◆ことばの話3555「がけっ縁」

3月19日の読売新聞朝刊は、WBC第2ラウンドで韓国に負けて、もう負けられなくなった「侍ジャパン」の記事が載っていました。その見出しは、
「サムライがけっ縁」
これを見て私は。
「サムライが、けっ縁」
と読んでしまい、
「『けっ縁』ってなんだ?」
と一瞬、思ってしまいましたが、もちろんこれは、
「がけっ縁」
で、漢字で書くと、
「崖っ縁」
です。でも「崖」が常用漢字ではないので使えないということで、平仮名にして、「縁」は使えるので使ったら、ヘンな交ぜ書きになっちゃったのでしょう。
しかし昨年夏に、宮崎 駿監督の、
『崖の上のポニョ』
が大ヒットしたので、きっと「崖」はある程度の年齢以上の人は読めるのではないでしょうか?ですから逆に、
「崖っぷち」
でもよかったのでは?もしくは全部「平仮名」で、
「がけっぷち」
でも良かったように思いますが。
一方、きょう(3月20日)の産経新聞の見出しには、
「改竄」
という漢字が使われていましたが、これは本文中の「改竄」には「かいざん」と小さな字でルビは振ってありましたが、読むのは難しい漢字でしょう。なかなかその境界線がどこなのかを判断するのは、難しいですね。
2009/3/20


◆ことばの話3554「『どっぷり』と『とっぷり』」

3月20日の「情報ライブミヤネ屋」で、翌々日の22日に行われる「東京マラソン」に挑戦する、司会の宮根誠司さんの練習風景と意気込みなどをまとめたVTRのナレーションを録音しました。そのナレーションを放送で聞いていて、「あっ!」と声を上げそうになりました。番組終了後に日が暮れるまで、20キロを走った宮根さんの様子をさすナレーションで、私は、
「日がどっぷり暮れて」
と読んでいたのです。(原稿にそう書いてあったのですが)。これは間違いですね。正しくは、
「日がとっぷり暮れて」
でした。「どっぷり」ではありません、「とっぷり」。濁りません。しかし、「うん?」とちょっとヘンな感じはしたものの、気付かずにそのまま録音してしまったのです。放送を聞いていて、初めて明確に間違いに気付きました・・・。
『擬音語・擬態語使い方字典』によると、
「とっぷり」=日が沈んでしまってすっかり暗くなるようす。
「どっぷり」=濁った感じの液体にすっかりつかり込んでいるようす。比喩的に、よからぬ環境につかり込んでいるようすにもいう。
となっていました。「串カツ」はソースに「どっぷり」漬けるですね。私も「日本語の世界」に「どっぷりと」つかっています。でも、日が暮れるのは「とっぷり」です。
以後、気をつけます。
2009/3/20


◆ことばの話3553「見参の読み方」

『ニューススクランブル』のナレーターの藤田さんから質問を受けました。
「『見参』をアクセント辞典で引くと『ゲンザン』としか載っていないのですが、一般的には『ケンザン』と言っているのではないでしょうか?どちらの読みが正しいんですか?」
辞書を引くと、たしかに、
「ゲンザン」
と、「ゲ」「ザ」両方濁っています。「ケンザン」で引くと、
「ゲンザンを見よ」
となっている辞書もありました。そんな中で『三省堂国語辞典』「ケンザン」を見出しにしていました。そこで、
「歴史的な用語として使うときは『ゲンザン』、ただ単に『やってきた!』という意味で、仮面ライダーや、ヒーローが出てくる場合は『ケンザン』と使い分けてはどうか」
と提案しました。しかし「ゲンザン」という読み方は知らなかったなあ。子供の頃に見たヒーローものでは、
「〇〇、見参(ケンザン)!」
って言ってたよなあ・・・。暴走族(?)が書く落書きでも「見参」を見かけますが、あれはどう読むのだろうか??
2009/3/20


◆ことばの話3552「下振れ、上振れ」

3月12日の日経新聞に、
「ブラジルの今年の成長率 下振れ予想広がる」
という見出しが。経済用語として、
「下振れ」
というのは聞いたことがあります。ところが更にページもめくると、
「王将フード、純利上振れ」
という見出しが!ここでは、
「上振れ」
という言葉が出てきました。これは初めて知りました。まあ、「下」があれば「上」も当然あるんでしょうが、この不況の時期に「上」というのは素晴らしい!「餃子の王将」ですよね、「王将フード」というのは。
「王将フード」は、他の新聞にも「過去最高益」などと出ていましたが、安くてうまいところへ、お金は流れているようです。
Google検索(3月18日)では、
「上振れ」= 7万8900件
「下振れ」=22万2000件

でした。
世の中、やはり「上振れ」より「下振れ」の方が3倍も多いのですね・・・。
日本経済は、「頑振れ」・・でなくて「頑張れ」!

2009/3/18


◆ことばの話3551「実物経済か?実体経済か?」

麻生総理は「踏襲」を「ふしゅう」と読むと思い込んでいるらしいという記事が初めて新聞に載ったのは、私の記録だと2008年11月11日。以来、
「漢字が読めない」「言葉を知らない」
とクソミソに叩かれている麻生総理大臣ですが、その「前兆」らしきものを、私は少し感じていたのでした。
それは、総理大臣になってすぐ、たぶん去年10月のことですが、国会の答弁で麻生総理が、
「実物経済」
という言葉を連発されていたのです。それまで私がニュースなどで聞いたことがあった言葉は、
「実体経済」
でした。一字違いですが、なんだかイメージが違います。細かいことにはこだわらない麻生総理の性格が、このあたりから見えていたのかなあ・・・という気はします。
いま、それぞれGoogle検索しますと(3月20日)
「実物経済」= 2万8100件
「実体経済」=187万件

です。「実物経済」という言い方もあるようですね。でも、
「『実体経済』という言葉の方が、90倍も使われている」
ので、耳慣れない感じがしたんでしょうね。
また、定額給付金についても、麻生総理は、
「全所帯」
と言っていましたが、あれも正確には、
「全世帯」
でしょう。ね、微妙に違うでしょ。
2009/3/20
(追記)
高橋洋一著『この金融政策が日本経済を救う』(光文社新書)という本を読んでいたら、
「実体経済」
という言葉の説明が出てきました。それによると「実体経済」とは、
「経済のうち、金融面を除いたもの。モノやサービスの生産・分配に関わる部分。GDPで計測できる」
とのことです。
2009/3/30
スープのさめない距離