◆ことばの話3215「フッキ復帰」

4月2日の新聞各紙のスポーツ欄に載った見出しに、ほぼ各社共通していたものがありました。それは、
「フッキ、東京V復帰へ」
というもの。Jリーグの川崎フロンターレを退団するブラジル人フォーワード(FW)の、
「フッキ選手(21)」
が、昨シーズン所属していた東京ヴェルディ復帰する見通しだ、という記事の見出しなのです。これが音だけ聞いていると、
「フッキフッキ」
と、まるで擬態語・擬音語のような形になっていて、ダジャレみたいで楽しいな、と。
全然関係なく思い出したのですが、昔「黒猫のタンゴ」のB面に入っていた曲が、
「ニッキニャッキ・ムッキムッキ」
だったなあ。フッキフッキ。
2008/4/10


◆ことばの話3214「飛砂」

家族旅行で鳥取砂丘に行ってきました。あいにくの雨でしたが、ザーザー降りではなかったので、「馬の背」まで歩いて上ってきました。
その帰り、海岸沿いの国道9号線を走っているとこんな標識が。
「飛砂 走行注意!」
「飛砂」
という言葉を初めて見ました。そんな看板も!
場所は「鹿野温泉」という温泉街の近くで、風がきつく、波の音も大きいところでした。サーファーが雨の中20人ぐらい海に出ていました。
「飛砂」をGoogle検索してみると(4月3日、日本語のページ)、
「飛砂」=6万3300件
でした。「飛砂防止ネット」「飛砂対策」という言葉も出ていました。新潟や福井など日本海側の都市で見られるようです。「新潟市西岸の飛砂現象」というPDFには、
「砂が動き始める時 ( 飛砂量 1g以下の時 ) の平均風速は 4、3m/sで、このような風は 4 ヶ月間に全時間の約 42% にあたる 1223 時間発生している」
と書かれていました。あ、そうか、
「防砂林」
は、まさにこの「飛砂」を防ぐためにあったのですね!「黄砂」よりも厄介なのでしょうね、きっと。ちなみに、
「防砂林」=1万9000件
でした。
2008/4/3


◆ことばの話3213「営巣」

3月31毎日新聞夕刊のベタ記事に、
「カラス営巣、堺で430世帯停電」
という見出しが。本文を読んでみると、
31日午前1時ごろ、堺市中区小阪を中心に約430世帯で停電が発生した。関西電力大阪南支店によると、電柱の上にカラスが営巣し、」
「電柱や変電所に巣をつくることが多いという」
というふうに書いてありました。この、
「営巣」
という言葉、初めて目にしました。そんな気がします。おそらく
「巣を作る」
ことをこう呼ぶのでしょう。同じ「えいそう」でも、
「営倉」
の方が、聞いたことがありますが。Google検索してみると(4月3日)、
「営巣」=57万5000件
も出てきました!ネットの「環境用語集」にものっているのですね。
「カワセミの営巣」「スズメバチの営巣」「コチドリの営巣」「カササギの営巣」
などさまざまなトリが巣作りを、ネット上でしていました。
『三省堂国語辞典』には、
「営巣」=「鳥などが、巣を作ること」
とシンプルに書かれていました。
2008/4/3


◆ことばの話3212「うさこちゃんの言葉」

『ゆきのひのうさこちゃん』(ディック・ブルーナー、石井桃子訳、福音館書店:1964、6、1第一刷、1999、4、1第110刷)という絵本を読んでいたら、次のような一節が。
「ほうぼうの うちのやねが まっしろよ。」
全部ひらがななので「分ち書き」でしたが、この
「ほうぼう」
は、今はあまり使わないですね。それから、
「これで したくは できました。」
「したく」も、使わないことはないけど、あまり使わない気がします。
「あら あすこに ちいさな とりが!」
「あすこ」東京弁ですね。訳者の石井桃子さんと言えば、児童文学者で、たしか、あの名作、
『ノンちゃん雲に乗る』
の作者ですよね。東京のご出身でしょうか?調べてみたら、
「1907年、埼玉県浦和市(現・さいたま市)生まれ」
とありました。埼玉でも1907年生まれぐらいの方は「あすこ」と使うのかな。黒柳徹子さんが、よく「あすこ」と使いますよね。また、
「ねまきに きかえた うさこちゃんは」
「きかえた」は、濁らずに「きかえる」。私は濁って、
「きがえる」
と言ってしまいますが。
絵本の絵より、文字の方に目が行ってしまいました。
2008/4/2

(追記)

ここまで書いて、翌4月3日の朝刊を見てビックリ!なんと4月2日午後に、石井桃子さんがお亡くなりになっているではないですか!101歳!!
「クマのプーさん」「ピーターラビット」も、石井さんの翻訳だったんだあ・・・偉大な方をなくしました・・・合掌。
それにしても去年の拙著『スープのさめない距離』で、城山三郎さんや井沢八郎さんについて書いたら、お亡くなりになったし、石井さんも・・・「デスノート」ではないでしょうが・・・・何となくそういう節目に来ているということなのでしょうかねえ・・・。
2008/4/3


◆ことばの話3211「決意を聞き入っていました」

4月2日、大阪府の橋下知事が、幹部職員430人を前に新年度の訓示を行いました。それを伝えた読売テレビのお昼の『ストレイトニュース』の原稿の最後は、
「幹部職員らは橋下知事の改革への決意を緊張した表情で聞き入っていました」
というものでした。それを聞いて、なんだか引っかかりました。引っかかったのは、
「を」
です。ここの助詞が「を」だと、
「決意聞き入っていました」
となって不自然です。本来は、
「決意聞き入っていました」
「に」になるべきところです。最近こういった「助詞の間違い」が、あちこちで多い気がします。この場合、原因の一つは、
「『聞き入って』という複合動詞」
にあると思います。これが、
「聞いていました」
ならば「を」でよいのです。ところが「入って」が付いて「聞き入って」となると、「を」ではなく「に」になる。「を」は目的語の後ろにつきますので、「決意を」となると「聞いていました」で落ち着く。ところが「たんに聞く」状態よりもさらに「真剣に深く聞く」という意味をもたせる「入る」が付くと、
「決意に」
になるんですね。複合語の頭にくっついている「聞く」に引きずられて「を」を使った可能性があります。
そして、「決意を」と「聞き入っていました」の間に、
「緊張した表情で」
が挟まっているために、助詞「を」の違和感がやわらげられたという側面もあるでしょう。これを、
「幹部職員らは緊張した表情で、橋下知事の改革への決意を聞き入っていました」
とすると、「決意を聞き入っていました」がダイレクトに出てくるので、違和感が際立つのではないでしょうか?
2008/4/2