◆ことばの話3050「隠し持っていた」

人気アイドルグループ「光GENJI」の元メンバー・赤坂 晃容疑者(送検されたので今は「被告」)が、覚せい剤を隠し持っていたとして現行犯逮捕されました。
そのニュースで、
「赤坂容疑者はズボンのポケットに覚せい剤1グラムを隠し持っていたとして」
と伝えているのを聞いて、
「ちょっと待てよ」
と思いました。
「バッグの二重底の中」とか「スーツの内側に特別に作らせた隠しポケットの中」
ならば、
「隠し持っていた」
という表現もわかりますが、赤坂容疑者は、
「ズボンのポケットの中」
に持っていたわけですよね。それは果たして「隠し持って」いたのでしょうか? それは単に、
「ポケットの中に入れていた」
だけなのではないでしょうか?「そんなん、悪いことなんやから大きな違いはないやんか!」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、単に「持っていた」というのと「隠し持っていた」というのでは、
「明らかに後者の方がイメージが悪い」
ですよね。犯罪隠匿の意志を感じるから。
そこを伝える場合にも本当に「隠し持っていた」のかどうか、警察発表の「警察用語」をそのまま伝えるのではなく、文脈からでも判断しなければいけないんじゃないでしょうかね?
2007/11/8


◆ことばの話3049「虹橋空港」

平成ことば事情2936「ハンジョウ」でちょっと触れましたが、中国・上海の「虹橋空港」の読み方、やはり揺れています。今年6月の新聞用語懇談会放送分科会で「虹橋空港の読み方」について話し合った際に、北京特派員も務めたことがあるというフジテレビの委員の方から、
「現地音の『ホンチャオ』が正しい。JTBのパンフレットなどでも『ホンチャオ・ミレニアムホテル』など『ホンチャオ』を採用している。」
という意見が出ましたが、他社のその時点での様子はどうだったかというと、
(毎日放送)=ホンチャオ(現地音)
(朝日放送)=コーキョー
(関西テレビ)=コーキョー
(テレビ大阪)=にじばし
(NHK)=にじばし(国際部出稿)現地の日本人社会では「にじばし」または「ホンチャオ」なので。総領事、JAL、ANAは内部では「ホンチャオ」。漢字を思い浮かべると「にじばし」。しかし「にじばし」で確定ではない。
(日本テレビ)=コーキョ−  原則中国・台湾の漢字地名・人名は、日本語の音で読む。「公共」とまぎらわしくはあるのだが・・・。
(TBS)=ホンチャオ(現地音)航空関係者では「ホンチャオ」で通っている。中国語の読みの「例外」として。(青島=チンタオ、上海=シャンハイなどと同じく)
(フジテレビ)=ホンチアオが一番正しい
(テレビ朝日)=「コーキョー」
(テレビ東京)=「にじはし」。外務省に確認したら「にじはし」だった。「昔から濁らない」という答えだった。
(読売テレビ)=コーキョー  日本テレビと同じ
ということでした。
その後9月末に、実際に東京・羽田空港と上海・虹橋空港の路線が開通した時の、私が見た各局ニュース(9月29日)では、
(読み) (字幕スーパー)
(テレビ朝日) コーキョー 羽田―上海
(TBS) ホンチャオ 羽田―虹橋(上海)
(NHK)  にじばし 羽田―虹橋

で、各社、6月に聞いたとおりでした。また記念式典が行われた羽田空港の現場のパネルの文字は、
「羽田―上海(虹橋)」
でした。新聞は(2紙しか見られなかったですが)、
「読売」=虹橋(ルビは「ホンチャオ」)
「日経」=虹橋(ルビなし)
でした。
その後、日本テレビさんから、「各社その後どうしていますか?」という質問が来て、それへの回答をまとめると、
(日本テレビ)開港までは「コウキョウ」と読んでいたが、その後、国土交通省や現地の日本人が「にじはし」と読んでいることから、「にじはし」になった。しかし、中国・台湾の地名・人名の原則が「日本語の音読み」となっていて、用語委員から「この地名だけを訓読みにするのはおかしい」との意見もあり、再度、読みについて検討中。
(共同通信)原則に則り「コウキョウ」のまま。
(TBS)「ホンチャオ」と読んでいる。JALの広告と同じ。異説もあるが、現地の航空関係の人達の殆どが「ホンチャオ」と呼んでいる事を一番の理由に挙げている。原則的には、中国地名は「漢字音読み」だったが、古い都でもなく「現地発音読み」の流れもあり、そうなった次第。
(テレビ東京)「にじはし」。中国・台湾は「日本語の音読み」が原則になっているが、現地の日本人・外務省などが「にじはし」と呼んでいることと、有名な地名と違い「こうきょう」では耳で聞いてわかりずらいとの理由から。中国語読みについては、北京語、上海語、広東語、四川語など様々な言葉があるため、単純に北京語読みにするのは混乱を呼ぶだろうとの考えもあって踏み切っていない。
(静岡放送)ローカル放送局である我が社では、「虹橋空港」を読む機会があるとすればラジオニュースが主になる。ラジオはローカルニュース以外は共同放を基本にしているので「コウキョウ」と読む。ただ、JNN・JRN系列に属する局として、系列で「ホンチャオ」など別の読み方での申し合わせが成立すればそれに従うことになる。
というようなところです。読売テレビは系列の日本テレビに従うことになっていますが、まだ読む機会に恵まれていません。
2007/10/29
(追記1)

