◆ことばの話3085「家読(うちどく)」

2007年4月13日の読売新聞に、
「『家読』家族に読書週間」「『うちどく』はまってます」
という見出しが。
「家」
と書いて「うち」と読ませるわけですね。「いえ」だと、英語で言うと「ハウス」、つまり建物そのもの・ハードを指すように思いますが、「うち」と読むと家庭、英語で言うと「ホーム」のような感じがします。その両方を「家」という漢字は含んでいるのですね。
しかし実は「うち」という読み方は、常用漢字表の中にはありません。つまり、
「表外訓」
というものです。だから「家」と書いて「うち」と読ませるには、横にルビを振る必要があります。『新聞用語集2007年版』には、
「ひらがなで『うち』と書くように」
と記されています。以前、夏目漱石の『こころ』の文庫本では、「家」と書かれた漢字の横に「いえ」とルビを振っているか、「うち」とルビを振っているかを調べた事がありました。両方あったのですが、驚いたことにその数は、
「ほぼ半々」
だったのです。詳しくは、「平成ことば事情402」をお読み下さい。今、読んでみたのですが、結構これ、おもしろいですよ。徳川宗賢『日本の方言地図』(中公新書、20〜24ページ)には、
「関西では『イエ』という人が多く、関東では『ウチ』を使う人が多い」
ということが書かれていると指摘していますよ。
「家」という漢字に「うち」とルビが振ってあるのを見ると、その時のことを思い出します。「家読(うちどく)」も、もし「家読(いえどく)」ならばルビは要らないのかな。でもなんだかイメージが変わってきますね。
2007/12/17
(追記)

毎日新聞にも「家読(うちどく)」の記事が出てきました。2009年11月23日の朝刊に、
「『家読』で家族のふれあい」
という見出し。内容は、
「家族で読書の楽しみを共有する『家読(うちどく)』運動が静かに広まっている」
とありますが「静かにひろまっている」とか「静かなブーム」というのは、
「実は広まっていないが、主催者側が広げたいと考えている場合」
によく使われます。この「運動」の中心は誰なのか?と記事を見ると、
「『家読』を推奨するトーハンの加藤真由美広報室長」
という人に、木村葉子記者がインタビューしていました。それによると「家読」のその基礎にあるのは、去年20周年を迎え学校で広く取り入れられている「朝読」だそうです。その「朝読」で身に付いた読書の習慣を継続させ、親子間の会話やかかわりが豊かになるようにと、2006年から「家読」を推奨しているのだそうです。そういう意味では良い「運動」だと思いますね。
2009/11/23


◆ことばの話3084「立てこもりとろう城」

2007年8月2日の夕方から3日の午前3時過ぎにかけて、愛知県刈谷市で38歳の男が、交際していた50歳の女性を人質にして立てこもり事件を起こしました。
結局人質も無事で、男は逮捕されましたが、このニュースを伝えた各紙夕刊(8月3日)の記事の見出しは2種類に分かれました。
(読売)女性人質 包丁男ろう城 愛知で逮捕
(朝日)立てこもり男逮捕 愛知・刈谷 監禁容疑 警察官未明に突入
(毎日)交際女性に包丁 自宅ろう城容疑
(産経)立てこもり男逮捕 愛知 人質の交際女性保護
(日経)女性人質 男立てこもり 愛知・刈谷 約10時間 捜査員突入逮捕
というふうに、読売・毎日は「ろう城」、朝日・産経・日経は「立てこもり」と分かれていますね。

と、ここまで書いてほったらかしでした。すみません。
本来、漢字で書く熟語は、もちろん、
「籠城」
なのですが、この「籠」の字が「表外字」(常用漢字表に載っていない漢字)なので、新聞では原則、
(1) その部分だけをひらがなで書く
(2) 同じ意味の違う表現にする
(3) 漢字で書いて振り仮名(ルビ)を振る
わけです。この場合、(3)の漢字で書いてルビを振ったところはなく、(1)の「まぜ書き」にしたのが「読売・毎日」で、(2)で「立てこもり」と言い換えたのが「朝日・産経・日経」と分かれたわけです。
あまりこのような事件は起らないで欲しいのですが、今後も書き方に注目します。
2007/12/17


