◆ことばの話3155「正義官・熱血官・使命官」

先日、地下鉄・谷町線の堺筋本町で見かけた「大阪府警の警察官募集のポスター」に目が留まりました。そこには、
「求ム!!正義 熱血 使命
と記されていました。「官」の字は赤く書かれていましたが、もちろん正しい漢字では、
「正義 熱血 使命
ですよね。でも、そういったものを持った「官」が、
「警察官」
なのだ、という意味でのコピーなのですね。最後には、
『しかし諸君!「官」となると責任は、重い』
と、募集をしておきながら、
「生半可な気持ちで応募してもらっては困るよ!」
と警告を与えているあたり、これはなかなか良く出来ているポスターだなと思いました。

2008/3/11
                            



◆ことばの話3154「処女評論集」

3月8日放送の『声〜あなたと読売テレビ』にVTR出演してもらった評論家の宮崎哲弥氏の紹介を書いた原稿に、
「宮崎哲弥さんは福岡県久留米市出身。1996年、処女評論集『正義の見方』を出版。その後テレビ・ラジオなどでも幅広く活躍しています」
と書かれていました。この、
「処女評論集」
が引っかかりました。いわゆる
「処女出版」
ですね。「初めての〜」を表す時の冠の「処女」ですね。ほかに「処女」を使ったよく知られた言葉では、
「処女航海」
があります。ふた昔前までは、よくこの言葉もニュースに出てきましたが、今の時代はいかがなものか。「処女評論集」と言うと、
「処女についての評論を集めたもの」
と思われるかもしれません。そこで、原稿を、
「1996年、評論集『正義の見方』で論壇デビュー」
に変えて収録しました。読売テレビや系列の日本テレビの用語集には、これに関しては記述はないようです。他局では、毎日放送が「女性に関することば」として、
「バージン、処女の使用は好ましくない」
としているようです。(「童貞」は、どうなんでしょうね?俗語っぽくて、品がないですね)
読売新聞のSさんに、
「初めての出来事に『処女○○』って使いますか?」
とたずねたところ、
「使わないのは常識でしょう。用語ガイドに書くまでもナイト思いますが、『共同通信社記者ハンドブック』には、記述がありますよ」
と教えてくださいました。見てみると、たしかにありました。
『「処女航海、処女作品、処女小説、処女峰」(中略)など女性をことさら強調したり特別扱いする表現は使わない。』(494ページ)
なるほど。そうですか。
2008/3/11
(追記)

2010年9月29日の夕刊紙「大阪スポーツ」で、小説家を目指して所属事務所を辞めたという俳優の「水嶋ヒロ」さんが、すでに「最初の小説」をほぼ書き上げているという記事が載っていました。その「最初の小説」のことを記事では、
「処女小説」
と書いていました。これを「ミヤネ屋」で紹介するにあたって、「処女小説」は避けて、
「デビュー小説」
という表現にしました。
2010/10/11


