スープのさめない距離



◆ことばの話3515「酩酊と泥酔」

G7での記者会見での中川昭一大臣の不可解な“泥酔(?)状態”の衆議院の委員会での弁明を聞いていた「ミヤネ屋」スタッフから質問が。
「『酩酊』(めいてい)と『泥酔』(でいすい)は、どう違うんですか?」
「うーん、『泥酔』は自分で立ち上がれないぐらいの酔いで、『酩酊』は千鳥足ぐらいの感じで、そこ(泥酔)まで行ってないんじゃない?それと『泥酔』の原因はアルコールだけど、『酩酊』はアルコールだけじゃなくて薬が原因のものも入るんじゃないかな?」
と説明してから、辞書(『精選版日本国語大辞典』)で調べると、
*「酩酊」=過度の酒や薬物の吸引で、大脳が軽い麻痺を起こし、自己抑制や判断力が低下し、誇大妄想的気分になった状態。酔っ払った状態。
*「泥酔」=正体をなくすほどひどく酒に酔うこと。『泥』は虫の名で、(中略)この虫は水がないと酔って泥土のごとくになるといわれるところからいう。」
ということで、やはり「泥酔」の方が、酔っ払いの度合いが強いですね。
「泥のように眠る」
というのもこの「泥という虫の名前」から来ているのですね。これについては、以前書いたもの(「平成ことば事情1966泥のように眠る」)がありますので、そちらもお読み下さい。
中川大臣は、たぶん身中に「泥」という虫がいるのではないでしょうか?
2009/2/16
(追記)

中川さんは大臣を辞任しましたが、その後、他の辞書で「酩酊」を引くと、どれもこれも「酒に酔ってふらふらの状態」
のように、原因は「酒」に限定しています。「薬物」と書いてあるのは、私が見た範囲では『精選版日本国語大辞典』だけでした。どうしてなんだろうか?
2009/2/20


◆ことばの話3514「日露か?日ロか?」

麻生総理がロシア・サハリン州を日帰り訪問した2月18日の夕刊での、「日本とロシア」を現す略称の表記が、各社、異なりました(2つに分かれました)
(読売)日露
(毎日)日露
(産経)日露
(朝日)日ロ
(日経)日ロ
前日17日の「情報ライブミ・ヤネ屋」では、当初パネルに、
「日露」
と出ていたのですが、たしかソ連が崩壊して(なくなって)しばらくは「日露」でしたが、
「“日露戦争”当時の“露西亜(ロシア)”との区別のために、略称の時には“露”を使わずに、“ロ”とカタカナを使う」
と決めた覚えがあります。
そこで、系列のキー局『日テレ放送用語ガイド』で確認すると、121ページに、
「『ロシア』の略称は『ロ』」
と記されていて、その下に、
「露は1917年の革命以前の帝政ロシアのみに使用する。(例)日露戦争」
とあったので、
「日ロ」
に直して放送しました。
2009/2/19


◆ことばの話3513「店員か?職員か?」

2月16日、『ニューススクランブル』のMディレクターから質問を受けました。
「きょうの大阪・堺の信用金庫強盗事件で、『犯人の男は“店員”にナイフを突きつけて金を出せといった』とあったのですが、これって“店員”でいいんですか?」
「いや、金融機関の場合、銀行だったら“行員”、信用金庫や信用組合、農協の場合は“職員”だろうね。」
と答えて各紙夕刊でチェックすると、読売・朝日・毎日・産経・日経と5紙とも
「職員」
でした。大体「店員」は「物を売る」ところが中心です。(ただし「クリーニング店」「カラオケ店」などは、「物」は売っていなくて「サービス」を売っていますが)「店員」ですけどね。)
2009/2/16


◆ことばの話3512「太平洋沖と太平洋上」

世界一周の「アースマラソン」中の、間 寛平さん。いま、太平洋の真ん中です。でも最近はすごいですね、そんなところから、大きな機材もなく「中継」が出来ちゃうんですもんね!先日、日付変更線を越えた寛平さん「情報ライブミヤネ屋」で交信しました。「生」の映像が、それこそお茶の間に飛び込んできました。その際、寛平さんのいる場所を字幕スーパーで、
「太平洋沖」
としていたのがひっかかりました。「沖」というにはあまりにも「沖」すぎないか?「沖」って陸地から何キロぐらいを「沖」と呼べるのでしょうか?「太平洋のど真ん中」は「太平洋沖」なんでしょうか?
最初は、
「太平洋のど真ん中なんだから『太平洋』ではなく『太平洋』だろう」
と思ったのですが、もう一度考えると、
「『太平洋上』だと、『太平洋上の人工衛星を経由して中継』のように、
『太平洋の上空』
のようにも感じるなあ・・・」
と思い直し、結局、「沖」も「上」も省いて、シンプルに、
「太平洋」
としました。
以前、「沖」と「沖合い」の違いについては、
「沖合い<沖」(沖の方が陸地から遠い)
「平成ことば事情2882沖と沖合い」に書きました。「沖」という言葉はもともと「奥」が語源とも言われているので、「太平洋沖」でも間違いではないと思いますが、やはり、
「『陸地』が意識できるところでの『陸』との対(つい)として『沖』」
があるように(私は)感じたので、「太平洋の大海原のど真ん中」を表すのには「沖」は不要ではないかと思い、外しました。いかがだったでしょうか?
2009/2/10


◆ことばの話3511「草食系」

2009年1月6日、朝日新聞と日経新聞で、同じ日に、初めてみる言葉に遭遇しました。
それは
「草食系」
という言葉です。
そうこうしていたら今度は、牛窪 恵さんというマーケティングライターの人が書いた、
『草食系「お嬢マン」が日本を変える』(講談社+α新書:2008、11、20)
という本を見つけました。
「お嬢マン」
というのは、「オンナ化する男子のこと」だそうで、その「お嬢マン」は全体的に「草食系」なのだそうです。うーん、
「草食系」
ちょっと流行るかも。1月27日現在のGoogle検索では、
「草食系」=14万8000件
「お嬢マン」= 6万900件
でした。ええ!もうそんなに使われているの???もう流行ってるじゃん!
検索でトップに出てきたのは、森岡正博さんの、
『草食系男子の恋愛学』(メディアファクトリー)
という本でこれは去年(2008年)7月に出ています。
あんまり私の周りには「草食系」の男子って、いない感じがするのですが・・・「雑食系」か「肉食系」の人が多いような・・・。
2009/1/27

(追記)

前述の1月6日の日経新聞は、
「『草食消費』を逃すな」
というタイトルの記事。「立ち向かう経営〜フロンティアを求めて」という連載の4回目でした。「草食系」の利用者が支える「草食企業」なるものがあるそうです。インターネット交流サイトを運営している会社なんだそうです。
一方の朝日新聞の記事は、「感情模索」という連載の4回目で、
「背伸びは嫌『草食系男子』」
というタイトルでした。
2009/3/9
スープのさめない距離