◆ことばの話3435「義姉の読み方」

大阪の梅田で、無免許・飲酒運転の男の車に轢かれて、3kmも引きずられて死亡した鈴木源太郎さん(30)の奥さんのことを、実弟の秀次郎さんが、
「アネの気持ちとしては」
と話していました。その「アネ」は、漢字で書くと、
「義姉」
です。音読みでは読み方が、
「ギシ」
と辞書には載っています。「アネ」と読むのは「慣用読み」ですが、辞書には載っていませんでした。
先日、「情報ライブミヤネ屋」で、弟さんのインタビューの声に字幕スーパーをかぶせる時に、最初は、
「姉」
と書かれていたので、
「なんで急に『お姉さん』の話をするのかな?」
と思ったのですが、そのあとに、
「あ、そうか、『亡くなった鈴木さんの奥さん』のことを言っているのだ!」
と気づき、
「それならば『義姉(あね)』とした方が、分かりやすいだろう」
と思って、そのように直しました。同じようなことは、
「義兄(あに)」「義父(ちち)」「義母(はは)」
にも起きると思います。『新聞用語集2007年版』には、実はこの熟字訓は載っていませんでしたが、一般的なことではないかと思いますが、いかがでしょうか?
2008/11/25


◆ことばの話3434「地雷の数え方」

高知県のゴルフ場で、玄関のガラスが爆破される事件がありました。そして、次の週に開催される男子プロゴルフのトーナメントの前に、今度は「地雷を埋めた」という電話がありました。人騒がせな、しかも悪質な行動です。
ところで、この「地雷」の数え方はどうするのでしょうか?『新明解国語辞典』の「かぞえ方」欄を見ると、なんと
「一本」
となっているではないですか!「個」じゃないのか?・・・そうか、地雷の「信管」を数えると「本」になるのかもしれないな。しかし、外務省のホームページでは、
「個」
を使っていました。また、飯田朝子著『数え方の辞典』(小学館)でも、
「個」
となっていて、備考欄に、
「地雷は発射するものではないので、『発』ではあまり数えません」
と書かれていますが、「本」という助数詞は出てきません。新聞用語懇談会放送分科会がこのほどまとめた『放送で使用する助数詞』には、残念ながら「地雷」の数え方は載っていませんでした。
私は、地雷の形状などから「個」でいいと思うのですが、いかがでしょうか?
2008/11/26


◆ことばの話3433「四字熟語か?四文字熟語か?」

11月26日、大相撲の関脇・安馬が大関に昇進し、新しいしこ名は、
「日馬富士(はるまふじ)」
となりました。「日」と書いて「はる」と読ませるんですね。知らないと読めないな。
さて、大関昇進の使者を受けた時の、最近恒例(?)の「四字熟語」は、
「全身全霊」
でした。さて、この「四字熟語」、わたしは、
「よじじゅくご」
だと思っていたのですが、スタッフが発注した字幕には、
「四文字熟語」
とありました。「よんもじじゅくご」と読むのでしょう。以前、この「四字熟語」という言葉自体が、比較的新しくできた言葉であるとどこかで読んだことがあります。高島俊男さんの『お言葉ですが・・・』だったような気がします。ですから「四文字」と「四字」が混在しているわけです。国語辞典で調べても、どちらも載っていない辞書が多い。そんな中で、『三省堂国語辞典・第6版』と『広辞苑・第6版』は、
「四字熟語」
を見出しとして採用していました。スタッフには「四字熟語」でいくように指示しました。
あらためて、Googleで検索してみると(11月26日)
「四字熟語」= 115万件
「四文字熟語」= 217000
で、「四字熟語」が優勢でした。
2008/11/26


◆ことばの話3432「規制線」

11月18日、さいたま市南区で、元厚生省の事務次官夫妻が殺されるという事件が起こりました。「情報ライブミヤネ屋」の、現場からの中継の中で、
「規制線が張られていて」
と中山リポーターはりポートしたんですが、これは正しくは、
「立ち入り禁止のテープが張られていて」
と言うべきところでしょう。
「立ち入り禁止のテープ」のことを「規制線」という傾向が最近ありますが、誤りです。去年6月の新聞用語懇談会でその話が出ました。記録を紐解くと・・・
・「規制線」について
「規制線」については「立ち入り禁止になっている」などと言うべきだとの意見もあります。各社どう対応されているのか?(フジテレビ・H委員)
→渋谷のスパ施設の爆発事故の報道・中継の際に、よく「規制線」という表現を耳にした。「規制線が張られ、この先には進めません」というような表現で。しかし普段は「立ち入り禁止となっている」などと表現する。特に関西では、「キセイ線」と言うと、JRの「紀勢線」と(同音異義語なので)間違う恐れもあるので。

となっていました。本来「規制線」は物理的に見える「線」ではありません。規制するために警察官などを配備することです。
「非常線を張って犯人の行方を追っている」
という場合の「非常線」も「物理的な線(テープ)ではない」ですし、「捜査網」も「物理的な網」ではないのと同じです。あと、上にも書きましたが、関西では「キセイセン」は「紀勢線」と同音異義語でもあり、紛らわしいです。
2008/11/18


◆ことばの話3431「石垣佑磨さんか容疑者か」

11月18日、俳優の石垣佑磨が、週末に公務執行妨害と暴行の容疑で現行犯逮捕され、送検されたあと、「処分保留」で釈放されたと報じられました。朝刊各紙の石垣に対する「肩書き」は、
(朝日)容疑者
(毎日)さん
(産経)さん
読売・日経は記事が見当たらず。また、スポーツ紙は、日刊が「容疑者」で、そのほかサンスポ、デイリー、報知、スポニチは「呼び捨て」でした。スポーツ紙はふだんから俳優やタレントに敬称をつけていないので、こういった場合に“便利”です・・・。
暴行や公務執行妨害で現行犯逮捕されているのになぜ「さん」付けなのか?不思議に思いました。調べてみると「処分保留」で釈放されているからのようです。日本テレビでも、「処分保留」や「不起訴処分」(起訴猶予を含む)の場合は「さん」か「肩書き」をつけることになっています。しかし、この石垣の場合に「肩書き」は?「俳優」でしょうか?
「石垣佑磨・俳優」
でしょうか?これって、以前の、
「島田紳助・司会者」や「小泉今日子・女優」「稲垣メンバー」
のような違和感が生じます。そもそも「俳優」は「職業名」ではあっても「肩書」ではないですよね?
結局、原稿の読みは「石垣容疑者」と「容疑者」をつけ、スーパーは「呼び捨て」で「石垣佑磨」としたのですが、スーパーは「容疑者」が付いたものも出てしまい、不格好になりました。今後、こういったケースはまた、検討課題です。
夕方のニュースを見ていたら、日テレ『ニュース・リアルタイム』はガイドラインどおり、
「石垣さん」
「さん付け」でした。スーパーは「石垣佑磨(26)」と「呼び捨て」でした。
ABC『ムーブ』スーパーは「呼び捨て」。読みでどう言っていたかは聞き逃しましたが、女性アナウンサーが石垣佑磨のことを指して、
「ご自身」
と言っていました。かえって丁寧になってしまっています。「ご自身」はないやろ!と思いますが、つい言ってしまうのですね。
2008/11/18
スープのさめない距離