◆ことばの話3450「G20の読み方」

11月中旬、週末に開かれた金融サミット「G20」。この「20」の読み方について、
(1)「にじゅう」
(2)「トゥエンティ」
どちらの読み方なのか?「G7」「G8」までは、「セブン」「エイト」でよかったのですが、「20」となると・・・そこで各社の知り合いにどう読んでいるかメールで聞いてみたところ、何社から返事が返ってきました。
(日本テレビ)=「トゥエンティ」
(朝日放送)=「トゥエンティ」
(TBS)=「トゥエンティー」(ゴルフのスコアはー11から「じゅういちアンダー」)
(共同通信)放送原稿では、「20の国や地域の首脳らが集まって/世界的な金融危機への対策を話し合う金融サミットが…」という表現をとり「Gにじゅう」や「Gトゥエンティ」は使わなかった。
(NHK)NHKのニュース原稿を何年分か見ると、あえて言う場合は、
「トゥエンティー」。
ただ最近は、テロップ表記はあるものの本文ではほとんど使っていない。「G7」や「G8」と明確に区別するためだろうか。誰かの発言の「引用」で出ることはあるようだ。
(静岡放送)「G20」は使わなかった。枠組みも流動的になっている現在、「G20(Groupof 20)」がどうしても必要な語だとは思えない。「20カ国首脳による金融会議」で良いのでは、と考えている。
ということで、「G20」を使って読む場合は各社「トゥエンティ」と英語読みをしていて、「にじゅう」と日本語読みをした社はありませんでした。
ただ、内容を考えてあえて「G20」という表現を使わなかったという社も数社あり、ここでもこういった首脳会議のあり方の変化というものを感じることができました。
「G7」「G8」の時代はその枠組みに入ることやそういう名前で呼ばれることが世界的な「ステイタス」のように感じていたのですが、「20か国」にも裾野が拡大した現在、わざわざ名前をつけて呼ばなくても・・・というような変化があったということですね。うーん、奥が深い。
(2008/12/15)


◆ことばの話3449「平成生まれにとっての懐メロ」

ケータイサイトを見ていたら、
「平成生まれにとっての懐メロとは?女子高生100人アンケート」
というのが載っていました。2008年8月1日から15日に調べたものだそうです。平成も20年だから、女子高生はみんな「平成生まれ」なんですね。その子たちにとって、果たして「ナツメロ」とはどういうものか?興味が沸きました。というのも、知り合いの女子大の先生が数年前、授業で女子大生たちに、
「『懐メロ』って、知ってる?」
と聞いたところ、
「ナツメロ?夏のメロディーですか?」
と言われたと、教えてくれたことがあったからです。一応今回は、
「ナツメロ=懐かしのメロディ」
という説明があったみたいですね。
では、そのベスト10、発表です!
1位「LOVEマシーン」(モーニング娘。)
2位「ザ☆ピース」(モーニング娘。)
3位「White Love」(SPEED)
4位「花」(ORANGE RANGE)
5位「Secret base〜君がくれたもの」(ZONE)
6位「恋愛レボリューション21(モーニング娘。)
7位「*〜アスタリスク〜」(ORANGE RANGE)
8位「UFO」(ピンクレディー)
9位「だんご3兄弟」(速水けんたろう、茂森あゆみほか)
10位「ハッピーサマーウェディング」(モーニング娘。)
なんと10曲中4曲も「モーニング娘。」の曲が「懐メロ」に入っています。みんな平成生まれだからなあ・・・そんな中で異色を放っているのは、8位の「UFO」(ピンクレディー)。なんで?30年も前の曲、もちろんこの子達が生まれる前・・・あ、そうか、お母さんたち(私などと同世代)が青春時代の曲だから、それで覚えているんだ、きっと!こういう伝わり方もあるんですねえ。おそるべし!ピンクレディー、そして阿久悠!!ファッションや言葉と同じように、音楽も時代を超えて伝わっていく形として、「親から子へ」という形があるのだなと、感じ入ったのでした。あ、「サザン」もきっと、11位以下には入ってるんじゃないかなあ・・・。
2008/12/15


