◆ことばの話3495「犬種」

「情報ライブミヤネ屋」の後のコマーシャルを、見るとはなしに見ていたら、ドッグフードのコマーシャルが流れました。その中で目に留まった文字は、
「犬種」
という言葉。「けんしゅ」と読むのでしょうか。もちろん「犬の種類」のことを指すのでしょうが、「犬種」という言葉があるのですね。ネコだと「猫種(びょうしゅ)」と言うのでしょうか?とすると、ですよ、人間の種類は「人種」ですよね。それはいいとして、トラの種類は「虎種(こしゅ)」、ゾウの種類は「象種(ぞうしゅ)」、鳥の種類は「鳥種(ちょうしゅ)」と言うのかな?それぞれGoogle検索してみましょう(1月26日)
「犬種」=183万0000件
「猫種」= 20万7000件
「人種」=700万0000件
「虎種」=    1470件
「象種」=    1410件
「鳥種」= 10万2000件
「犬種」のトップで出てきたのは「犬種図鑑」「犬種大百科」というサイト。かなり「犬種」はポピュラーな言葉のようですね。183万件も!「人種」はもちろん多いのですが、まさか出るのかな?と思っていた「虎種」「象種」も出ましたねえ。鳥種も結構多い。
『精選版日本国語大辞典』の電子辞書で検索すると、
「犬種(けんしゅ)」=犬を品種によって分けた種類。犬の種類。
として、昭和9年の菊池寛『話の屑籠』での用例、
「現在では流行してゐない犬種らしい」
が載っていました。しかし「猫種」「虎種」「象種」「鳥種」は載っていませんでした。やはり「ペット」としての歴史の長い「犬」は特別なんですかねえ。
2009/1/26


◆ことばの話3494「万票の読み方」

大阪府の橋下徹知事が当選してから、きょうでちょうど1年が経ちました。早いような長いような、そんな感じですね、大阪府民としては。
当時の得票数は「180万票」。この場合の「票」の読み方は、「ヒョー」でしょうか?「ビョー」でしょうか、それとも「ピョー」でしょうか?『ミヤネ屋』の原稿に出て来ちゃったんですが・・・。そう言えば、
「満票」
という場合は、
「まんピョー」
だから「ピョー」かな?と一瞬思いました。それでいいのかな?
こういう時には、去年、私も所属している日本新聞協会の新聞用語懇談会放送分科会で、足掛け3年かけて作った「放送で使用する助数詞」(非売品)という冊子があるんですが、これが役に立つんですよ!なんと言っても『NHK日本語発音アクセント辞典』でも「10」までしか載っていない助数詞の読み方が、なんと「万」まで載っているんですから。ただし、そこで選ばれて載っている助数詞は「46」種類しかないんですが。それでも、その一つ一つにアクセント表示まで付いて、これは(我田引水ながら)画期的なことだと思いますよ、うん。
そいつを引っ張り出してきて、「票」を探すと・・・ありました、ありました!さらにその「万票」の読み方を見ると、はっきりと、
「マンビョー」
と書いてありました!
なぜ「満票」は「ピョー」で「万票」は「ビョー」なのか?おそらく「まん」の「ん」の形が違うんでしょうね。「満」の方は「N」の「ん」で、「万」の方は「M」の「ん」なんだと思いますが。
理由はとにかく、読み方がはっきりとわかって、自信を持って原稿を読むことが出来ました!
2009/1/27


◆ことばの話3493「わになれなにわ」

昨年12月のクラブワールドカップ(CWC)=元のトヨタカップで、あのマンチェスター・ユナイテッド(「マンU」という呼び名が定着しましたね、日本では)とノーガードの打ち合いのような壮絶な試合で3対5と敗れた、アジアチャンピオンのガンバ大阪。文字通り「がんば」りましたよね、3位になったし。もう1か月以上経ちますが。
そのガンバ大阪の合言葉(?)が、
「わになれなにわ(輪になれ浪速)」
これが「回文」です。「たけやぶやけた」「しんぶんし」「わたしまけましたわ」みたいな、「上から読んでも下から読んでも同じ文章」
になるというものですね。へー、こんなキャッチフレーズだったんだ。回文はたしかに「輪に」なりますよね。上から読んでも下から読んでも同じなんだから。なかなか気の利いた言葉だなと印象に残りました。その言葉だけをメモしておいて、年を越してしまいましたが・・・。
「回文」と言えば、5、6年前に北海道の釧路に行った時に、釧路市役所の前のホテルに泊って、その上層階の部屋から釧路市役所(たぶん4、5階建て)の屋上を見下ろしたら、
「くしろよろしく(釧路よろしく)」
という「回文メッセージ」が大きく描かれていたのを思い出します。こういった遊び心は大切ですよね!
2009/1/26
(追記)

