◆ことばの話3210「馬英九の読み方」

台湾の新総統に決まった、
「馬英九」
氏の苗字ですが、ニュースを聞いていると日本テレビでもNHKでもアナウンサーが、
「ば」
と読んでいました。たしか、中国の体操かなんかのスーパー選手チームを、指導者の名前を取って
「馬軍団」
と呼んでいた時の「馬」は、
「マ(―)」
と読んでいましたが、これの使い分けは、どうなんでしょうか?
3月25日のNHK「時論公論」「国民党政権と台湾のゆくえ」という特集では、解説委員とおぼしき方が、
「ま」
と言ってました。
NHKのHさんに聞いてみたら、
『日本語として考えると、「バ」が音読み、「マ」は訓読みになります。ですから、中国人名の場合は、「日本語・音読み」が原則ですので、「バ」ということになります。
ただ、以前の「馬軍団」では原音読みの「マー」が使われることは例外としてあります。』
というお返事が返ってきました。
2008/3/31


◆ことばの話3209「『主』と書いて『す』」

小学4年の息子に聞かれました。
「お父さん『主』と書いて『す』 と読む言葉はなんかある?」
「うーん、すぐには思いつかんなあ。貫主(かんす)、法主(ほっす)ぐらいしか思いつかんなあ・・・・そうだ!こういう時はあれを使えば・・・」
と思い出したのが『逆引き広辞苑』。しかし、家にはありませんでした。会社に持って行ったままでした。あ、でも待てよ、そうだ、電子辞書の中に入っているなと取り出してきて「す」で引いてみたのですが・・・・「す」はカタカナ語ばかり。なかなかお目当ての「『主』と書いて『す』と読む」言葉は出てきません。「カ行」まで行って見つけたのは、
「浮蔵主(うきぞうす)」「主基(すき)」
の2語だけでした。
「主基(すき)って何?」
と聞かれて意味を調べて見ると、
「天皇の即位後はじめて行う大嘗祭に神事に用いる新穀、酒料を献ずるため諸国のうち二つの国郡をト定した、その第二にあたる国郡またはその斎場。第一は斎忌(ゆき)。主基殿。しゅき。」
とありました。「主基殿(すきでん)」「斎忌殿(ゆきでん)」ってそういえば聞いたことあるような感じ。しかしこれじゃあ小学生にわからないので、
「毎年『勤労感謝の日』には、天皇陛下が皇居の中にある水田で取れたコメに感謝するお祭りがあるんけど、新しい天皇になって初めてのそのお祭りの時にささげる、二番目の神殿みたいなことかな」
と噛み砕いて言ったのですが、そもそも、
「勤労感謝の日って、いつ?」
と聞かれてしまっては
「もう、ええわ。祝日ぐらい全部覚えとけ!」
と言うしかありませんでした。
あ、そう言えばたしか滋賀県に、
「中主町(ちゅうずちょう)」
という地名が合ったな、あれは「主」を「す」と読んで「ず」と濁っていると考えられないかな?でも、そのあたりで挫折。
「意外と、ないんだなあ。」
というのが結論でした。
その後、会社においてある『新潮日本語漢字字典』「主」を引いてみました。すると、「ス」という読みには、
「限」
という記号が。限定的な使用、という意味なのでしょう。そして「ス」と読む用例も「主基」しか載っていませんでした。
そもそも少ないようですね、「主」と書いて「す」と読む言葉は。
2008/3/28


◆ことばの話3208「薄膜太陽電池」

3月27日、シャープが来年(2009年)、太陽電池の工場を初めて海外に作るというニュースを、読売テレビ『ニュースゼロ』の中で流していました。その中で、作られる太陽電池のことを、
「薄膜太陽電池」
と書いて、Mアナウンサーは「薄膜」部分を、
「はくまく」
と読んでいました。そうか、これは「普通の音読み」でいいんだ!と思いました。と言うのも、最近「最薄」と書いて、
「さいうす」
と言うように、「薄」を訓読みするケースをよく目に(耳に)しているだけに、ごく普通に「ハク」と音読みされると、なんだが新鮮に感じたのでした。
2008/3/28
(追記)

