◆ことばの話3075「かごダッシュ」

2007年10月6日、大阪府寝屋川市で、二人組の万引きを1人で追いかけたコンビニ店員・上内健司さん(27)が刺し殺された事件で、犯人たちの「万引き」の仕方を表した、
「かごダッシュ」
という言葉が注目されました。これは、コンビニなどで商品を「商品かご」に入れたまま、店からダッシュで逃げる窃盗のことで、「こそこそ隠れて盗む」イメージの「万引き」とは別物です。「強奪」に近いものですが、そこにスポーツ的なスリルを楽しむ、倒錯した(?)感覚のある若者がいることも否めません。
スクラップを整理していたら、4年前の2003年11月19日の読売新聞に、
「合言葉は『かごダッシュ』」
と出てきました。
「コンビニエンスストアの商品を買い物かごごと万引き」
することで、この記事では大阪府池田市の男子高校1年生ら5人が逮捕・書類送検されたと出ていました。結構昔から使われていた言葉(行為)だったのですね。
寝屋川の事件の容疑者は逮捕されましたが、今後はこんな言葉が出てくる事件をお伝えしないで済むようにして欲しいです。
2007/12/17


◆ことばの話3074「新年あけましておめでとう」

そろそろ年賀状の準備をする時期になりました。この時期になると、以前に聞いたこんな話が思い出されます。
「『新年あけましておめでとう』は間違い」
え?どうして?理由は、
「新年があけるのではなく、旧年があけたのが新年だから」
という「理屈」だったのですが、本当にそうかな?たしかに「理屈」から言えばそうかもしれませんが、もっと「理屈」をこじつけると、
「新年(です。)、(旧年が)あけましておめでとう」
の略された形と考えれば、一概に「間違い」とは言えないのではないでしょうか?
きっとこの言葉は、
「『新年おめでとう』と『あけましておめでとう』が重なってできたのではないか」
と考えられます。
年賀状を書きながらそんなことを考えていたら、宛て名を書き間違いました。
2007/12/17

(追記)

2007年12月24日の毎日新聞のコラム「読めば読むほど」で、校閲グループの軽部能彦記者「新年明けまして・・・」と題したコラムを書いていました。それによると、
「小学生のころ『新年明けましておめでとう』と書くと『新年』『明けまして』のどちらかが余計だと、父に言われた」
と書いてありました。同じようなことを皆、言われていたんですね。でもこのネタ、私の方が先に書きましたからね!

2007/12/29

(追記2)

新年、あけましておめでとうございます(笑)。
さて、2008年新春、早速見つけました。朝日新聞1月4日夕刊の三谷幸喜さんのコラム「三谷幸喜のありふれた生活365」の書き出しが、
「新年、明けましておめでとうございます。」
でした。これ、「新年」のあとに「、」があるのとないので、随分イメージは変わると思います。また、以前書いた(平成ことば事情1547「A HAPPY NEW YEAR」)
「A HAPPY NEW YEAR」
「A」はいらないという話ですが、あれも「正しい英語」としてはそうなのかもしれないけど、よく考えるとその文の前に、
「I WISH YOU」
を付ければ、
「A HAPPY NEW YEAR」
と続くので、この「I WISH YOU」を省略した形と考えれば、「A」が付いていてもあながち間違いとは言えないのじゃないかなと、今年のお正月に年賀状を眺めながら思いました。
2008/1/8


◆ことばの話3073「数発のアクセント」

先日ニュースを見ていたら、NHKの登坂アナウンサー「数発」「平板アクセント」で、
「スーハツ(LHHH)」
と読んでいました。それはなんら不思議ではないのですが、同じニュースでNHKの「記者」「頭高アクセント」で、
「スーハツ(HLLL)」
と読んでいました。
今、新聞用語懇談会放送分科会で話し合っている、
「主要45助数詞と数詞のアクセント表」
「数発」は、
「平板アクセントを基本」
としながらも、
「頭高アクセントも許容」
としています。これによって、今後ますます「頭高アクセント」の「数発(HLLL)」が増えるものと思われます。その数は「数発」では済まないことでしょう。今後も注目です。

2007/12/11


◆ことばの話3072「タレントで弁護士?」

12月5日、朝日新聞と毎日新聞の朝刊に、来年1月に行われる大阪府知事選挙に、弁護士でタレント活動も行っている橋下(はしもと)徹氏の擁立を、自民党が考えているという記事が出ました。これに関して元・用語委員の報道H氏が、
「こういうの、道浦さん、好きでしょ」
と言って、毎日新聞の記事を見せてくれました。
そこには、橋下氏の肩書き紹介が、
(毎日・朝刊)「タレントで弁護士の橋下徹氏」
となっていました。
「つまり、『タレント』と『弁護士』のどちらが『本業』で、どちらを先に書くのか?」
という問題です。ポイントは2つ。

