◆ことばの話3310「歩車分離式信号」

家の近くの信号が先日から
「歩車分離式信号」
なるものになりました。どういうものかというと、
「交差点で歩行者が歩く時は全部『青』で、自動車はどちらの向きも『赤』」
というものです。これを最初聞いた時に思ったのは、
「それはいわゆる『スクランブル交差点』ではないのか?」
ということで、自治会の担当者に聞くと、
「そうではない」
という答えが。何となく納得がいかなかったのですが、実際に設置されて利用してみると、その意味がわかりました。
「スクランブル交差点」は、歩行者が斜めに渡るケースがあるのでその歩行距離が長く、それに合わせて、「歩行者の『青』の時間が長い」のですが、この「歩車分離式信号」は、歩行者の『青』の時間はそれほど長くないので、斜めに渡っていると途中で『赤』になってしまうのです。ですからいわゆる「スクランブル交差点」のような斜めの渡り方を悠長にしていると、車に轢かれるおそれがあります。「青」になった途端に走れば、渡れないことはありませんが、危ないのでやめましょう。
この「歩車分離式信号」の良い点は、
「人が横断歩道を渡っている間は、車が来ない」
という点で、右折車や左折車の内輪差に巻き込まれて子どもが死亡するという痛ましい事故を防ぐことが出来ます。子どもは前の信号が「青」だったらパーッと渡ることがありますからね。悪い点は、「信号の待ち時間が長い」ので、歩行者と同一方向に進む車の直進の青信号の時に、歩行者信号は「赤」なのに、車と一緒に渡ってしまう大人がいることです。これをやると、右折車・左折車に轢かれるおそれもあります。車の方は、
「人は渡らないだろう」
という“頭”がありますから。
また、右や左の車の信号が「赤」になるタイミングで、次は「青」だと思って飛び出してくる車があります。実際は、次は「歩行者のみが『青』」なので、これは歩行者を轢いてしまうおそれがあります。(歩行者から言うと轢かれるおそれ。)これまでの「慣れ」というのは恐ろしいですね。
当分、気をつけて渡らないといけないなと、「歩車分離式信号」を前にして考えたのでした。
2008/7/7


◆ことばの話3309「ウナギか?うなぎか?」

中国産のウナギを、国産と偽っていた問題で、
「『ウナギ』か『うなぎ』か?はたまた『鰻』か?」
という問題が、私の周辺で急浮上しました。Sキャスターからこんなメールが6月26日に届いたのです。
『中国産ウナギを国産と偽っていたニュースの表記問題でお尋ねです。NHKは昨日(25日)から「うなぎ」と平仮名で表記しています。新聞は全紙「ウナギ」とカタカナ表記です。これまでの原則に照らし合わせれば、生物としては「ウナギ」が妥当なのかなと…。ただ、当該商品は「うなぎ蒲焼」というラベルが貼られています。「蒲焼」は認められていない表記なので、テレビでスーパーを出すとしたら「うなぎかば焼き」となって、平仮名の連続で気持ち悪くなります。やはり、カタカナが妥当でしょうか。』
これに対して私は、簡潔に、
『生き物は「ウナギ」、食べ物は「うなぎ」じゃないの?』
と返事を出しました。すると、
『新聞は「ウナギのかば焼き」としてますねー。生物のウナギを焼いたという解釈なのでしょうか。』
というメールが。おまけで、先ほど見た『ニュースリアルタイム』では、文字を使わずにイラストを使っていたので、
『リアルタイムはさっき、「鰻のイラスト」を描いてそれに「偽装」と文字を付けてたよ』
と知らせました。

たしかに読売・朝日・毎日・産経・日経の新聞各紙はすべて、
「ウナギ」
カタカナです6月26日夕刊を見てみると、
(見出し) (本文)
(読売)「ウナギ偽装強制捜査へ」 「中国産ウナギのかば焼きを国産に
偽装していた問題で「ウナギ販売業
「魚秀」」。
(日経)「ウナギ卸会社」 「中国産ウナギかば焼きの産地を
偽装していた問題で」
読売テレビ・日本テレビ系列もカタカナで、
「ウナギの蒲焼」
です。「蒲焼」の「蒲(かば)」は表外字ですが、ルビなしで使っています。NHKは、
「うなぎのかば焼き」
平仮名「かば焼き」と交ぜ書きです。

そう言えば、役所広司主演、今村昌平監督の映画は平仮名で、
『うなぎ』
でしたね。役所広司が「ウナギ」をペットとして飼っていたんですよね。
先日、たまたま大阪・天満橋で見かけた看板は、平仮名で、
「うなぎ」



