◆ことばの話3070「大アウエイ」

12月3日のテレビ朝日のお昼のニュースで、野球の五輪代表チームの予選に関して、現地・台湾から中継で伝えていました。今晩の地元・台湾戦に勝てば7回連続の五輪代表が決まるということでしたが、その中継の中で男性アナウンサーが、
「大アウエイ」
という表現を使っていたのが、耳に止まりました。
「大ピンチ」「大失敗」
というのは聞いたことがありますが、「大アウエイ」は初めて耳にしました。おそらく意味は、
「アウエイ(敵地)もアウエイ(敵地)、まさに開催地・台湾が対戦相手なので、観客はみな台湾の応援で、日本は『大』逆境に立たされる」
というようなことをいいたかったのだと思いますが・・・それにしても。えらい「造語」ですな。少し無理があるように思いました。
Google検索では(12月3日)、
「大アウエイ」=5件
しかありませんでしたが、「エ」を小さい「ェ」にすると、
「大アウェイ」=1040件
でした。使い方としては、
「ギリギリがちんこの大アウェイ『サウジ戦』」
「大アウェイに乗り込む事になる。しかも油断ならない強豪らしい。」
「大アウェイで自信の逆転勝利. 第26節. 柏 vs 川崎F 」
「昨年の中国でのアジアカップも大アウェイだったわけだが」

と以上はサッカーでの用例、そしてこれは、
「昨年の世界選手権で、大アウェイの雰囲気にすっかり飲まれ」
女子バレーです。さらに、
「甲子園で大アウェイを経験したから道民のファイターズファンには声の大きさでは負けませんよ。」
プロ野球もあります。あんまり良い感じのする言葉ではありませんから、放送では何の注釈もなしにいきなり使うことは避けたいと思いますが、ま、そうは言ってもみんな勝手に使うんでしょうね。「ゴーイング・大アウェイ」でしょうね。(「ゴーイング・マイ・ウエイ」に引っ掛けてみました)


2007/12/3


◆ことばの話3069「曇り空が広がり」

報道のSキャスターが、
「今日のお昼のニュースの天気予報の原稿なんですけど・・・」
と話しかけてきました。
「『曇り空が広がるでしょう』と読んでいたんですが、青空は広がるでしょうけど、曇り空は広がりますかね?なんだか違和感があったんですが・・・・」
ふーむ、なるほど。聞き逃してしまいそうな、一見すると、いや一聴すると特におかしくないような気もしますが、言われてみると確かに違和感がありますね。「雲」や「雨雲」は広がりますが、「曇り空」は広がるだろう???
考え始めて3日目、ハタ!とひらめきました。
『「曇り空」とは「一面雲に覆い尽くされている状態」であるのに対して、「青空」は、「雲の合間の一部」を指してもいう。だから青空は、その一部がさらに拡がることもあるが、最初から「全面曇り」を指す「曇り空」は、それ以上拡がりようがない。だから「曇り空が広がるでしょう」には違和感があるのではないか?
同じ「空」という言葉でも示す範囲が異なる。「青空」の「青」は色であり、「静的な状態」を示しているのに対して、「曇り空」の「曇り」は「動的な状態」、という語構成上の違いもある。』
いかがでしょう?とSキャスターにメールしたところ、
「なるほど納得しました」
という返事が返ってきました。謎が解けて、心に青空が広がったのでした。(ニッコリ)
2007/11/29


◆ことばの話3068「辞意撤回」

少し前のことになりますが。11月6日、夜9時のニュースで、「大連立」がらみで民主党の小沢一郎さんが、いったん表明した辞意を撤回した時、テレビを見ていての、小学4年生の息子がいきなりこんなことを言いました。

息子「辞意撤回したん?そんなんしたら民主党の支持率下がるで!」

な、何を生意気な・・・本当にわかって言っているのかどうか、ちょっと試して見ました。

私「小沢さんは何党?」
息子「民主党」
お、わかっとるやん。じゃあ、これはどうだ。ちょっと、ややこしいぞ
私「民主党は与党?野党?」
息子「野党!」
おお!じゃあ・・・、
私「自民党は?」
息子「与党!」
ま、そりゃそうだな。どっちかだから。ここでちょっと変化球を・・・
私「じゃあ公明党は?」
息子「野党!」
フフフ、所詮、小学4年生・・・
私「ブー!」
息子「あそうか、自民党と協力してるんやっけ」
く、詳しいやないか!小学4年生にしては「現代社会」は、まずまず及第点ですよね。あ、小学生には「現代社会」なんて教科はなかったか。ということで、「親バカ日記」でした。
2007/11/30


◆ことばの話3067「天然だし無添加」
地下鉄の駅で見かけた、駅近くのお蕎麦屋さんの広告ポスターに、こう書かれていました。
「天然だし無添加」
ありゃりゃ?これは不可解な。この「だし」は、
「天然のだし」
なのでしょうか?それとも、
「『天然だしは無添加』で『天然だしではない』」
のでしょうか?いや、そりゃあ広告するぐらいだから、
「天然のだし」
を使っていて、
「天然ではないものは、無添加」
だとは思いますが。
駅を出て歩いていると、そのお蕎麦屋さんの前を通りかかりました。店の入り口の脇には木の札に、こう書いてありました。
「天然だし100%無添加」
ウーム、よけいに疑惑は広がった!
「天然だし100%。無添加」
なのか、それとも、
「天然だし、100%無添加」
なのか。それによって意味は正反対になっちゃうぞ。これって、あの懐かしい「電報の電文が別の意味に捉えられる」のに似てますね。ほら、「カネオクレタノム」という電文が、
「カネオクレ タノム」(金送れ。頼む。)
「カネオクレタ ノム」(金、遅れた。飲む)
の2通りの意味に取れるとか、「シンダイシャタノム」という電文が、
「シンダイシャ タノム」(寝台車、頼む。)
「シンダ イシャタノム」(死んだ。医者頼む。)
という意味に取れるとか。結局、どこで切るかが、単語の羅列(体言止め)だとわかりにくいということなのでしょうね。
今回、このお蕎麦屋さんはまだ「準備中」だったので入れませんでしたが、次の機会に寄ってみようと思います。あ、今気付いた!もしかしたらこの「天然だし無添加」という文章の「だし」は「出汁」ではなく「だから」の意味で、
「天然だから無添加」
という意味なのかな?だとしたら・・・やっぱりわかりにくい文章だ!
2007/11/30


◆ことばの話3066「38曲を収録した」

先日、『ズームイン!!SUPER』の関西からの放送を見ていたら、大田アナウンサーと虎谷アナウンサーが「プレゼントの告知」をしていました。クリスマスソングのCDです。そのコメントが・・・・・
「38曲を収録した究極のクリスマスアルバムを10人の方にプレゼント」
んんん?なんだかちょっとおもしろいゾ!
38曲」のあとに「収録」「究極」という言葉が来ているのが、なんとなく、
「収録」=「収6」
「究極」=「9曲」
と聞こえるのですね。数字が並んでいるように感じておもしろいのかな。特に、
「38曲」「究極(9曲)」「10人」
という数字(?)の並びが、
「8、9、10」
と順序良く並んでいるように感じるのが、「んんん?」と思う原因なのでしょうね。語呂合わせのようですね。
2007/11/30
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スープのさめない距離