先日、小6の息子と久々にMドナルドに入ってハンバーガーを食べていた時に、息子が、
「『わが家寝屋川』って、さかさまから読むと、何になるか知ってる?」
と聴いてきました。もちろん、すぐにピンと来て、確認もせずに、
「わが家寝屋川!」
と答えました。正解でした。
「わがや ねやがわ」
回文なんですね!ちなみに、ご存じかと思いますが、「寝屋川」は大阪府にある市の名前です。息子に、
「北海道の釧路市役所の屋上には、『くしろ よろしく』って書いてあるんやで」
と言うと、
「うそ!」
と驚いていました。「そう、うそ」というのはウソ。
2009/12/17


◆ことばの話3492「毛抜き合わせ」

アメリカのオバマ新大統領の夫人・ミシェルさんが1月20日の就任式で着ていた黄色い衣装が評判です。大統領選挙に勝った時の「赤と黒の服」は、大変評判が悪かったのですが、今回は皆、手放しで褒めています。そういった新聞記事を読んでいたら、その中にこんな言葉が!
「毛抜き合わせ」
なんじゃ、そりゃ?誤植?とまで思いましたが、念のため電子辞書の『精選版日本国語大辞典』を引いてみると・・・ちゃんと載っていました。
「毛抜き合わせ」=
(1)毛抜きの頭を合わせたように、ぴったりと、すきまなくあわせること。重ならないように、きっちりと合わせること。
(2)裁縫で、両方の布地を揃えて縫い合わせること。表と裏とをきっちり揃えて縫い合わせること。
(3)二つの寄席をかけ持ちしていることを、寄席芸人の間でいう。
(4)印刷の多色刷りで、隣り合う二つの色を、重ならず、かつ離れず、ぴったりと隣接させる技術をいう。
ふーん、もともとの意味から派生して、裁縫、寄席芸人、印刷でも使われている言葉だったのですね!今回は2番目の意味ですが。
『三省堂国語辞典』には載っていませんでしたが、『新明解国語辞典』には載っていました。
「毛抜(き)合(わ)せ」=「二枚の布を縫い合わせ、表に返した時、ふちがそろうようにした仕立て方」
なるほど。『広辞苑』にも載っていました。
「毛抜合せ」=「毛抜の先を合わせたように、ぴったりと合わせること。裁縫で、表と裏の布を出入りがないように、そろえて縫い合わせることなどにいう。」
『新潮現代国語辞典』にも(短いですが)載っていました。
「毛抜(き)合(わ)せ」=ぴったりとあわせること。
この「ぴったり」というところが「毛抜き合わせ」という言葉の“キモ”のようですね。
いやあ、アメリカのファーストレディーの服装から、日本的な言葉を覚えました!
2009/1/23


◆ことばの話3491「リフト・オフ」

1月23日、鹿児島県の種子島から、H2Aロケット15号機が打ち上げられました。その中には、大阪府東大阪市の中小企業が作った人工衛星「まいど1号」も積み込まれていました。打ち上げ後は「雷雲」の観測をするんだそうです。
そのニュースの原稿を読んだのですが、ニュースのVTRを見ていたら、現地で実況をしている人の声でしょうか、打ち上げの瞬間に、
「今、『リフト・オフ』です」
と言っていました。この「リフト・オフ」という言葉、初めて耳にしました。Googleで検索したら(1月23日)
「リフトオフ」=5万7300件
でしたが、トップに出てきたのは「リフトオフ加工」という、あまり関係のなさそうなものでした。そこでキーワードを追加して検索したら、
「リフトオフ 打ち上げ」=4600件
出てきました。トップは「種子島案内H−IIロケット打ち上げ見学記」というもので、2007年9月14日の打ち上げの様子が出ています。そこでは、
「ロケット打ち上げ=リフトオフ」
の意味で使われているようです。また「H-IIAロケット15号機打ち上げ日帰りレポート」という今回の打ち上げズバリのページにも「リフトオフ!」とありました。やはり「ロケットの打ち上げ」のことを「リフトオフ」と言うようです。
でも、
「仕事の打ち上げの飲み会」
のことは「リフトオフ」とは言わないですけどね。
2009/1/23
スープのさめない距離