◆ことばの話3080「若いね」

アナウンス部のアルバイトのFさんは23歳V6の岡田君が好きで、岡田君のポスターが張ってある店によく行くと、嬉しそうに話していました。それを聞いて、
「若いね」
と言ったところ、
「道浦さん、本当に若い人に『若いね』とは言わないものなんですよ!」
と叱られてしまいました。なるほど、それは失礼しました。
年、いってる人に「若いね」と言うのも、その前に
「年の割りには」
が省略されていることと考えると、失礼に当たるかもしれませんね。そうなると、「若いね」なんて気軽に声をかけられなくなりますね。・・・ちょっと待てよ、Fさん、「23歳」って、オレの半分やんか!そ、それは・・・若いね。
2007/12/17


◆ことばの話3079「新発売」

11月のある日、あるシンポジウムの「コーディネーター」(司会とパネリストを混ぜたような感じの仕事)を担当しました。その時のパネリストの一人で、在日32年の同志社女子大学・カーペンター教授(女性)に、日本語で戸惑ったと言うか、「ヘンだ!」と思ったものはありませんか?と聞いてみたところ、すぐに答えてくれたのが、
「新発売」
という言葉でした。「発売」に「新」を付ける、あの感覚がわからない、と。同席していた 『KANSAIタイムアウト』編集長で在日20年のスティーブンズさんも、これにうなずいていました。そう言われても、生まれてからこのかた在日46年の私には、
「『新発売』のどこがおかしいの?」
とピンと来なかったのですが、話をもう少し聞いてみると、どうやら彼ら彼女らにとって、
「新発売=新しく発売されたということが、その商品のメリットであるかのように前面に押し出すという感覚がわからない」
ということのようなのです。欧米人(と、まとめてしまいますが)は、
「新しく発売されたものはまだ評価が固まってなくて、信用に足るものではなく、新発売ということは、まだ買う必要はない。安定してから買えば良い」
ということなのですね。だから「新発売」と宣伝されるとすぐに飛びつく日本人の行動と、それにあわせた宣伝がわからないと言うのです。
なーるーほーどー。
なんだか京都の人のような・・・いや、京都人は新しいものも好きだから、やはり日本人的な感覚とは違うような感じ。とても保守的ですね、ある意味で。
思うに、
「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」
の句に表されるように、日本人は一般的に「初物」を珍重するという傾向は、昔からあるようです。進取の精神なんだろうか?それはわからないけど。しかし今回、これだけはわかりました、
「『新発売』の、どこがいいのかわからない」
と言う人には、
「欧米か!」
と言える・・・ということもないか。
2007/12/17


◆ことばの話3078「メスを使わない美容整形」

JR三宮駅のホームから、電車を待っている間に何気なくあたりの景色を眺めていた時に目に飛び込んできた看板に、こんなセリフが。
「メスを使わない美容整形」
え!?「メス」?を使わない?じゃあ「オス」を使うのか!?・・・
「オス・メス」の「メス」ではなく、
「手術用ナイフのメス」
だとわかるのに、数秒かかりました。人間の女性は「メス」じゃないですもんね。
それにしても、何となくそう感じてしまったのは、なぜなんだろうか・・・?
2007/11/26


◆ことばの話3077「『続ALWAYS三丁目の夕日』で」

昭和30年代ブームを作ったとも言える映画『ALWAYS三丁目の夕日』、その続編『続 ALWAYS三丁目の夕日』も絶賛上映中のようです。私も見ました!前回は、東京タワーができた「昭和33年」が舞台でしたが、今回はその1年後の「昭和34年」。とにかくCGがすごいですね。どこをCGで作ったかわからないところが、すごい。監督の山崎 貴さんには、2年前、前作の試写会の時に舞台挨拶でお話を伺いましたが、とっても気さくな方でした。
それはさておき、その映画の中の薬師丸ひろ子さんのセリフで、洗濯機に関して、
「ローラーでしぼるの。」
というセリフの「ローラー」を「平板アクセント」で、
「ローラー(LHHH)」
と言っていましたが、これはやはり昭和30年代なら、
「ローラー(HLLL)」
と「頭高アクセント」で言って欲しかったな。
そのほか、昭和30年代を象徴するようなセリフ・言葉としては、
「メートルあがって」
というのがありました。これに関しては「平成ことば事情2131」にも書いています。それを読むと、おお、 「メートル法」の導入は、まさしく「昭和34年」、この映画の舞台の年ですね。だから「メートルが上がる」と言わせたのかな?この言葉自体はもっと前からあったのでしょうが。
そのほかにも時代を表すいろいろなものが出てきました。
「パンナム、日航DCー6=エンジン四発、羽田空港、トランジスター・グラマー、ナショナルボーイの人形、『美智子妃殿下ご懐妊おめでとう』の張り紙、日活スコープ、裕次郎まつり、いかす、嵐を呼ぶ男、伊勢湾台風から今日で三週間、トリスバー、コンビーフ45円」
うーん、こう並べるだけでもうタイムスリップした気持ち。
また、道路かどこかに書かれていた文字で、
「危い除行」
というのがあったけど、これはわざと
「除行」
「除」を使って書いたのかな?正しくはもちろん「徐」を使った、
「徐行」
ですけどね。映画を見ていろいろと確認してくださいな。
2007/12/17


◆ことばの話3076「完売しております」

12月最初の週末、梅田のA書店に立ち寄りました。拙著、
『スープのさめない距離〜辞書に載らない言い回し56』(小学館)
を置いているかなあと、偵察がてら寄ったところ・・・置いてありませんでした。残念!初版6000部だと、全国の書店にまで行き渡らないようです。同じ梅田のK書店には、10冊ぐらい置いてあったのになあ・・・。
その一方でこのA書店、置いていないけれども、とっても売れている本がありました。ご存知、『ホームレス中学生』・・・ではなく(それはたくさん積まれていました)、
『ミシュラン東京2008年版』
でした。とっても売れていて、しかもここには置かれていないことがなぜわかったか?と言うと、その店には、
「ミシュラン東京2008 完売しております」
と書かれた紙が張ってあったのです。しかしそれを見た私は、一瞬、
「あ、売っているんだ、話題のミシュランのガイドブック」
と思ったのです。なぜか?
「販売しております」
だと思ったからです。おかしくないですか?「完売しております」という言い方。
普通は、
「売り切れです」
ではないのでしょうか?もしくはシンプルに、
「完売!」
ですね。妙に丁寧にするつもりで「しております」という言葉を「完売」に付けると、なんともおかしな語感の言葉が出来上がりですね。
2007/12/17
スープのさめない距離