4月1日の産経新聞朝刊に、
「ビル四隅にLED内臓薄膜電池」
という見出しで、シャープの「ルミウォール」という名前の、
「シースルー薄膜太陽電池」
を紹介していました。御堂筋沿いの「淀屋橋再開発ビル」に設置されたそうです。このビルの商業施設は、5月末にオープンするそうです。4月1日の新聞ですが、「エープリルフール」ではなさそうです。
2008/4/1


◆ことばの話3207「南アフリカの地名」

3月26日にバーレーンで行われた、2010年南アフリカ・ワールドカップのアジア予選で、日本はバーレーンに0対1で敗れてしまいました。日本代表は南アフリカにいけるのでしょうか・・・。
ところで、先日『2010年南アフリカW杯が危ない!』(木崎伸也、角川SSC新書)という本を読んでいたら、その中で、
「いま南アフリカでは 地名変更がブームになっている」
という記述がありました。白人が付けた地名を、黒人たちが付け替えているとのこと。
たとえばヨハネスブルク国際空港の名前が、南アフリカの元首相の名前から取った「ヤン・スマッツ空港」から、アフリカ民族会議の元議長の名前から「オリバータンボ空港」に変わっただとか、
 (旧名)           (新名) 
 「ポート・エリザベス」  →「ネルソン・マンデラ・ベイ」
 「プレトリア」       →「ツワネ」
 「ブルームフォンテーン」→「マンガウン」
という具合で、国際サッカー連盟(FIFA)は公式文書では、
「ツワネープレトリア」
のように「新旧の名前を併記して使うことを決めた」と書かれています。
日本新聞協会の『新聞用語集2007年版』の外国語地名をみると、「プレトリア」は「プレトリア」のままでした。そこで用語懇談会の幹事会などで、こういった地名変更に関する話が出たかどうか読売・朝日・毎日の用語委員の方に聞いてみたところ、
「『プレトリア→ツワネ』については、2005年に『新聞用語集』改訂の審議をしていた時に話題になったが、外務省では採用していないことなどから、最終的には、各社外報・国際部記者で組織している『地名表記部会』に委ねた結果、『当面は従来通り』ということになった。現在も、外務省のホームページや『プレトリア』のまま。共同通信の『世界年鑑』は『手続き中』とのこと。外務省がそのままにしていることなどから、名称を変えた社はないようだ」
ということでした。
もう少し、南アフリカ・ワールドカップが近づいてくると、また問題になるのではないでしょうかね。
2008/3/28


◆ことばの話3206「オフィース街」

3月27日午前1時過ぎ、東京・新橋のオフィス街にある自動販売機から火が出るボヤがありました。お昼のニュースでその第一報を聞いた報道局のWデスクが、「ん?」という表情で尋ねてきました。
「今『オフィース街』って伸ばして言ってましたけど、あれって『オフィース街』なんですか?『オフィス街』じゃないんですか?」
たまたま居合わせた私に、そう聞いてきたのです。
一応、『新聞用語集2007年版』『読売スタイルブック2005』『NHK日本語発音アクセント辞典』『広辞苑』(第5版だけど。そこに置いてあったので)を引いたけど、どれも
「オフィス」
しか載っていません。「オフィース」の記載・記述は、なし。そこでWデスクには、こう答えました。
「表記は正しくは『オフィス』のようだね。ただ言いにくいので、ちょっと伸ばして『オフィース』と言ってしまっているんじゃないのかな。ホラ、『女王』も正しくは『じょおう』だけど、言いにくいのでリズムを取って『ジョーオー』と伸ばして言っている人、いるでしょう、オレもそうやったけど。それとおんなじ感じと違うかな?
『オフィース』と伸ばして言ってる人も『文字に書いてください』って言ったら、きっと『オフィス』と短く書くと思うんだよね。」
と答えると、「なるほど」と納得してくれました。
2008/3/27