◆ことばの話3448「ウオッチングか?ウォッチングか?」

外来語の表記は難しい。
日々感じていることです。中でも「オ」や「エ」が「大きいか小さいか」は悩みます。どちらでもないようなケースも多い。発音と表記がずれることも多い。きょうも、
「ウエア」か「ウェア」か
で悩みました 。(これは一応『新聞用語集2007年版』『読売スタイルブック2008』『共同通信者記者ハンドブック』に従って「大きいエ」にしましたが。)
それ以外で、以前悩んだのが、タイトルにした、
「『ウオッチング』か『ウォッチング』か」
です。辞典などを調べてみましたが、意見が割れています。

<ウオッチング>
新聞用語集2007年版、三省堂国語辞典、新明解国語辞典、大辞泉、明鏡国語辞典、NHK日本語発音アクセント辞典、新潮現代国語辞典
(ウォッチング)
精選版日本国語大辞典、広辞苑、明鏡国語辞典(空見出し)、現代カタカナ語辞典

一応、私が調べた範囲では、
「大きいオ:小さいォ=7:4」
「大きいオ」が優勢です。昔はみんな「大きいオ」だったのかな?それが最近は「小さいォ」に変わりつつあるというのが、現状でしょうか?発音みんな昔は「大きいオ」だったんでしょうね。それがだんだん原語に近い「小さいォ」、つまり「拗音」も言えるようになってきたと。そういうことではないでしょうか?
ご意見、お待ちしています!
2008/12/15

(追記)

早速、新聞用語懇談会でご一緒しているNHKの原田邦博さんからメールをいただきました。
『「外来語の表記」については、平成3年の内閣告示で、「ウィ・ウェ・ウォ」を認めつつも、一般的には「ウイ・ウエ・ウオ」と書くことができるという原則があり、日本新聞協会もこれを優先して採用しています。(『新聞用語集』)
普通名詞である「ウオッチング」は、「ウォ」ではなく、「ウオ」になります。(「ウェブ」は例外的に小さい「ェ」を採用しました)
人の名前や地名など固有名詞の場合は、「ウィルソン」「ウィーン」「ウィンブルドン」など、
小さい「ィェォ」が使われます。ただ「ウィーン」や「ウィンブルドン」を、日本人がどう発音しているか調べると、ほとんどの人が「ウイーン」「ウインブルドン」と言っています。そのことばのアクセントの位置にもよりますが、「ウィ・ウェ・ウォ」と発音している人は現実には少ないため、発音と表記を一致させるべきであるなら、大きな「イ・エ・オ」になるでしょう。NHKの「ニュースウオッチ9」のロゴは、原則は「オ」ですが、なぜか「オ」と「ォ」の間ぐらいの大きさになっています。』

なるほど。普通名詞と固有名詞では扱いが違うのですね。平成3(1991)年の内閣告示は知っていましたが、とにかく一般の人には「わかりにくい」上、「必ずしも発音と一致していない」(発音の実態に、規律に従った規則性がない)ために混乱しそうです。
原田さん、ありがとうございました。
2008/12/19


