◆ことばの話3410「かわいいたんぱく質」

2008年度のノーベル化学賞を受賞した下村脩教授がインタビューで、最初にクラゲを見た時に感じたことを答えていました。その言葉とは
「単なる緑のかわいいたんぱく質だった。何か応用できるとは思ってなかった」

「かわいいたんぱく質!」
そんなふうにクラゲに感じたことは・・・いやこれまでの人生で「かわいいたんぱく質」と感じた物質は、私は一度としてありません。やはり理系の人、それもノーベル賞を受賞するような人とは、頭の中の構造が全然違うんだなあ・・・ということを、ひしひしと感じた一言でした。
2008/10/21



◆ことばの話3409「めでぃしーん」

駅の広告ポスターに目が留まりました。そこには平仮名で、
「めでぃしーん」
と書かれていました。それをみて私は、
「明治維新」
平仮名で書いてあるのかな??と思いましたが、全然違いました。それは、「J」(仮名)という会社の、
「薬学生・院生向け就職情報サイト」
だったのです!焼く学生・・・いや薬学生・・・あ、そうか、
「メディ・シーン」
かあ!「メディカル」ですね!カタカナで書けばわかるんやん!なんで「めでぃしーん」って平仮名やねん!ややこしいなあ。
でも、おもしろいですね。狙いにすっぽり、はまってしまいました。薬学生でも院生でもないけどな!
近頃、そんなサイトの広告ポスターが駅に張ってあったりするんですねえ。媒体の使い方もおもしろいなあ・・・。
2008/10/21


◆ことばの話3408「わね」

「10月3日解散」
の空気が広まっていたころ、産経新聞の記事に、
「参院重鎮は『もう腹を決めて勝負するしかないわね』と決断を促した。」
というのがあったと、S君が教えてくれました。そして彼いわく、
「こんな言い回しをするのは青木さんだけ。匿名の意味がなく、笑えますね!」
たしかになあー、「語尾が人格を表しています」よね!
「ワシ」
と言う「清原選手」(本人は、本当は言わないんだけど)とか、
「なのじゃ」
という、「鉄腕アトム」に出てくる「お茶の水博士」とか。このあたりは「役割語」の研究をされている大阪大学の金水先生の分野ですね。
産経新聞は、「青木さんが言った」ことをバラすために、「わね」を使ったのでしょうか?それとも「気づかずに、ついつい使った」のでしょうか?そんなことはないと思うけど・・・。
「言葉遣い」から「個人名が特定される」ということは、ある意味、すごいことですね!
2008/10/21


◆ことばの話3407「崖」

「常用漢字表」に載っていない漢字を、
「表外字」
といいます。現在、文化審議会の国語分科会(昔の国語審議会)「常用漢字の見直し作業」を進めています。
表外字でも、みんなが読めるであろう漢字もありますよね。たとえば・・・今年、がぜん注目を浴びた、
『崖の上のポニョ』
このタイトルに出てくる、
「崖」
は、「表外字」なんです。でも、ルビなしで小さい子でもおそらく読めますよね、今は。
ただ、表外字は、
「新聞や放送では原則平仮名で書く(その漢字を使うときはルビを振る)」
ことになっています。
その証拠に、9月3日の朝刊に出てきた、
「がけっぷち」
という見出しは「平仮名」でした。文化審議会の話し合いで「崖」はどうなるんでしょうか?もし「崖」が「新常用漢字」の仲間入りすることがあれば、きっと「ポニョ」のおかげですね。
2008/10/21


◆平成ことば事情3406「『テレビショッピング事始め』に出てきた表現」

『テレビショッピング事始め』(境政郎、扶桑社)という本を読みました。詳しくは「2008読書日記183」を読んでほしいですが、その中でおもしろかった点を書き抜きます。

*「毎日系と朝日系の統合問題が、毎日系の大反対でデッドロックにのりあげていた」
→「デッドロックに乗り上げる」は誤り。「デッドロック」は「岩(暗礁)」ではない。でも、この世代の人は使うんだなあ。最近目にしない表現。
*「マジョリカ焼」
→「マジョルカ」ではなく「マジョリカ」というのもあったのか。
*ケネディ大統領が1962年に発表した。「消費者利益の保護に関する特別教書」消費者の四つの権利は、
「商品について安全を求める権利」
「商品の内容について知らされる権利」
「多数の商品の中から自由に選ぶ権利」
「消費者の主張・苦情を聴取される権利」
だそうです。現在にも生かせるよなあ。
*現場責任者・永田照海(てるみ)産経新聞常務取締役企画本部長は、媒体の傾向性について、
「放っておくとテレビ番組はどんどん柔らかくなるが、新聞はどんどん硬くなる」
と喝破したという。 ふーん。
*「チントンシャン」の語源が186ページに。それによると「三味線」で、
「細棹はまろやかでチン、太棹は弾きが強くてドン、中棹はテンポがよく軽快でシャン。」
知りませんでした。
*「面白かったのは胴の皮だ。初心者向けは猫だった。『メス猫の処女がいい』『猫は音色がやわらかい』などと耳学問で仕込んだ蘊蓄をリポートした。後には高級品といわれる犬皮を紹介した。」
と書かれているが、
「メスの処女猫」
などという表現は現在だと放送では使わないだろうなあ。
2008/10/21

スープのさめない距離