11月15日、新聞用語懇談会秋季合同総会という会議に出たところ、日本テレビの用語委員のIさんから、
「つい先日の用語委員会で日本テレビは『ホンチャオ』と読むことに決定しました」
と教えられました。理由は、
「航空会社など実際に一般の方が接するところでは『ホンチャオ』と呼ばれているから」ということのようです。
それと、テレビ東京は上にも書きましたが、「にじはし」と「橋」は濁らないのですね。NHKは「にじばし」と濁っていますが。微妙な違いだなー。
2007/11/19


◆ことばの話3048「フィン語」

11月7日、フィンランド・ヘルシンキ近郊の高校で、男子生徒が銃を乱射し8人が死亡する痛ましい事件が起きました。犯人の男子生徒は自殺しました。
このニュースで、インタビューに応じていた高校の男性教師が、「英語」で話しているのを見て、隣の席のHアナウンサーが、
「フィンランドは英語をしゃべっているのかあ」
と言いました。
「そんなことはないだろ、フィンランドはフィン語だろ。」
と返すと、
「じゃあ、なんで英語でしゃべっているんですか?」
と聞くので、
「インタビューをした英語圏のメディアが、英語で質問してきたから、英語で答えたんじゃないの?高校の先生クラスだと、そのぐらいは出来るんとちがう?」
と答え、ついでに学生時代合唱団に所属していた時に歌っていたフィンランドの曲、
「フィンランディア」
「フィン語」の歌詞で歌って聞かせて、
「ほら、英語と違うだろ?」
と言うと、少し納得したHアナ。
「それにしても、フィンランドの人は、英語しゃべってる時ってどんな気持ちなのかなあ?」
と言うので、つい、つられて、
「♪フィン語は何にも言わないけれど、フィーン語―の、気持ちーはー、よーくわーかーるー♪」
と歌ったら、
「はいはい」
と言われてしまいました。Hアナ以外の若手は、この『リンゴの唄』の替え歌、わからなかったようです。
「♪フィン語―、かわーいーやー、かわいや、フィン語―♪」
・・・乱射事件のニュースとは関係なく、そんな話をして、ゴメンナサイ・・・。
2007/11/8


◆ことばの話3047「カブと為替の動きです」

11月8日のNHK正午のニュース。全国のニュースの最後で、京都のお漬物屋さんで、
「聖護院蕪(しょうごいん・かぶら)」
の漬け込みが始まったというニュースを伝えていました。薄くそいだ蕪をサッーと、まるでマジシャンがカードを並べるような手つきで広げる様子は、見事でありました。
今日11月8日は「立冬」ですし、まさに、
「いよいよ冬の訪れか」
と思わせるトピックスでしたね。
そのニュースの後に、登坂アナウンサーは本当にさりげなく、
「株と為替の動きです」
と言って東京株式市場の値動きと円相場を読み上げたのですが、このニュース構成に、私はちょっとウケて、笑いました。
え?なんでかって?
だって、「カブ」の漬物の後に「株」を持ってきてるんですよ。なかなかシャレが効いていると思いませんか?
私ならもうひとこと入れて、
「次も、カブです(ニヤリ)」
と言うところですが、ね。
2007/11/8
(追記1)

11月18日夕方、京都縦貫道の降り口付近で、車4台が絡む玉突き事故が起き、1人が死亡、5人が重軽傷を追った事故のニュースを読みました。下読みの時に、
「『カブ』を積んだトラックが」
という一文が出てきたので、私は、
「おいおい、『カブ(HL)』というのは商品名だよ。『バイク』とかなんとか、言い換えないと・・・」
と言うと、若いデスクが、
「あ、道浦さん、違います違います。それ、バイクの『カブ(HL)』じゃなくて、『カブ(LH)』です。野菜の『カブ(LH)』です!」
え!なんだ そうだったのか。なんでわざわざバイクの商品名を言うのかと思って。カタカナで書いてあるし・・・。とんだ「カブ違い」 でした。下読みで気付いてよかった!でも、あまりカブカブ言うと、「株」と間違えないかなあ・・・「かぶら」といったほうが良かったかも。                       
2007/11/19


◆ことばの話3046「画が」

9月27日の深夜(9月28日の午前0時台)、NHK・BSの『アニメ夜話』という番組を見ていたら、『カウボーイ・ビバップ』というアニメ作りに携わったという佐藤 大という人が、
「画(が)を切っちゃう。」
と言ってました。
「画」
を、「え」ではなく「が」と言っていました。これは業界用語なのかな?テレビ業界なら「え」と言うよねえ・・と思いながら、このアニメのことも知らないのに、ついつい見てしまいました。なんだか『ルパン三世』の宇宙未来版みたいな感じでしたが。
主人公の名前がスパイク・シュピーゲル。その声優は山寺宏一さん。監督は 渡辺信一郎さん「ナベシンさん」と呼ばれているみたい。なんで「渡辺」という苗字の人は、
「ナベ○○さん」
と呼ばれるんだろうか?キャラクターデザインは川元利浩さんという方が担当されているそうです。
番組には「キタキマユ」という女優さんと、司会側には加藤夏希さんという女性が出ていました。例の「激ヤセ」した岡田さんも出ていましたよ。「フェイ」というヒロイン のサイズが168センチ、46キロで、加藤夏希さんは同じサイズなんですって。
後半は「それがどうした?」って話題でしたが・・・。
2007/11/5
Copyright (C) YOMIURI TELECASTING CORPORATION. All rights reserved