◆ことばの話3585「標本木と標準木」

桜も、もう盛りを過ぎましたが、大阪では4月15日から造幣局の通り抜けが始まり、また「お花見」です。
今年の大阪の「開花発表」は平年より6日、去年より2 日早かったのですが、開花発表のあと寒い日が続いて、けっこう花の期間は長かったような。その分パーッと咲いて、パーッっと散る「桜らしさ」には欠けた木が・・・いや気がします。
さて、その桜の開花を判断するのは、ソメイヨシノの、
「標本木」
と呼ばれるもの。大阪では大阪城公園の中にあると聞きました。しかし、この「標本木」、私が会社に入ったころは、
「標準木」
と呼んでいたと思います。いつから「標本木」に変わったんでしたっけ?
関西情報ネットワーク「ten」のお天気キャスター小谷純久さんに聞いたところ、
「『標本木』になったのは、昭和の時代の話。もう20年以上になるのでは?」
とのこと。えー、そんなに経つのか。つい、きのうのような気がしていたけど・・・。
桜とともに記憶も散ってゆくのでしょうか・・・・
2009/4/14


◆ことばの話3584「ロマ音楽」

2009年4月9日の日経新聞朝刊に、バイオリン奏者の熊澤洋子さんという方が
「東欧民謡『ロマ』に導かれ」
という文章を書いていました。その中に何度も出てきたのが、
「ロマ音楽」
という言葉です。これまでは、
「ジプシー音楽」
と呼ばれてきたものです。「ジプシー」に関しては、実は差別的な呼び方なので、ここ10数年で使わない(「ロマ」あるいは「ロマ人」「ロマ民族」に呼びかえる)ようになってきましたが、こと、
「ジプシー音楽」「ジプシーダンス」
に関しては肯定的な表現なので使っても良いとなっていたのですが、その「ジプシー音楽」でさえも「ロマ音楽」に変わってきたのか、と感慨がありました。
Google検索では(4月13日)
「ロマ音楽」   =   4940件
「ジプシー音楽」=4万55500件
でした。ひとくちに「ロマ音楽」といっても、東欧の様々な国でそれぞれの発達を遂げて、微妙に異なるようですね。
2009/4/13


◆ことばの話3583「気泡洗米機」

2009年4月12日、日本テレビの『ザ・サンデーNEXT』を見ていたら、大人気のお弁当屋さんを紹介していました。その中で
「気泡洗米機」
というものが出てきました。それを見てハッと思ったのは、
「もしかしたら、“業界”では“洗米”という言葉は普通に使われているのではないか?」ということです。「無洗米」が出てきた時は、とても「ヘンな感じ」がしましたが、「洗米」が業界用語として昔から使われているのなら、それが商品名としても使われた可能性がありますね。ただ「無洗米」は、
「洗っていない米」
ではなく、
「あらかじめ洗ってあるので、家庭で洗う必要のない米」
の意味なのですが。
Google検索 (4月14日 )では、
「気泡洗米機」=105件
「無洗米」   =56万件
でした。「気泡洗米機」は、まだ一般的ではないようですね。
「平成ことば事情31お米を洗う」「平成ことば事情1179お米を洗う 2」もお読み下さい。
2009/4/14


◆ことばの話3582「少年たちのアクセント」

Yアナウンサーの、
「少年たち」
を読むときのアクセントが気になります。私が読むときは、
「ショ/ーネン\タチ」
と読むのですが、彼女が読むと、
「ショ/ーネ\ンタチ」
と、アクセントの山が、一つ前にずれている気がするのです。『NHK日本語発音アクセント辞典』「少年」を引くと、
「ショ/ーネン」
「平板アクセント」になっています。それに従うと、
「ショ/ーネン\タチ」
となるはずだと思うのですが。ただもしかしたら、「たち」という接尾語的な言葉が付くと、その前のアクセントが変わってくるということがあるのかもしれません。
先日、Yアナウンサーの発音でもう一点、気になることに気付きました。(気になることに気付く、ヘンかなあ?)
彼女は、「ん」の発音がしっかりと1拍分取らずに流れてしまう傾向があるのです。つまり、
「千円(せんえん)」
と言うときに、
「せーぇん」
となってしまい、しかも「ん」が1拍分ないために、そこだけリズムが崩れて読みが乱れる感じがします。
そんなことをはっきり意識したのは、その前日(4月6日)に読んだ日経新聞夕刊で、作家の清水義範さんが、それと同じようなことを書いているのを読んだからです。タイトルは、
『「n」と「ん」は違っていた』
英語の「n」と日本語の「ん」は、発音の仕方が違うということ、日本人ははっきりと「n」と発音しないが、それは「ん」と発音しているからではないか?というような話で、清水さんは以前書いたことがある話として、小学校低学年でまだ漢字で「満員」をかけない子が、平仮名で「まあいん」と書くことに気付いていたこと、それは母音の前の「ん」が流れたように大人が発音しているのを聞いて子どもの耳には「まあいん」と聞こえているということなのか?と思ったという話です。
最初の「少年たち」のアクセントの話に戻ると、この中の「ショーネン」の「ン」を、はっきりと発音しない(できない)ために、「ン」のあとにアクセントの切れ目を持ってくることができず、そのためアクセントの山が一つ前にずれて
「ショ/ーネ\ンタチ」
となってしまうのではないか?というのが、私の推測なのですが、いかがでしょうか?
2009/4/9
(追記)

「ショ/ーネ\ンタチ」
のようになる「少年○○」という言葉を見つけました。
「少年団」
です。このアクセントは、
「ショ/ーネ\ンダン」
で、「ネ」のあとで下がります。同じでしょ?「少年団」は複合語ですが、すでに「1語」として認められているので、コンパウンドして「少年」とは違うアクセントが成立しているのでしょうが、「少年たち」は「1語」としては認められていないという違いがあるのではないでしょうか?ちなみに「少年隊」は、
「ショ/ーネンタイ」
と、「1語」になっても「平板アクセント」です。
そのあとHアナウンサーと話をしていたら、
「『少年誌』『少年期』も『ネ』のあとに下がりますね」
と指摘を受けました。たしかに!
「ショ/ーネ\ンシ」
「ショ/ーネ\ンキ」
ですね。これも「1語意識」が強いということでしょうね。
2009/4/10


◆ことばの話3581「カンオケ」

小6になった息子の、1か月ぐらい前の「2月末ぐらい」の話。
ひとりで留守番していてお昼ごはんを食べたときに、事前に用意しておかなかった「お茶」も飲んだとのこと。
「お茶はどこに入ってたの?」
と聞くと、息子いわく、
「え?カンオケ」
それも言うなら、
「ヤカン」
でしょ!いくら『おくりびと』「納棺師」が話題だからって・・・。たしかに「カン」は共通してますね。「ヤカン」、漢字(当て字だと思いますが)で書くと、
「薬缶」
で、「カンオケ」を漢字で書くと、
「棺桶」
「カン」の「カン字」も違いますね。それにしてもけっこう、時事問題に「ビンカン」な息子なのでした。
2009/4/10
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スープのさめない距離