でした。こちらか、もしくは漢字で、
「鰻」
が、おいしそうです。
2008/7/7


◆ことばの話3308「文庫本と単行本と新書」

最近の若者は、本をあまり読んでいないようです。
「そんなことはない、小学生は『朝の10分間読書』をしている」
という方もいらっしゃるでしょうが、中学高校に行って大学まで行くと読まないのですね、これが。大体の人は。本当は、大学生なんかはもっと読まなきゃいけないのに。
あまり本を読んだ経験がないことを端的に表す事実が。
あるとき「ミヤネ屋」の番組スタッフの若い人に、
「『蟹工船』の文庫本がまた売れてるらしいよ」
と話した時に、彼女は、
「文庫本・・・ですか・・・」
とつぶやいたのです。それを私は聞き逃しませんでした。
「もしかして、『文庫本』って知らないの?」
と聞くと、
「ちょっと・・・『文庫本』って小さいのですよね?大きいのは、なんて言いましたっけ?」
「そりゃ、『単行本』だよ!」
「名前が似てるのでわからない・・・」
さらに、本好きの人には信じられないのですが、彼女は「新書」もわかりませんでした。他の若いスタッフに聞いたところ、さすがに文庫本と単行本の区別がつかなかったのは彼女1人だけでしたが、さらに「新書」 を見せて
「これ、なんて呼ばれている形の本?」
と聞いてみたところ、
「新書がわからない人」 = 9人(ポケット本とか、単行本とか)  
「新書がわかった人」   = 1人
でした。おいおい、大丈夫かよ!現実はキビシイよなあ・・・・。
2008/7/5


◆ことばの話3307「プール熱」

下の娘(3歳)が、
「プール熱」
にかかりました。あれ?でもまだプール開きしていなかったはずなのに・・・と疑問が。娘を医者に連れて行った妻に聞くと、
「プールに入らなくても『プール熱』になる。プールに入ったあとに目が赤くなるように、この病気になると目が赤くなるので、この名がある」
とのこと。へえー、そうなのか!それと「大人はかからない」んですって。なんでや?
で、ちょっと調べてみました。
それによると、発症すると40度近い高熱が数日続き、喉の痛みや目やにが出て、腹痛や下痢を伴うケースもあると。完治までは1週間〜10日ほどかかり、大人も発症するそうです。また、
「特効薬はない」
そうです。学校伝染病にも指定されているそうで、「休まないといけない」のだそうです。
確かにこの病気にかかってプールに入ると、みんなにうつってしまいますよね。それでプールを媒介として広がるから「プール熱」なのかな?
一つわかったことは、
「プールに入らなくても、プール熱にかかることはある」
ということでした。結局娘は、一週間、保育所を休みました。
2008/7/5


◆ことばの話3306「就活生」

電車に乗っていたら、こんな広告が目に入りました。
「がんばれ、就活生。マイナビは、いつもそばにいるよ。マイナビ×大塚愛」
という車内広告ポスターです。この中の、
「就活生」
という言葉が気になりました。既に「就職活動」を略して「シューカツ」と呼ぶことは随分前から定着していますが、そのシューカツをしている人たちのことを「就活生」と言うのは知りませんでした。受験をする人を「受験生」と呼ぶのと似ていますね。「学生」だから「生」がつくのでしょうかね。
「シューカツ(就活)」については、これまでに2001年の7月9日の「平成ことば事情362・退社しました」で、
『ちなみに最近、大学生の間で使われている略語で「就活」(アクセントは関西では「シューカツ」LHLLという中高アクセント)というのがあるようですが、これは、「就職活動」の略なんだそうです。』
と書き、2003年4月24日の「平成ことば事情1147・リクナビ」でも、
「じゃあ、会社訪問の受付とか、面接の受付とかは、全部インターネットでやるの?」
「いや、全部ということもないですけど、ほとんどそうですね。パソコンのインターネットとがなかったら、就活(シューカツ=就職活動のこと)、できませんよ」
と書いています。
Google検索(7月3日)では、
「就活生」=35万8000件
「シューカツ生」=1110件
でした。「就活生」、随分使われているんですね!「就活生」って、
「就職活動に生きる」
とも読めますね。でも、そこは「ゴール」ではないですから。「スタートライン」ですから。新入社員の皆さん、そこんとこ、よろしく!!
2008/7/3
スープのさめない距離