言うと、
「時代が見えてるけど、追い付かれへんねん」
とダメを押されました・・・。
「バスに乗り遅れるな」
というのは、たしか第一次世界大戦のころの流行語でしたっけ?梅花女子大学の米川明彦先生編著『明治・大正・昭和の新語・流行語辞典』(三省堂)を引いてみると、281ページ、1940(昭和15)年」の流行語として載っていました。そこには、

「バスに乗り遅れるな」=(一九四0・昭和一五年)六月、近衛文麿が新体制を確立するために出馬表明すると、各政党が新体制でいい地位にありつこうとした時の合いことば。また、当時の国際情勢から取り残されるなという焦燥感から出たことば。転じて、一般に時流に乗り遅れることを「バスに乗り遅れる」と言った。『週刊朝日』(一九六一年一二月八日号)に「当時、日本中に『バスに乗り遅れるな』という言葉が大流行した。もともとは政党解消による新体制運動の合言葉だったが、このころの『バス』はドイツの電撃作戦の成功を意味するようになっていた」とある。田中英光『野狐』(一九四九)に「多くの流行作家が世に出た後では私は、所謂、バスにのりおくれた形で」とある。

と記されていました。・・・乗り遅れたんだろうか、この夢・・・。
2009/5/19


◆ことばの話3609「『フェーズ4』の読み方」

メキシコで新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)による死者が出る事態となり、その後、新型インフルエンザ感染者は世界各国へ広がっています。その事態を受けて世界保健機関(WHO)は、4月28日、新型インフルエンザへの警戒体制を、それまでの「フェーズ3」から「フェーズ4」に上げました。
これまでの「フォーズ3」の「3」を、
「スリー」
と言ってきたような気がするのですが、「フェーズ4」の「4」は「フォー」なのか?それとも日本語読みで「よん」なのか?
4月28日の日本テレビ『ズームイン!!SUIPER』の中では、
「『スリー』と『よん』」
というふうに読み方が混在していました。各社、この日の朝の番組で注目して聞いていたら(フジテレビでは確認できず)『ズーム』に出演していた元WHO職員の東北大学の押谷 仁教授も、
「フェーズ4(よん)」「フェーズ、5(ご)」
と言っていました。また、NHKも、テレビ朝日も
「よん」
TBSの『朝ズバッ!』でみのもんたさんは、
「フォー」「ファイブ」
一緒に出演していた専門家の大西さんは、
「よん」
テレビ朝日で鳥越俊太郎さんは、最初に
「よん」
と言ってそのあとで、
「フォー」
と両方使いました。コメンテーターの若一光司さんとアナウンサーは、
「よん」「ご」
でした。日本テレビの用語担当者にメールで聞いたところ、
「『フェーズ4』に関しては、『フォー』という音より『よん』の方が耳にはっきり聞こえることから、『よん』にした。今後、『5』はどのように読むかは、検討する」
とのこと。「フェーズ3」が「スリー」だった理由については、分かりませんでした。この日(28日)の「ニュースリアルタイム」で笛吹(うすい)雅子キャスターも、
「よん」
と読んでいました。そして、28日夜9時のNHKのニュースでは、青山祐子アナウンサー、ジュネーブの記者も、
「フェーズ3(さん)、フェーズ4(よん)。フェーズ5(ご)、フェーズ(ろく )」
と日本語で数字を読んでいました。
翌日4月29日の日本テレビ『スッキリ!』の中で、10時過ぎのニュースでインタビューに出てきた国立感染病研究所の田代研究センター長は、
「フェーズ5(ご)」
と言っていました。専門家は、英語ではなく日本語読みをするようですね。

と、ここまで書いたのが4月30日、それから3週間近く、ついに日本でも初の国内感染者が出た!と5月16日に報じられたら、あっという間に感染者数は3ケタに。WHOも「フェーズ5(ご)」から「フェーズ6(ろく)」への引き上げも検討しているのが現状ですので、忘れられないうちに、UPしておきます。
2009/5/19


◆ことばの話3608「金字塔」

森 光子さんが主演の「放浪記」の舞台が、5月9日に2000回に達したとの記事が、5月11日の各紙に載っていました。
「情報ライブミヤネ屋」の「ヨミ斬りタイムズ」でその記事を紹介する、入社2年目のHアナウンサーに、記事の中にあった一文、
「金字塔を打ち立てました」
を指して、こんな課題を出しました。
「金字塔の絵を描いてください」
で、出来た絵が、これです。


・・・お墓のようですね。その意味では合っているかも。
「ミヤネ屋」の一番若いスタッフ(21歳・女性)にも、「金字塔」の形を描かせたところ、
「盾」
のようなものを描いたので、
「それ、大きさはどのくらい?」
と聞くと、
「え?大体このぐらいでえ・・・」
と手で大きさを示しました。フムフム、縦30センチ・横40センチ・厚さは10センチぐらいか・・・て、手で持てるのかよ!?
「トロフィーみたいな感じでえー、後ろに立てられるような足が付いていてえー」
そりゃあ、「盾」ですな。間違いなく。
「金字塔」って、実は、
「ピラミッド」
のことだと知っていましたか?私は、数年前知りました。ピラミッドの形が、
「漢字の『金』に似ているから」
なのだそうです。でも「塔」というイメージじゃないですよねえ。
2009/5/15


◆ことばの話3607「『小沢代表』のアクセント」

5月14日の民主党代表選に向けての記者会見で、鳩山由紀夫・幹事長も岡田克也・副代表も、「小沢代表」
の読み方のアクセントが、
「オ/ザワダ\イヒョウ」
というふうに、1語になって「コンパウンド」されていました。普通「●●代表」という場合のアクセント、「小沢代表」ならば、
「オ/ザワ・ダ/イヒョウ」
と2語に分けたアクセントになるのですが、よく使う複合語はコンパウンドして1語になる傾向があります。民主党の幹部であるお二人は、当然普段から「小沢代表」という言葉をよく使ってらっしゃるので、「1語」になったのでしょうが、それはとりも直さず、
「小沢=代表」
という意識が染み込んでいることを表しているのではないでしょうか?自らも意識しないうちに、小沢代表の手のひらの上で踊らされているのでは?
鳩山さんは30分間の会見の中で、「小沢代表」という言葉をなんと、
「19回も言った」
そうですし、(「ミヤネ屋」しらべ)、岡田さんも
「同じく19回、『小沢代表』と言った」
とのこと。うーん、「小沢代表」の存在感は、やはり大きいですねえ。
「平成ことば事情2423黒澤監督のアクセント」もお読みください。
2009/5/15


◆ことばの話3606「浅香光代さんの下向き」

4月29日の「昭和の日」の「ミヤネ屋」で叙勲の話題をお伝えしました。
その中で、女優の浅香光代さんが叙勲されたことに関してのコメントのフォロースーパーが、
「わたしには下向きだと思っていた」
と記されていました。え?「下向き」?何が?・・・あ、そうか浅香さんは「江戸弁」をしゃべるので、「ひ→し」になる傾向がある。だから
「ひたむき」
と言ったつもりが、
「したむき」
と聞こえて、それをそのまま漢字に直してスーパーしたのかな?とも思いましたが、それでも意味が通りません。そこで原稿を確認したら、なんとコメントは、
「私には不向きだと思っていた」
つまり「不向き」だったのです。「不」を書いた人の発注の文字が汚くなくて(?)「下」と読み取られてしまったのでしょうか?でも意味、通らないよなあ。放送の陰では、いろんなことが起きています。
「平成ことば事情3389下向きに頑張って・・・」もお読みください。
2009/5/15
スープのさめない距離