◆ことばの話3083「先週ぶり」

10月25日、『スッキリ!!』に出てきた「くまきりあさ美」というタレントさんが、地元に帰ってのロケに、
「いつぶりだろ」
と言っていたのですが、その「いつぶり」が気になりました。というのも、ちょうどその日に、後輩のKアナウンサーが、
「先週ぶり」
という言葉を使ったのを聞いたからです。これもなんだかヘンな日本語です。
いったいどこが「ヘン」なのか?考えて分析してみました。
結論!
「ぶり」の前には「期間」が入る。具体的なピンポイントの「日時」は入らない。だから「先週」とか「いつ」などが入るとおかしく感じる。
「ひさしぶり」も「長い間(=久しく)」という「期間」が「ぶり」の前についている。ポイントの「日時」が来た場合には、
「以来」
が付いて、
「先週以来」「いつ以来」
という表現になる。
ということなのです。Kアナウンサーに説明したら、
「なるほど」
とは言っていたものの、
「『先週ぶり』・・・は、いつも私使っちゃってますね・・・」
と言っていたので、今後は使わないかどうかか、要チェックです!
2007/12/17


◆ことばの話3082「女子高生の会話」

ショッピング・モールの中にあるフード・コーナーでコーヒーを飲んでいたら、一つおいて隣の席に座っていた女子高生と思しき二人の会話が、聞くとはなしに耳に入ってきました。いわく、
「もう高二やで、めっちゃ早ない!?」
「早い!年取りたなーい」
おいおい、16か17でそんなこと言われたら、四十路なかばのおじさんの立場はどうなる!?よく中学生が、
「昔はよかったなあ」
などと言うのも耳にしますし、古くはバルセロナ・オリンピック水泳の金メダリスト岩崎恭子ちゃん(当時中学2年生・14歳)の、
「今まで生きてきた中で一番しあわせ」
という言葉などもありますが、その年代年代で精一杯生きてきて、その年代での「人生」を背負っているのだな、というふうにも感じました。
みんな、ガンバレ!おじさんは応援しているゾ!
また、女子高生用語らしいものも「採取」しました。それは、
「りくぶ(LHL)」
という「3拍中高」の言葉。おそらくこれは、
「陸上部」
のことかと思われます。昔の中国の
「三省六部(りくぶ)」
のことでは「ない」と思われます。そのほか、意外に思ったのは、
「それはごもっとも」
というような「あいづち」を打っていたこと。おっさん臭いやんか、「それはごもっとも」なんて。街中では、今使われているこんな言葉も耳にすることができます。
2007/12/17


◆ことばの話3081「後発医薬品」

10月半ばのある日、NHKのお昼のニュースで、こんな言葉を耳にしました。
「後発医薬品」
ん?これってもしかしたら、いわゆる、
「ジェネリック医薬品」
のことかな?その言い換えとしてNHKでは「後発医薬品」と言っているのかな?
NHKのHさんに聞いてみたら、
「今のところ、現場の判断で『ジェネリック』は使っていません。」
と、やはり「ジェネリック」ではなく「後発医薬品」を使っていたのですね。気付かなかったなあ。「後発医薬品」という言い方を使う理由としては、
(1)「後発医薬品」は厚生労働省も使っている正式用語であること。
(2)「ジェネリック」を、名古屋に本社がある大洋薬品が、「試験・検査・研究」の名目で商標登録していること
などが考えられるとしています。ただその一方で、Hさんの考えとしては、
「『ジェネリック』の学会などもあり、この言葉が定着すれば、使用することも可能。なお『ジェネリック』には、本来『商標登録されていない〜』という意味もあり、何とも皮肉な結果になっている」
とのことでした。10月22日の日経新聞朝刊には、
「後発医薬品メーカーの業界団体である『医薬工業協議会』が2008年4月に『日本ジェネリック制約協会』に名称変更する」
という記事が出ていました。この半年ぐらいで変わってくるかもしれませんね。
10月22日のGOOGLE検索では、
「ジェネリック医薬品」= 18万8000件
「ジェネリック」=56万3000件
「後発医薬品」=9万2200件
でした。
・・・と、ここまで書いてほおっておいたら、2か月近く経ってしまいました。結構この2か月、私は忙しかったんですね・・・。
2007/12/17
スープのさめない距離