スープのさめない距離



◆ことばの話3335「都賀川のアクセント」

7月28日、その濁流に子どもを含む5人を飲み込んだ神戸市の「都賀川」。このアクセントでは、関西のアナウンサーは、
「ト/ガガワ」
「平板アクセント」なのですが、関東の局のアナウンサーが読んでいるのを聞くと、
「ト/ガ\ガワ」
「中高アクセント」で読んでいる人が多いように感じると、Sキャスターが言うのです。
「多摩川(タ/マ\ガワ)と同じアクセントだと感じているのでしょうかねえ・・・。」
どうなんでしょう。たしかに関西の川で「川」の前が二文字の名前の川では、
「淀川(ヨドガワ)」
「安威川(ア/イガワ)」
「平板アクセント」ですねえ。
もしかしたら関東の人は、「川」と「側」の区別をしているのかもしれません。つまり「川」の場合は「中高アクセント」にして、「側」の場合は「平板アクセント」にしているとか。
あ、でも、東京の「荒川」は、
「ア/ラカワ」
「平板アクセント」ですねえ。
そうこうしていると、坂君が、「全国の一級河川と主な支流(二音節の河川のみ)」を選び出してくれました。
【北海道開発局管内】
沙流川
【東北地方整備局管内】
赤川、平川、坪川、松川、衣川、迫川、笊川、前川、北川、内川、阿仁川、玉川、鮎川、
芋川、鮭川
【関東地方整備局管内】
久慈川、那珂川、利根川、荒川、多摩川、富士川、逆川、鳥川、鬼怒川、江戸川、中川、
入川、滝川、鴨川、芝川、渋川、宮川、鶴川、阿津川、谷津川、串川、八瀬川、鳩川、
姥川、早川
【北陸地方整備局管内】
荒川、関川、姫川、庄川、犀川、平川、浦川、松川、根知川、和田川、井田川、内川、
千保川、祖父川
【中部地方整備局管内】
狩野川、安倍川、菊川、豊川、木曽川、宮川、黄瀬川、沢川、松川、気田川、海老川、
宇利川、籠川、乙川、矢田川、瀬戸川、堀川、新川、飛騨川、揖斐川、根尾川、加太川、
勢田川
【近畿地方整備局管内】
北川、由良川、淀川、加古川、揖保川、紀ノ川、真名川、雲川、日野川、鳥羽川、土師川、
姉川、余呉川、斧川、宇曽川、安曇川、愛知川、野洲川、木津川、保津川、石川、寺川、
八木川、奈佐川、貴志川、十津川、鴨川
【中国地方整備局管内】
日野川、斐伊川、小瀬川、佐波川、佐治川、八戸川、加茂川、西川、小田川、阿字川、
瀬戸川、丁川、古川、安川
【四国地方整備局管内】
那賀川、土器川、祖谷川、砥部川、肱川、小田川、久米川、黒川、土居川、名野川、
宇治川、安芸川
【九州地方整備局管内】
白川、球磨川、矢部川、嘉瀬川、西川、黒川、津江川、玖珠川、佐田川、広川、堀川、
八勢川、加勢川、胸川、斧川、裏川
うーん、いろいろありますね。
結局、「都賀」と「川」の結合が強ければ「平板アクセント」になり、弱ければ「中高アクセント」になるような気もします。また「荒川」の「川」の前の「荒」は形容詞ですが、「都賀」は「名詞(地名)」ですから、そのあたりもアクセントに影響を与えているのではないでしょうか。形容詞の方が、あとが「平板」になりやすいとか。
「ア/ラ\カワ」
とは言わないですもんね。何となく、そんな気がしました。
2008/8/7


◆ことばの話3334「グーグルのアクセント」

8月6日の「ニュースゼロ」を見ていたら、ネット検索エンジンの「Google(グーグル)」の地図が、これまでの空から見た俯瞰の地図だけではなくて、一年間かけて地上を車で移動して撮影した映像を見ることが出来るようになったというニュースを伝えていました。
これはすごいことですね。まだ日本全国、というわけではないようですが。
その中でこの「グーグル」を、日本テレビの(ラルフ)鈴木アナウンサー「平板アクセント」で、
「グ/ーグル」
と読んでいました。私の語感では「頭高アクセント」の、
「グ\ーグル」
なのですが。よく、その言葉を使う人は「平板アクセントになる」といわれますが、私も結構、10年近くにわたって「グーグル」を使ってるんですが、「平板アクセント」にはなりません。
皆さんは、どう発音しているのでしょうか?それをグーグルで調べることは出来るのかな?
2008/8/8


◆ことばの話3333「両岸の読み方」

『ニューススクランブル』の坂キャスターから質問を受けました。
「きのう(7月28日)の神戸・都賀川の水難事故のニュースで、川の両側の岸のことを・・・」
「みなまで言うな、『りょうがん』と読むか?それとも『りょうぎし』と読むか?ということだろ」
「はい」
「さっきの『ニュースリアルタイム』の東京のナレーターは、『りょうぎし』と読んでたけど、そもそもは『りょうがん』だろうなあ。」
「そうですか・・・(でも『りょうぎし』の方がわかりやすいけどなあ)」
( )内は多分、坂君がそう思っているであろうことを、想像して書きました。
一応、手元にある8冊の辞書を引いてみました。
その結果、「りょうがん」を見出しにしているのは、「三省堂国語辞典・第6版」「広辞苑・第6版」「日本国語大辞典」「NHK日本語発音アクセント辞典」の4冊。「りょうぎし」を見出しにしている辞書はありませんでした。そして4冊のうち「アクセント辞典」を除く3冊は、説明文の中に「りょうぎし」というのも書いてありました。
ここからは推測ですが、やはりもともとは、
「りょうがん」
と読むのが正しかったのでしょう。しかし「両眼」という同音異義語もあるし、「きし」ということばを音として出したいがために、「りょうぎし」という重箱読みが出てきたのではないか。一般にはかなり使われているものの、本来の読み方ではないので、辞書の見出しにはまだなっていない、ということではないでしょうか。
つまり、ニュースで読む場合は、
(1)正しい日本語として「りょうがん」と読む。
(2)「両方の岸」のように、かみ砕いた言い方にして読む。
(3)「右岸と左岸」というふうに言う。
こういったところでしょうかね。
2008/7/30


◆ことばの話3332「しりとり」

先日、車に乗っていたときに、3歳の娘に向かって、
「しりとり、しようか」
と言うと、しばらく無言で考えた娘は、真剣な顔でこう言いました。
「あのな、網の『虫取り』はできるけど、『しりとり』はできへん。網があればな。」
そうかあ、「虫取り」は知ってても、「しりとり」は知らなかったかあ。「尻」を取ろうと思ったのかなあ。
でも、兄と母と私と一緒に「しりとり」を始めたら、しっかりとできるではありませんか!こうやって遊ぶことを「しりとり」と言うことを知らなかったということですかね。

真面目に「虫取りはできるけど、しりとりはできへん」と答えたのが、とってもかわいくて、面白かったです。
2008/7/29


◆ことばの話3331「ご両替」

先日、関西国際空港で見かけた看板(写真)に、
「ご両替はお済ですか?」
という文字がありました。「お済」と、送り仮名が省略されていることよりも、
「ご両替」
と、「両替」に「ご」が付いた形に目が留まりました。普通、付けますかね?
「両替はお済みですか?」
でいいんじゃないのかな?



Google検索してみると(7月29日)、
「両替」=256万0000件
「ご両替」=851件
で、やっぱり、「ご両替」は、とっても少ないですね。
2008/7/29
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