◆ことばの話3153「6包の読み方」

先日、『情報ライブ・ミヤネ屋』と『ニューススクランブル』のナレーターの皆さんと用語勉強会をした時に出た質問に、
「サプリメントのコマーシャルなどで『6包』という助数詞と数詞の組み合わせが出てくるのだが、これはどう読めばいいのか?『ロッポー』か?『ロクホウ』か?」
というのがありました。
その場では、
「ロッポーと促音にするとぞんざいな感じがするので、ニュース系統で読むなら、『ロクホウ』ですかねえ」
と答えたのですが、あまり自信はありません。そこで新聞用語懇談会のメンバーにメールで聞いたところ、続々と返事が返ってきました。
「その場にいたみんなが(1)ロッポーでした。私も同様です。」(テレビ東京)
「『6包』は、読めませんねえ。放送で使うとしたら、『6回分』などに言い換えられないか模索してみるように思います。もし、作品朗読などでどうしても原文どおり読まなければならないとしたら、『ロクホウ』でしょうか。『1包』『3包』『8包』などをどう読むべきか、ということとも関係してきますね。ハ行の助数詞は、いろいろと問題ありますね。
『10平方メートル』『10平米』なども、『じゅう〜』と読むべきなのでしょうが、個人的には『じゅっ〜』と言っているような気がします。特に『50平方メートル』『50平米』などとなってくると、その傾向が強まるように思います。」(NHK)
「助数詞『包(ほう)』は、もうあまり使わないような気がします。粉薬の包みだったら、『ひと・つつみ』『ふた・つつみ』。6つあったら『6つの包み』『包み6つ』と言ってしまうかも。まだ『服』の方が使うかな、いや、それももはや・・・という感じがしています。」(フジテレビ)
「『6包』は、これまで遭遇したケース『ゼロ』という部員ばかりでしたが、前後の文脈でわかる前提で多かったのは『ロッポー』でしょうか?ただ丁寧に聞こえるのは『ロクホー』です。個人的には、音で聞いてわかる『ロクツツミ』で伝えたいとも思うのですが・・・。優先すべき順位は決めていませんが、現状まで。」(テレビ大阪)
というような具合でした。
なかなか一筋縄では行きそうもないですね、「6包」は。「8方ふさがり」。それは「八方(はっぽう)塞り」ですね、「はちほう」ではなく。
「平成ことば事情3127『6袋の読み方』」も読みください。
2008/3/4
(追記)
2010年12月29日の午前中、テレビで「青汁三昧」のCMをやっていました。その際に、
60包(ろくじゅっぽう)」
という言い方をしていました。「3箱」は「さんぱこ」と半濁音で言っていました。3億8000万杯も売れたそうです。「包」「箱」「杯」、3つの助数詞(数え方)が出てきました。
2011/1/10


◆ことばの話3152「枯氏」

先日、元アナウンサーで現在『ウェークアップ!ぷらす』のプロデューサーのY君が、新しい言葉を教えてくれました。その言葉とは、
「枯氏(かれし)」
です。「彼氏」の誤変換ではありません。「枯死(こし)」でもありません。
Y君によると「枯氏」とは、
「年配の男性の恋人を指す、若い女性の使う言葉」
なんだそうです。へえーへえーへえー(古いか!?)。
ネットで「枯氏の定義」見てみると、
●50才〜
●実年齢を自覚して若ぶらない
●お金や女を追いすぎない
とありました。ふーん。アクセントは「平板アクセント」だそうです。
きっと「枯氏」はそのうち「枯死」するのではないでしょうか・・・。ヘンな言葉!
Google検索では(3月7日)、
「枯氏」=3490件
で、
「おトシの愛しの君を『枯死』と呼ぶ」
「シーラカンス日記」というブログに書かれていました。正しくは「枯れ氏」とも。
「枯れ氏」=1500件
でした。
2008/3/7


◆ことばの話3151「冷凍カツオ、軟化」

3月7日の日本経済新聞の「商品」欄にこんな見出しが。
「冷凍カツオ、軟化」
読み飛ばしそうな記事ですが、私はこの、「軟化」に目が留まりました。「冷凍カツオ」が軟化?「解凍」して軟らかくなったのでしょうか?じゃないよな。記事を読むと、
「昨年後半から高値が続いていた冷凍カツオ相場が軟化してきた。冷凍カツオはかつお節や缶詰の原料。年明け以降、東部太平洋で漁獲が増加したことをきっかけに国際相場が下落し(以下略)」
と書かれています。とすると、
「相場が下落」=「軟化」
ということのようですね。『精選版日本国語大辞典』(電子手帳)を引くと、「3つめの意味」で載っていました。
「(3)取引市場で、相場が安くなること。また、買いから売りに転じること⇔硬化」
用例として1917年の『取引所用語字彙』と、石坂洋二郎の『海を見に行く』(1925)から、
「後場(ごば)軟化でガラ落ちってえんだから」
と載っていました。一見、普通の言葉のように見えて、ここでの使い方は「専門用語」ですね。勉強になりました。
2008/3/7