◆ことばの話3185「ひと回り違う」

3月10日(月)、北京オリンピックの女子マラソン代表に選ばれた土佐礼子選手(31)が、会見時の発言で、前日行われた名古屋国際女子マラソンで初マラソンながら優勝して北京五輪代表に選ばれた中村友梨香選手(21)について聞かれた時のコメントが、
「ひとまわり違うんですよね。」
でした。これを聞いてピンと来たのは、
「もしかして土佐選手は、『年齢がひとまわり違うというのは、10歳違いのことを指していると思っているのではないか?』
ということです。普通は「ひとまわり違う」のは、
「エト(干支)」
ですから、年齢が、
「12歳違う」
ことを「ひとまわり違う」と言います。しかし、最近の若い人には「エト」の感覚が欠けています。これはアナウンサー試験で、
「エトを全部言ってください」
と言っても、全部言える大学生が少ないことからも想像がつきます。
早速「情報ライブ・ミヤネ屋」若い男性スタッフに
「『ひと回り違う』っていうのは、何歳違いだと思う?」
と聞いたところ、
「10歳」
と答えました。横でそれを聞いていた若い女性スタッフは、
「え!12歳じゃないの・・・」
と言っていましたが。ちなみに女性は「エト」を全部言えましたが、男性スタッフは言えませんでした・・・
2008/3/14
(追記)

アナウンス部で何人か聞いてみましたが、皆、
「干支ひとまわり違いで12歳」
という答えで安心しました。
2008/3/21


◆ことばの話3184「西日本の太平洋側ってどこ?」

関東出身で、現在は西宮に住んでいる合唱団の先輩から質問を受けました。
「天気予報とかでさ、『西日本の太平洋側は晴れ』とか言ってるじゃない?あれって、瀬戸内海に面しているところは入るのかな?神戸とか岡山とかは、太平洋には面してないから、太平洋側じゃないんじゃない?」
「うーん、どうですかねえ、日本列島をタテに割って、『日本海側』と『太平洋側』に分けているんじゃないですか?それだと、瀬戸内海に面していても『太平洋側』なんじゃないのかなあ。」
「でも、瀬戸内海は太平洋じゃないでしょ。」
「それはそうですが・・・そう言われると気になりますねえ。」
「いつも『西宮は太平洋側なのかなあ・・・』って気になるんだよ。今度、お天気おじさんにでも聞いておいて!」
「わかりました」
ということで、お天気おじさんの小谷さんに聞いてみました。すると、
「神戸や岡山も『太平洋側』になります」
とのこと。ただし、
「西日本の太平洋沿岸」
と言った場合には、
「鹿児島、宮崎、愛媛南部、高知、和歌山」
といったあたりになって、瀬戸内海沿岸の地域は入らないとのこと。まあ、妥当なお答えでした。でも、改めて聞かれると、ちょっとドキッとしませんか?
2008/3/21


◆ことばの話3183「マカロン」

先日、バレンタインデーでもらったプレゼントの中に、見慣れないお菓子がありました。チョコレートではなく、サクッとした食感。クッキーでもなくて・・・小さくてかわいらしくて・・・なんと言ったらいいんでしょうね。そのお菓子の名前は、
「マカロン」
と言いました。このお菓子の名前、1月に出た『三省堂国語辞典』には載っていると、編纂にあたった早稲田大学の飯間さんに聞いたので、引いてみました。
「マカロン」(フ)=「たまごの白身(シロミ)をあわ立てて、まるい形に焼いた、あまくて歯ざわりのやわらかい菓子(カシ)。」
そうそう、そういう感じのかわいらしいお菓子。「たまごの白身をあわ立てて」ということは、
「メレンゲ」
なんですね、生地が。あんまり、おなかにたまりそうな感じはしませんが。色がカラフルでかわいらしいんですよね。
1か月後の3月、ホワイトデーのお返しのお菓子を買いに行ったら、マカロン、売っていました!今後、バレンタインやホワイトデーの定番のお菓子の仲間入りをするかもしれませんね。(もう、してるかも。辞書に載っているぐらいだから。)
Google検索では(3月21日)
「マカロン」=151万件!!
すっかり定着しているようですね。。
2008/3/21


◆ことばの話3182「大阪弁の語尾のわ」

大阪弁では、男性でも言葉の語尾に、
「ほしたらそれ、ゆうとくわ」
「一応伝えとくわ」
「それはよう言わんわ」
「もう、かなんわ」
のように、「わ」が付きます。語尾に「わ」が付くのは「女性語」の印象がありますね。(『現代用語の基礎知識2008年版』に私が書いた「〜いけない“わ”」をご参照下さい。)だからと言って、関西の男性のしゃべり方が女性的かと言うと、そういうわけでもない。この「わ」は何なのかな?と、何となく思っていたのですが、ある時、ハッとひらめきました。
関西弁の語尾の「わ」は女性語の「わ」ではなく、「わい」の省略ではないのか?
それならば男性が使うのも不思議ではないですね。
単なる思い付きですが、一応記しておきます。
2008/3/21


◆ことばの話3181「絶滅の危機に瀕する」

「ミヤネ屋」のニュース原稿の中に、
「絶滅の危機に瀕(ひん)する」
という言葉が出てきました。よく耳にする言葉ですよね。でも急に「あれ?」と疑問が・・・。
「『瀕する』の『瀕』の意味は何だろうか?」
ということなんです。
「瀕死の重傷」
といった言葉でも耳にしますが、どうなんだろうか?「ひんすれば鈍する」「ひん」「貧」だから違うな。でも何となく共通するようなイメージが・・・。
『三省堂国語辞典』を引いてみると、
「瀕する」=近づく。のぞむ。
と簡単に。え!そうなのか。近づくことを言うのか!“死”に近づいていること「瀕死」と言うのか!『精選版日本国語大辞典』(電子辞書)を引くと、
「ひんする【瀕・浜】」=ある差し迫った事態に、今にもなろうとする。また、すぐ近くにのぞむ。
とありました。さすがにこちらの方が大きな辞書なので詳しくて、「なるほど、そういう意味の『近づく』」か」と、よくわかりますね。特に「瀕」と並んで「浜」という漢字も書かれていたので、
「なるほど『浜』というのは、『汀(みぎわ=水際)というか、水と陸の間に差し迫っている部分だから、そういう意味合いもあるのかな』
というふうに感じました。今後「瀕する」が出てきたら、ちょっとそんなことも思い浮かべてみようかと思います。
2008/3/21
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