◆ことばの話3045「セブンイレブン?」

11月8日のNHK正午のニュースの関西ローカル放送で、兵庫県明石市役所の中に、障害者を店員として雇用したコンビニエンス・ストアが開店したと伝えていました。そのコンビニエンス・ストアは、
「セブンイレブン」
でした。そこで 一つ疑問が・・・。
「市役所の建物は、内勤の市役所職員は別として、普通は午前9時から午後5時までしか開いていない。セブンイレブンはもともとその名の通り、『朝7時から夜11時まで』開いていたのだが、そうするとこの市役所の建物は、夜11時まで開いていることになるのかな?」
インターネットで調べてみたところ、このセブンイレブンの営業時間は、
「午前8時から午後6時まで」
のようです。じゃあ、「セブンイレブン」じゃなくて、
「エイトシックス」
やな。店名に異議あり!?でもよく考えたら、いまや「セブンイレブン」も「24時間営業」しているところがほとんどで、「セブンイレブン」という店名そのものが営業時間を指しているとは言えないので、
「それはおかしい!」
と言うほどのことはないのですが。障害者の就労に役立つのであれば、いい試みだと思いますがね。
2007/11/8


◆ことばの話3044「阪高」

『ニューススクランブル』の放送終了後、地震などの災害に備えて「災害放送訓練」というものを行っています。一時中断していたのですが、先週からまた復活しました。
先日、新人の吉田奈央アナ(神奈川県出身)が、初めて訓練に参加した際、突っ込みで入ってきたメモに書かれていた
「阪高」
という文字の意味がわからず、読めませんでした。
もちろんこれは、
「阪神高速(道路)」
のことです。ご注意ください、とアナウンス部ないにもメールで注意を喚起しました。
ちなみに吉田アナは、
「高校の名前の略称」
かと思ったそうです。そうか「大阪高校」だったら「阪高(はんこう)」という略称もありうるものね。気をつけたいと思います。
2007/11/6
(追記)

11月21日の読売新聞夕刊のトップ記事見出しに、 「阪高」の文字が躍っていました。新聞の見出しになるぐらいですから、「首都高」「名神」「名阪」並みではないにせよ、一般的・・・なんですかねえ・・・。
2007/11/26


◆ことばの話3043「元サヤ」

11月6日の『ニュースリアルタイム』の芸能ニュースコーナーで、狂言師の和泉元彌さんと羽野晶紀さん“すわ、離婚か?”という騒動を伝える中で、ナレーションで、
「元のサヤにおさまる」
という意味での
「元サヤ」
という言葉が使われていました。一応ニュース番組の中で「元サヤ」なんて言葉を使うのはいかがなものか?と私は思ったのですが、「どう思う?」と女性のMアナウンサーに聞いてみると、
「え?普通に使われていますよ。今度出る『広辞苑・第6版』にも採用されるんじゃないですか?表記は全部カタカナで『モトサヤ』、あるいは漢字とカタカナで『元サヤ』ですかね。」
というではありませんか。そこでGoogle検索(11月6日)してみると、
「元サヤ」=3万7800件
もありました。俗語なのは間違いないよな。そこで『日本俗語大辞典』(米川明彦、東京堂出版、2003年)を引いてみました。お、載っている!たった2行だけど。
「もとさや(元鞘)」=「元の鞘に収まる」の短縮。若者語。」
とありました。確かに「俗語」「若者語」としては認識されているようだけど、ニュースで使うのは、なあ・・・。どう思われますか?
2007/11/6


◆ことばの話3042「民有地」

11月6日、札幌市清田区の通称「ゴミロード」に積み上げられた550トンもの鉄くずなどのゴミの撤去が、強制執行で始まりました。
これを伝えたお昼のニュースで、日本テレビ系列の札幌テレビのアナウンサーが読んでいた原稿で、ゴミが積み上げられている場所について「民有地」という表現が出てきました。それに気付いた『情報ライブミヤネ屋』担当の森若アナウンサーが、
「民有地?」
と疑問の声を上げました。聞き逃していた私はその声を聞いて初めて、
「あ、そうか、普通私たちが使う言葉は『私有地』だよな」
と気付き、辞書を引いてみました。たしかに「民有(地)」という言葉はありますが、反対語は、
「官有、国有」
です。これに対して「私有(地)」の反対語は、
「公有(地)」
でした。「私⇔公」という対です。これに対し「民有地」「民⇔官」ですよね。
意味はどちらも同じようなものですが、どうやら「民有地」という言葉は、その反対語である「官」がよく使っているのではないか? という気がします。「私」の立場にあるわれわれは、あまり使わない気がします。そうすると「民有地」という言葉を使うのは、そのメディアが「官」の立場で報道していることになりはしないか?という疑問が起こりますね。
他局のお昼のニュースを見ていたら、TBS系列の北海道の局・北海道放送(HBC)の中継では、
「自分の土地(のほか)」
という表現を使っていました。また、テレビ朝日系列の北海道の局・北海道テレビ(HTB)の中継では、
「この場所(に)」
と表現し、「民有地」も「私有地」も使っていませんでした。
NHKのニュースでは、見ていたつもりだったのですが見逃してしまったのか、このニュースを全国のニュースではやらなかったのかどちらかで、わかりませんでした。
でした。Google検索(日本語のページ、11月6日)では、
「民有地」=16万5000件
「私有地」=30万7000件
で、「私有地」の方が、倍ほど使われていました。
なお、同じニュースを取り上げたこの日の『情報ライブ・ミヤネ屋』森若アナウンサーは、ディレクターとも話をして
「私有地」
に置き換えて読んだということです。
2007/11/6


◆ことばの話3041「スラーブ」

11月1日、日本シリーズ第5戦。中日・山井投手が日本ハム相手に8回まで「完全試合」で、このまま最終回も?と思いきや、落合監督は、押さえの大エース岩瀬投手に代え、岩瀬はきっちり3人で締めて「完全リレー」を達成、中日の53年ぶりの日本一という悲願も達成されたのでした。
それを受けて11月2日の読売新聞に日本ハムの淡口打撃コーチのコメントが載っていました。(だと思ったのですが、実は今、11月2日の読売スポーツ面を見ても載ってないんです。家で見たので13版だけだったのかなあ・・・)その中に出てきたのが、
「スラーブ」
という言葉。これはなんじゃ?スラブ民族のスラブ?それともマンションのコンクリートの床の厚みのスラブ?と思ったのですが、ちょっと考えて
「スライダーとカーブが混ざった変化球ではないか?」
と思い当たりました。Google検索(11月5日)では、
「スラーブ」=821件
で、ウィキペディアの「球種」の項目によると、
「スラーブ (slurve) は、投手の利き腕と反対方向に曲がり、カーブのように曲がりながら落ちる変化球である。そのほとんどは切り方を深くしたスライダーである。カーブのように小さく曲がるが、投法はスライダーとほぼ同じであり、カーブ程大きく山なりにはならない。名前の通り、スライダーとカーブが合わさったような変化球。ちなみに木田優夫は『カイダー』と呼んでいた。」
そうですか、木田投手は「カーブ」の「カ」「スライダー」の「イダー」 を取って「カイダー」ですか。「人造人間」みたいな名前ですね・・・それは「キカイダー」
そう言えば、「まっすぐ(直球)」と「スライダー」が混ざった、
「まッスラ」
というのもありましたね、「平成ことば事情657」で書きましたが。それと同じ語構成かな。どちらもベースに「スライダー」が入っているので、この「スライダー」こそが、現代の野球において重要な変化球なのではないかとも思いました。
2007/11/5
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