  1. 橋下氏の本業はどちらか?
  2. 本業とサイドビジネス(?)のどちらを先に書くのか

ということです。
さっそく各紙朝刊と夕刊を見比べました。それによると
(読売・夕刊)「タレントで弁護士の橋下徹氏」
(朝日)「大阪弁護士会所属の橋下徹氏」
(産経)「弁護士でタレント活動も行っている橋下徹氏」
(日経)「タレントとしても活躍する弁護士の橋下徹氏」
という具合。明らかに産経と日経の表現がわかりやすいですが、なぜこんな問題がでてくるんでしょうか?
うーーーーん、と考えたら「チーン」とひらめきました。「の」という助詞の結びつきが強いから、「の」で結合した
「弁護士の橋下徹氏」
というのが一くくりになっているのに対して、「で」というのは「おまけ」感があります。その意味では、
「タレントで(=おまけ)、弁護士(=本業)の橋下徹氏」
となるのですが、「職業と氏名」というふうに区分けを考えると、
「タレントで弁護士(=職業)、の橋下徹氏」
となるのです。この後者の場合、いくつかの職業をかねている時は、やはり、
「本業、2番目、3番目・・・」
という風に並べるのが「筋」でしょう。そうすると、
「弁護士でタレント(=職業)、の橋下徹氏」
となります。そうすると、並べ方は一つとは限らない。ただ、
「読む時に、切るところを考えないと、意味が違ってくる」
という事態を招くのですね。注意しましょう!


2007/12/5
(追記)

いったんは出馬を否定した橋下氏、どうやら本気で出馬の意向だそうで、明日(12月12日)午前11時30分から会見をするそうです。その時間は、各テレビ局、お昼のニュースの時間。もう少し早くして欲しいものなんですが・・・。そうは言っても、ねえ。                           
2007/12/11
(追記2)

11日の会見は、結局1回目が午前10時から大阪府庁で、2回目が午後1時半からリーガロイヤルホテルで行われました。
また 12月11日の読売新聞夕刊では、「弁護士」が先に来て、
「弁護士でタレントの橋下徹氏」
になっていました。5日の夕刊とは順番が逆です。
2007/12/17


◆ことばの話3071「博士さん」

12月10日『情報ライブ・ミヤネ屋』を見ていたら、月曜日レギュラーの水道橋博士に対して、司会の宮根誠司さんが意見を聞こうと話を振った時に、
「ハカセさんなんかは子どもさんもいらっしゃるから、もうインフルエンザの予防注射なんかもされたんですか」
と聞きました。それを聞いて私は、
「ハカセさん?葉加瀬太郎じゃないんだから、『ハカセさん』はおかしいんじゃないの?水道橋博士なんだから、『水道橋さん』じゃないの?」
と思ったのですが、「ハカセさん」こと水道橋博士は、何事もなかったかのように、
「そうですね、子どもにかかると大変ですから・・・」
とスムーズに答えていました。ということは「ハカセさん」で良いのか。なんだか不思議な感じでした。
ちなみにこの日は「インフルエンザ」がテーマで、大阪府公衆衛生研究所「加瀬」哲男先生が出演されていました。こちらは「ハカセ」さんではなく、
「カセさん」
でしたが、宮根さんは「先生」と呼んでいました。その大阪府公衆衛生研究所の「カセ」先生は、水道橋ハカセのことを
「水道橋さん」
と呼んでいました。「ハカセ」はファースト・ネームなのかなぁ?
2007/12/10
(追記)
12月5日の読売新聞に、NHK紅白歌合戦の出場者が決まったという記事が載っていました。その見出しが、
「リアさんにしょこたん〜『紅白』出場者決まる」
とありました。「しょこたん」は中川翔子さんとわかりますし、「リアさん」は「リア・ディゾンさん」とわかりますが、でもファースト・ネームに「さん」を付けた、
「リアさん」
にはちょっと違和感が。「ハカセさん」と同じような居心地の悪さがあります。
きっとファースト・ネームで呼ぶ位の仲ならば、本来「さん」は付けないのではないか?という類推が働くのではないでしょうか?ちなみに私の名前「俊彦」に「さん」をつけて、「俊彦さん」
と呼ぶのは、「妻の父母」、つまり「義理の父母」です。そのぐらいの距離感ってことですね。                           
2007/12/11
スープのさめない距離