◆ことばの話3447「低出生体重児」

12月5日に開かれた新聞用語懇談会放送分科会で、
「未熟児」
という呼び方について質問が出ました。放送で「未熟児」という言葉を使ったら、視聴者の方から、
「今はそうは言わない。『低出生体重児』と言う」
という意見が届いたそうです。これについて会議では、
●医療現場ではたしかに、正式には「低出生体重児」と呼ぶ。ニュースでは最初に「低出生体重児・いわゆる未熟児」という言い方をしている。
●数年前に「未熟児」という呼称に対して「2、5Kg以下の新生児は『少体重児』『少体重出生児』と言う」と医師から言われた。しかし最近は医師が「未熟児」を使っている。医師の中でも呼称はバラバラのようだ。医学番組ではナレーションは使い分けをしている。ゲストが言う「未熟児」はそのまま使っている。
●体重が2、5Kgより少ないのは「低出生体重児」、早産の子供は「未熟児」と使い分けている。
●全部「未熟児」でやっている。NCIUに入る新生児は体重が軽いだけでなく、肺など臓器にも障害がある場合が多い。妊娠24週〜37週で早く生まれた子供には「早産児(そうざんじ)」という呼び方もある。
●産婦人科の病院の現場では「未熟児」とは言わない。(親御さんの気持ちを考えて)「低体重児」と呼ぶ。
●その子が死んでしまったあとでなら「未熟児」は使えても、生きている時には使いにくい表現。(両親や親族に)面と向かっては使わない。
●問い合わせは、よくある。「体重」が基準。
●「平均より少ない体重で生まれた」と言えば良いのではないか?同じような表現としては「未亡人」がある(「夫が亡くなったのにまだ死なない人」という意味なので、本当は失礼な呼び方だから)。
などの意見が出ました。私は不勉強で「低出生体重児」なる言葉があることを知りませんでした。そうか、なるほどなあと思っていたら、けさ(12月11日)の読売新聞朝刊・家庭欄「生活ドキュメント」〜やせすぎ妊婦(上)に、
「低出生体重児」
という言葉が出てきたではないですか!医学的には、やはりこう呼ぶようです。「未熟児」という言葉は使われていませんでした。
「平均出生体重」
という言葉も使われていました。そこから考えると、
「低・出生体重・児」
という「語構成」のようです。ちなみに、
*「低出生体重児」は、健康状態に問題が発生することもある
*日本の「低出生体重児の割合」は、2006年、「9,6%」で、OECD加盟国の中でもっとも高い
のだそうです。背景には、
「最近の妊婦は妊娠前からやせており、妊娠してもやせ願望が強い」
ということがあると、専門家は指摘しています。Google検索では(12月15日)
「低出生体重児」=113000
「未熟児」= 463000
「早産児」= 15900
「低体重児」= 86800
となっていました。そう言えば、医学用語としては、
「未熟児網膜症」(Google検索=16000件)
というのもありますね。(ちなみに「低出生体重児網膜症」を検索したら、「1件」しかありませんでした。)今後もこの言葉に注目していきます!
2008/12/15


◆ことばの話3446「おことおおさんどす」

12月13日は、京都・祇園の事始め。京都だけでなく関西の人にとっては、師走の伝統行事で季節を感じさせる出来事です。会社に入った25年前は、
「なんで年末に“事始め”なんだろう?」
と思いましたが、つまり「新年を迎える準備を始める」という意味なんですね。京舞の家元・井上八千代さん(当時は先代でしたが)の元に、芸妓さん舞妓さんが訪れて、
「おめでとうさんどす」
とご挨拶をする。そういうニュース原稿をよく読みました。ただ、この挨拶の部分の、
「おめで/と\うさんど/す」
が、関西弁に堪能ではない東京出身の若手アナなどが読むと、
「お/めでとうさんど\す」
「どす」だけ取ってつけたようになって苦笑を誘う・・・てなことも、よくありました。
今年の12月13日は土曜日、車の中でいつものようにNHKのラジオを聴いていたら、「事始め」の話題が出てきて、「おめでとうさんどす」という挨拶に対して、家元の井上八千代さんは、
「おことおおさんどす」
と返事するのだという話が出てきました。へー、そうなんだ。初めて知りました。「おことおおさんどす」は、新年の準備で「お事」が「多い」ですね、大変ですね、という意味なんだそうです。奥ゆかしいどすなあ・・・。またひとつ、勉強になりました。
あ、そうそう、そろそろ年賀状の準備をしなくちゃ!年賀状の受付はきょう12月15日から25日までに、と日本郵政はPRしています。今年は不況の影響で、郵便配達のあるバイトに応募者が殺到しているとか・・・こんなところにも、影響が及んでいるんですね。
2008/12/15
スープのさめない距離