スープのさめない距離


◆ことばの話3150「ベシャメルソース」

3月7日の『情報ライブ・ミヤネ屋』で、番組の最後にご紹介する「今日のおとも」という、まあ、「虫養い」のような「おやつ」のコーナーがあるのですが、そこで、「海鮮グラタン」を紹介しました。その説明文の中に、
「リアス式海岸・三陸漁場で、大自然で育ったウニ・ホタテ・ワカメを、滑らかなベシャメルソースで包みました。」
とありました。この
「ベシャメルソース」
って何?と思って調べるとどうやら、
「ホワイトソース」
のようですね。『精選版日本国語大辞典』を引くと、
「ベシャメルソース」=(bechamelsauce「ベシャメル」は考案者のルイ十四世の料理人の名)肉のだし汁などを加えた濃厚なホワイトソース。
とありました。ああ、グラタンで使うんだ。考案者の名前とは、しかもルイ14世の時に考案されたのですね。それが三陸に。すごいなあ、料理の世界も。
今年1月に出た『三省堂国語辞典・第6版』にも、空見出しですが「ベシャメルソース」が載っていて、
「⇒ホワイトソース」
となっていました。一つ勉強になりました。
2008/3/7
(追記)

古田新太さんの『柳に風』(新潮文庫)というエッセイ集で「ベシャメル」が出てきました。
「おいらはスパゲティ・グラタン大好きおじさんだ。ホワイトソースを発明した人がまだ生きていたら、表彰してあげたいくらいのベシャメル好きだ。」
好きな人は好きですね。私も嫌いじゃありません。でも、カロリー高そう。
2009/4/21


◆ことばの話3149「ケージとゲージ」

3月6日の『情報ライブ・ミヤネ屋』の「アニマル」コーナーで、
「ペットのカゴ」
のことを、
「ゲージ」
と清水アナウンサーが言っていましたが、これは正しくは、
「ケージ」
です。「ケ」は濁りません。英語で書くと
「cage」
意味は「(鳥)かご」です。濁った「ゲージ」は英語で書くと、
「gauge」
で、意味は「標準寸法、定規、計器」です。
なお、野球の打撃(バッティング)練習で使う、緑の網で覆われたものも、
○「バッティング・ケージ」
×「バッティング・ゲージ」
です。アナウンサーにもスタッフにも、注意するようメールを送りました。
2008/3/6
(追記)

「平成ことば事情2770」でも、同じ「ケージとゲージ」というタイトルで書いていることに気づきました。何回書いても、同じ間違いをしてしまっているんだなあ・・・。
2008/8/29


◆ことばの話3148「マニキュア?ペディキュア?」

3月6日の『情報ライブ・ミヤネ屋』で、ロシアでペット(犬)のマニキュアまで登場したというニュースを伝えていました。それを聞いて、ふと疑問に思ったのは、

「犬の場合、『手』ではなく『前足』『後足』なので、『マニキュア』ではなく『ペディキュア』ではないのか?」

ということです・・・。どうなんだろ?
たまたま『ズームイン!!SUPER』の東京での生放送が終わって大阪に戻ってきて、『そこまで言って委員会』の収録の準備をしていた辛坊治郎解説委員に聞いてみたところ、< br/>
「うーん、たしかにそうだけど、犬を飼っている人は、『足』とは思ってないよな。だって、『お手!』って言うからなあ」

あ、そうか、じゃあ「お手!」と言って差し出すのは「手」なので「マニキュア」、差し出さないのは「足」なので「ペディキュア」かな!?「犬」次第ということですね???
2008/3/7


◆ことばの話3147「シートベルトをつけるのが難しい体型の人」

6月1日に施行される改正道路交通法では、自動車の後ろのシートに座る人もシートベルトの着用が義務付けられるとのことです。
3月6日の「情報ライブミヤネ屋」のニュースでお伝えしました。その原稿の中に、
「妊婦や、シートベルトをつけるのが難しい体型の人は除外されます」
という一文があり、「うん?」と思いました。この、
「シートベルトをつけるのが難しい体型の人」
という表現ですが、平たく言ってしまうと、大体は、
「極端に太った人」
ということですよね、大体は。それを当たり障りのない、漏れのない表現で言うと、こういうふうになると。いわゆる、
「PC(ポリティカルコレクト=政治的に正しい言い回し)
の一種かもしれません。もちろん、極端に太った人以外にも、シートベルトをつけるのが困難な体型の人はいるとは思いますが。言葉の表現って難しいですねえ・・・。
2008/3/6


◆ことばの話3146「男前」

芥川賞作家、絲山秋子『豚キムチにジンクスはあるのか〜絲的炊事記』を読んでいたら、おいしいコロッケ屋さんのお兄ちゃんに、隠し味について聞くと、なんとあっさり教えてくれたので、「それ書いてもいいですか」と絲山さんが聞くと、「いいですよ」と、これもあっさり許してくれたと。それを受けて絲山さんは、
「おお、余裕の発言。お兄ちゃん男前。」
と書いています。
この「男前」は、外見・見た目ではなく、「内面」を指しているようですね。
そう言えば最近、若者が使っている「男前」は、
「女性に対しても使います」
よね。いわゆる「イケメン」「美形」の意味で、以前は「男前」が使われていましたが、最近の「男前」は、
「外見ではなく、性格に対して使われている」
気がします。
1月に出た『三省堂国語辞典』に、新しい意味が載っているかと思いましたが、採用されなかったみたいです。そこで編集にあたった早稲田大学の飯間浩明さんにメールで聞いたところ、以下のようなメールが返ってきました。
『「男前」は、〈かっこよくて“男前”なNANA〉(「週刊文春」2002.07.18p.134)というふうに出てきますね。外見というより「気っ風がいい」に近い意味ではないかと思います。ただ、『三省堂国語辞典』第6版では「様子見」ということで入れませんでした。
大阪では昔から、「男の顔」以外にも使ったのではないでしょうか。ご存じありませんか? ちょうど「かっこいい」が、必ずしも「格好」だけでなく雰囲気などもほめるように、「男前」にもそういう用法があったのではないでしょうか。手塚治虫『どついたれ』〔戦後の大阪が舞台、1979- 1980発表〕(集英社 1990.11.25初版 p.104)には、主人公の「ヒロやん」が動物のイタチを捕獲しようとして使っている所があります。
 〔ヒロやん〕(野原でイタチを見つけて叫ぶ)イッタチ オットコ マエ!!
 〔イタチ〕(キョトン)
 〔トモやん〕なんや その けったいな かけ声は
 〔ヒロやん〕イタチを ほめたると 止まり よるのや
これは「カッコイイ」に近い用法ではないかと思います。』
あ、手塚治虫の『どついたれ』のマンガ本、たしか持っています。確認しておこう。そういうシーンがあったような気がします。しかしすごいなあ、飯間さんは。そんな例まですぐに出てくるなんて!さすが!いよ!オットコマエ!ありがとうございました。
あ、そうだ『現代用語の基礎知識』には、この意味での「男前」載っているかな??と、2008 年版で「男前」を引きましたが、載っていませんでした。牧村史陽の『大阪ことば事典』にも 「男前」は載っていませんでした。
私の印象では、この言葉を使い始めた・・・というか広めたのは、ダウンダウンの松本人志さんではないかという印象があります。
「男前豆腐」
というのも最近(ここ2年ぐらいか)ありますね。時々食べています。「風に吹かれてなんたらジョニー」とかいうやつです。味は濃くて、なるほど「男前」です。
それにしても、女性に「男前」を使うのは違和感があるなあ。
2008/3/6
スープのさめない距離